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閑話・Believe In Your MuscleS 後編

深夜テンションで書いたから何書いたか覚えてませんが書いてて楽しかった記憶だけは覚えてます。



「「「ウホウホウホ!」」」

「あぁもう! 鬱陶しいわね! ブラァァ!!」


 押し寄せるゴリラの群れを拳をぶつけて纏めて吹き飛ばす。一体一体は一撃で片付くしそこまで動きも早くないから危険は低いけど、さっきから押し寄せるゴリラがやまない。

 どの個体も攻撃の前にドラミングの音を響かせてからきているのが関係しているのかしら? あれがゴリラを呼ぶ合図? だとしたら厄介ね。 アタシのAGIじゃドラミングより先に攻撃できないし。

 ちなみにこのゴリラ。名前はストロングゴリラというらしいわ。強いゴリラって分かりやすい名前だけど、アタシの極振りSTRの前には赤子の如しね。


「ア゛ァァァァァァァァア゛ア゛ァァァァァァァァァァァ!!!!」

「こ、今度は何かしら!? 」

 

 まるでターザンのような叫び声が聞こえてきた方向を見ると、木の蔓をロープの代わりにして移動するゴリラの姿。あの犬耳の子が言っていた通り腰ミノを付けているし、恐らくあれが噂のゴリラ獣人ね。叫ぶようにして話し掛けてみる。


「上腕二頭筋が抜群ね! チョモランマよ!」

「ア゛ァァァァァァァァ!? ア゛ア゛ァァァァァァァァァァァ!!!!」


 アタシの声が届いたのか、飛ぶ方向をこちらに変えてこちらへと跳んできた。この時点でアタシの中でこのNPCの訴えを確信したわ。


「キレてますかァァァァァァァァァァァー!」

「無論ばっちり仕上がってるし、キレてもいるわ! 見なさい! この、美しい筋肉を!」


 身体を捻り、見せつける様にサイドチェストのポーズをとる。思った通りこれが正解だったらしく、ゴリラのNPCはニヤリと笑ってフロント・ダブルバイセップスの姿勢をとる。彼の上腕二頭筋が膨張し強調される。アタシの褒めたところを見せつけてくるなんて余程自身があるようね。


「仕上がってるよぉ゛ォ゛ォ゛」

「さんとうも素敵ね!」

「肩メロン! 肩メロン!!」

「素晴らしい! その腹斜筋はおろし金かしら!?」

「ア゛ァァァァァァァァ!!!!」

「ブラァァァァァァァァァァァァァ!!!

「な、なんだあれは!? レアモンスターか!?」

「近づくと危険だぞ! 早く逃げるぞ!!」


 偶然近くにいたプレイヤーが化け物を見たような声を上げて逃げて行った。失礼しちゃうわね。アタシたちはただこうやってお互いの筋肉の成果を見せあっているだけなのに。

 犬耳の青年の言っていた言葉やさっきから交している言葉。これらは全てボディビルダーの掛け声よ。つまり、ゴリラ獣人の彼は単純に身体を鍛えていただけってことね。

 一通り見せ合うと、ゴリラ獣人の彼は叫ぶことを辞め急に理性的な様子を見せた。さっきまでとすごいギャップね。


「素晴らしい筋肉だった。私は【ミスターG】。この森で筋肉を鍛えている者だ。よろしく頼む」

「これはご丁寧に。アタシはサオリ。貴方の筋肉もそれは素晴らしい物だったわ」


 アタシたちは互いを認め合うように固く握手を交わす。ただ握手をするだけでも彼__ミスターGの握力が尋常じゃないモノだという事が伝わってくる。ゴリラの獣人ってだけじゃなく、しっかりと鍛えられているのね。


「それで? 貴方は一体どうしてここを訪れる人を襲っていたのかしら。」 

「それは誤解なのだ。私はここで同じく筋肉の高みを目指す者をずっと待っていたのだ。だが、ここに訪れるのは身体の堅いだけの者やもやしのような者ばかり。たまにマシなのも来るが認めるほどの筋肉がない。あまりの怒りに鍛え直してやろうと思ったのだ。逃げられてしまうがね」

「あら? つまり善意でやっていたのね。それならアタシは合格なのかしら?」

「勿論だ。君の筋肉は素晴らしい! だが、私についてくればその筋肉を更に高められる。私と共に高みを目指してみないかね?」


来たわね。これは恐らくメイちゃんの言っていた特訓イベントのようなもの。しかも、彼の様子からしてSTRステと密接にかかわる系のイベントよ。

 これに成功すればアタシの筋肉は___訂正。STRは更なる高みに上ることが出来る筈よ。

 アタシは笑みを浮かべつつミスターGの提案に頷く。


【ジョブイベント:『筋肉は裏切らない』が発生しました】

 

「それでは私の後についてきてくれ。もしも私についてくることが出来れば、君は更なる筋肉の高みに上ることが出来るだろう。では行くぞ。ア゛ァァァァァァァァア゛ア゛ァァァァァァァァァァァ!!!!」

 

 ミスターGは奇声を上げて大きく飛び上がり、ターザンジャンプで移動を始めた。

 普通について行こうとしたけど、その道を阻むようにストロングゴリラたちが現れ始めた。今現れたゴリラたちは、さっきまでのゴリラと異なり筋肉を見せつける様にポージングをとっている。なる程ね。道を阻むゴリラを薙ぎ払いながらミスターGについて行かなければならないのね。面白いじゃない。

 相手はターザンの様に進み続ける人物。足を止める暇はないわね。ラリアットで立ちふさがるゴリラたちを薙ぎ払いながら追いかける。


 アタシのSTRは極振りのお陰で恐らく全プレイヤーの中で最も高いわ。その移動に巻き込まれれば、それはそのまま攻撃に繋がるのよ!



「ブラァァァァァァァァァァァァァ!!!!」

「ウホウボウェア?!?!?」

「グボァ!!」

「邪魔よ! そこをどきなさい! ブラァァァァ!!」


 気分はさながら二トントラックね。邪魔するすべてを薙ぎ払いながら先に進む。だけど、最高速度を維持してはいるのにどんどん距離を離されていく。いくら障害物を無視できても根本的に移動速度が違うわ。

 このままでは埒が明かないのでラリアットの姿勢をいったんやめる。腕を大きく開いていては速度を伸ばすことはできないわ。


 姿勢を低くし、片手を地面につける。そして、ラグビーのタックルをイメージして、脚力を爆発させる!

 先ほどまでが二トントラックならば、これならばダンプカーね。邪魔する全てを薙ぎ払うなど生ぬるい。全てを破壊して先へと進む。


 追いつけはしないけど、距離を離されることはなくなったわ。これならばゴールまで置いて行かれることも無いわね。


「「「ウッホウッホホ!」」」

「スクラムを組もうと無駄よ!」

「「「ウホー!」」」

 数匹で壁を築くゴリラたちが、まるでボーリングのピンの様に吹き飛ぶ。その程度で止められるほどアタシのSTRは甘くないわ。


 ミスターGを追いかけゴリラを吹き飛ばしながら更に走ること数分。ターザン移動するミスターGは、開けた場所に飛び降りた。これでイベントはクリアかしら?

 拍手をしながらミスターGは笑みを浮かべる。


「見事だ。立ちふさがるストロングゴリラたちは私が1から筋トレを指南した精鋭たち。それを物ともせずにここまで来れるとは君の筋肉は本物だ」

「あ、ありがとう」


 き、気まずいわ。全部簡単に倒せちゃったけど、もしかしてあのゴリラたちって結構厄介な敵だったのかしら?

 思わず顔が引きつりそうになるのを必死に抑えながらミスターGの言葉を待つ。


「最後まで筋肉を信じここまで来た君に最後の試練だ。私を倒してみよ!」


 ミスターGがその剛腕を持って殴り掛かってくる。それを身体をそらすことで回避。だけど、ミスターGの猛攻は一度では済まず更にラッシュをかけてくる。


 重格闘家のジョブ補正でHPとDEFが上がっているとはいえ、アタシのDEF値では恐らくミスターGの攻撃を耐えきれない。ガードではなく回避を選択し続け攻め手がない。

 そんなアタシの様子にしびれを切らしたのかミスターGは激昂する。


「どうした! 君は自分の筋肉を信じられないのか!」

「そんな事言ったって! アタシのDEFでは守り切れないのよ!」

「違う! 私が言っているのは筋肉のみ! 堅さなど二の次である!」 


 訳の分からないことを言うミスターGの言葉を回避しつつ冷静にかみ砕く。堅さなど関係ない? つまりDEFは関係ないのかしら? 

 彼が繰り返す筋肉を信じるという言葉。それにずっと攻める姿勢は何か関係性があるのかしら? まるで攻撃は最大の防御とでも言うような___待って。攻撃は最大の防御?

 筋肉とは恐らくSTR。そして今のアタシの言葉を踏まえて考えると……これは賭けね。


 アタシは回避を止め、ミスターGの拳に合わせる様に拳をぶつけた。


「女は度胸よ! ブラァァァァ!」

「ア゛ァァァァァァァァ!?!?!」


 拳同士がぶつかり合い、吹き飛んだのはミスターGの方だった。どうやら賭けには勝ったようね。

 攻撃と攻撃がぶつかり合った時、参照されるのはDEFではなく互いのSTR。つまりはより強い攻撃が勝ることになるわ。だからこそSTRが高い私は無傷で済み、反対にミスターGが吹き飛んだ。

 攻撃は最大の防御、筋肉は裏切らないとはよく言ったものね。この事を知っていれば、態々回避せずともずっと攻撃を続けることが出来るのだから。


「うむ。筋肉を信じた素晴らしい一撃。合格だ。君こそ筋肉の追求者に相応しい」


【ジョブイベント:『筋肉は裏切らない』をクリアしました】

【この場で転職が可能です。転職しますか?】


 何となくミスターGの言動から転職できるジョブは察せられるので勿論イエスを選択。その結果、やはりと言うべきかアタシのジョブは予想道理のジョブになったわ。


【サオリ】Lv.120

種族:ヒューマン

ジョブ:ボディビルダー

HP 249/249

MP 10/10

STR 270

DEF 5

INT 5

AGI 5

DEX 5


補正詳細▽

 ジョブ補正

 ・常時、HPの値2倍

 ・常時、STRの値2.5倍

 ・常時、STRの値の一割分HP・DEF・AGIに加算。



 これは……すごいわね。STRを伸ばせばその分総合的なステータスが伸びるんですもの。重格闘家の時よりも倍率は伸びていないものの、それを補って余りある効果よ。むしろ、STR次第で他のステータスも伸びるのだから倍率が低く設定されていて当り前よね。

 でも、HPの数値が変ね。これだと計算が合わないわ。高すぎるもの。何か別の理由が……これかしら?


【金剛力】

 人の身を越えた力の所持者の証明。他者を大きく引き離し、最も優れた肉体を持つプレイヤーに贈られる称号。筋金入りの特化厨への運営からのプレゼントともいう。

 常時効果:成長強化(レベル上昇時のステータスポイント+1)。STRの値を5割上昇。STRの数値の1割分HP・DEF・AGIに加算。

 起動効果:一定時間、STRを大きく上昇させHPを回復させ続ける(回復量は毎秒STRの値の5%)。


 なる程。このスキルでも増加しているからHPがこんなに高いのね。特にこっちの場合STRの値ではなく数値を参照にしているのがミソね。補正を込みで数えていいのなら増加率が非常に大きくなるわ。

 それにしても異常なまでに強いスキルね。成長強化なんてどうかしてるわ。ポイントの割り振りが重要視されるゲームで+1されるのは非常に大きい。優れた肉体は成長にも優れるといったところかしら?


 なんにせよ、これでアタシもチートプレイヤーの仲間入りかしら? メイちゃんには厄介ごとに巻き込まれるから人に広めるなとは言ったけど、まさか自分がその立場になると話思いもしなかったわ……


 でもまぁ、これで今度は彼一人に負担を強いらずに済むのは良好かしら? これでもいい大人なのだし、ゲームで子供に負担をかけるのは気が引けるしねぇ。




補正込みのステータス

【サオリ】Lv.120

種族:ヒューマン

ジョブ:ボディビルダー

HP 249/249

MP 10/10

STR 1013

DEF 134

INT 5

AGI 134

DEX 5


補正

HP (元の数値 10)

・2倍

・+27

・+101

・+1

STR (元の数値 270)

・2.5倍

・1.5倍

・+1 

DEF (元の数値 5)

・+27

・+101

・+1

AGI (元の数値 5)

・+27

・+101

・+1


たぶん現状主人公よりもチート

計算ミスあったらごめんなさい。


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