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色褪せた背表紙をなぞる  作者: 銀華
琥珀との邂逅
2/2

結論に至った結果

どうぞ

前世の記憶というものは、ある日突然私の目の前に転がり込んできた。


その前兆があったのは私の12歳の誕生日。なぜか身体の節々に走る激痛と、金槌でガンガン殴られているかのような自己主張の激しい頭痛に朝から悩まされ「ああ、今年の誕生日は厄日すぎる」と止まらないため息でその日は憂鬱なまま過ごすことになった。


次の日、昨日の体調不良なんてなかったかのように健康的な爽やかな朝を迎えて目を覚ます事になったが、その代わりに厄介なものを手に入れてしまった。眉唾物で信憑性が疑われることで有名な、よく聞くアレ─前世の記憶というものだ。


幸いにも前世の記憶が舞い戻ってきたから今現在の記憶がすっぽ抜けて……ということはなく、あくまでも添えもの程度で済んでいて安心した。前世と今世では時代も常識も生活習慣も別次元だったから、その差異に別の意味で頭が痛くなってしまうことはほぼ確実。この事だけは評価している。


そして前世……ニホンという極東の島国出身の誰かの記憶を持つという事は、じわじわと私を苦しめていった。


当たり前だと思っていたものが、当たり前と受け止められなくなる。生まれ落ちた世界の基盤がそもそもまったくの別物である故に『今の私』と『過去の記憶』による脳内会議の衝突で処理負荷でますます寝込むことになっていった。


あの日から1年、貴族の端くれとはいえ私も令嬢、めでたく社交界デビューというその年の誕生日に私は父に告げた


「ところでお父様、私、この家から出ていきたく思います」


朝食の席でそう告げたのだが、父は朝からいきなり顔色を悪くして盛大に倒れてしまった。


ふむ、朝食になにか盛られたのかとも思ったがそんな事は聞けるような朝の空気ではなかったので黙っておいた。

朝食にはなんの罪もありません。

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