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第七十八話~魔族領・迷宮編~

正直書いてて自分でも引いた。急な強化は萎えを引き起こしますね。

でも貴方は強化を控えめにしないでくださいカプなんとかさん



「___ん……ここは……?」

「あっ! 目が覚めたですか!?」


 心配する様子を含んだ元気な声に目を覚ますと、そこはさっきまで本当の意味での棄てられし者であったアスクレピオ―スと戦った場所ではなく、俺が隠し通路に落ちた場所だった。

 いつの間に戻ったんだ? もしかしてあのボスを倒せば強制的に元の場所に戻されるとか? 気を失っている間の事だから正解は分からないけど、兎に角生きて戻ってこれた……。

 辺りを見渡すとルナだけでなく、ロゼさんを始め全員心配するような顔をしている。鎧甲冑であるであるモフモフスキーさんだけは表情が分からないけど、恐らく心配させてしまった事には変わりはない。


「あー、ごめんルナ。それに、皆さんも待たせてしまってすいません。どれくらい時間がたってますか?」

「いえいえ~。無事に戻って来れたなのなら問題はないですよ~。時間はそうですね~……15分弱といったところでしょうか~?」


 あれ? 体感時間では30分以上いたような気もしたのに、思ったよりも短いな。という事は残り時間が一気に減少したのは時間がたったからではなくて、やっぱりアスクレピオ―スが描いていた魔法陣のせいという事か。


「メイにーちゃんいったいどこに行ってやがったですか!? ルナ達、めっちゃメイにーちゃんの事を探したのに全く見つけれなかったです!」

「そうですね~。メイさんが落ちたらしき隠し通路も、何故かはいる事はできませんでしたし~。もしかして~一人用のエリアだったのですか~?」

「いや、あの難易度でソロ用ダンジョンだとは思いたくはないんですが……」


 別に隠すことも無いのであった出来事を全て話す。俺としては攻略組のパーティー構成メタに近い敵が出てきたことが一番のポイントだと思ったのだが、皆はむしろ俺が戦った敵自体に興味を持っていた。


「アスクレピオ―ス……蛇使い座の敵ですか~。碑文の情報も含めて推察するに、という事は~……」

「いるだろうねー。他の十二星座全種類の敵がー」

「スゲーです! メイにーちゃんそんなやべー敵に勝ったんですか!?」

「お、おう。みんなそっちに食いつくんですね。俺としてはその戦い方の方がまずいと思ったんですけど」


 俺がそう言うとロゼさん達はキョトンとして俺が何を言っているかわからないといった顔をした。え? 俺何か変な事言ったか? 

 不安を覚えた俺にロゼさんは諭すように教えてくれた。


「確かに人族領側ではそのような戦術が成り立っているのかもしれませんが~、ここは豊富な個性を持つ種族が多種多様に存在するが魔族領なので、そのような戦い方をするメリットがないのですよ~」

「そもそもー、そんな人海戦術ができるほど魔族プレイヤーいないしねー」


 ロゼさんの説明とモフさんの補足を聞いて納得した。そういえばランダムで種族が決まる魔族種はタンクと魔法使いを揃えるよりも各々の個性を伸ばして戦ったほうがはるかに強いのか。魔族プレイヤー人口も一番低いのなら尚更だろうし、種族間で環境が違う。まさに目から鱗といったところだ。


「それで~、何か変わった事はなかったのですか~? それだけ意味深な碑文もあったのならただ倒すだけで終わるとは思えないのですが~」

「それもそうか。ちょっと見てみるけど……うぇ!?」


 思わず変な声が出てしまってロゼさん達が目を丸くする。いや、声が出てしまっても仕方がないだろう。

 何せ確認の為に開いたステータスがこうなっていたのだから。


【メイ】 Lv.351

ジョブ 中級道化師

HP 21/21

MP 21/21

STR 5

DEF 5

AGI 20

INT 5

DEX 550


 レベルが100以上も上がっていた。これで驚かずにいられるだろうか!


ジョンドとコットンと共にクラーケンと戦った時ですら、せいぜい5.6レベル程度。アスクレピオ―ス戦の前の俺のレベルは216レべルだった。

 あの時はパーティ編成をしていて俺の会得経験値が他の皆に流れていたからまぁ、分からなくもない。だけど、それを考慮してもアスクレピオ―ス戦一回でこれほどまでレベルが上がるなんて信じられない。いくらDEXのお陰で会得経験値が増えていたとしてもそれと同じように俺のレベル帯では必要経験値も増えてしまっているのだから。

 あれだけ【成功】スキルを連鎖させてやっとの敵だった事を考慮してもアスクレピオ―ス一体でそれだけのレベルには……いや待てよ?


 無限湧きしていたあの蛇エネミー。あれも倒した時に経験値が入っていたとしたらどうだ? それにアスクレピオ―スが蛇をアンデッドに仕立て上げた時HPが新たに発生していた。つまり一体で二回倒していた事になるはずだ。

 成功スキルを重ねたうえで苦戦したあの蛇も相応に強敵だった。その分も含めて考えればあるいは……。

 なんにせよ、これだけレベルが跳ね上がったとすれば割り振れるステータスポイントは膨大な量だ。100レベル以降は得られるステータスポイントは3ポイントで、200レベル以降は4ポイントだった。300以降も前例通り得られるステータスポイントは増えて5ポイントになっているから、えっと……216レベルから351レベルで586ポイント!?


 もはや今の俺のDEXを越えてしまっている数値に思わず笑いが込み上げてくる。ほぼ倍になるじゃないか。ここにジョブ補正で三倍も入るし、ここに二倍のジャンプと三倍の回転を加えたら___



「メイにーちゃん? 変な声だして一体どーしたですか? ルナの十字架みたいに何かスゲー武器でも手に入っていたですか? 」

「え? あぁごめん、何でもない。いや、何でも無くはないけどこれは後で話すよ」


 あまりにぶっ飛んだレベルアップにちょっと頭が変な方向に茹で上がってしまったので一度深呼吸をして落ち着ける。

 ステータスは流石に引かれそうなので話すのは後回しにして、ルナの言った通りアイテム蘭を確認してみる。

 といっても、倒した後に宝箱のような物を開けた記憶も無いしそんなアイテムはないと思うけど……と思ったら何か入ってるな。これは装備品か?

 とりあえず装備できるか試してみる。失敗。装備条件でもあるのか?

 代わりにアイテム蘭から取り出してみる。取り出したそれはアスクレピオ―スが使っていた白蛇と黒蛇の二匹が巻き付いた杖だった。まさか、ドロップアイテムか?


「へ、蛇ですか!? か、噛んだりしねーですか……?」

「心配しなくても~、杖を形作るパーツの一つですから大丈夫ですよ~」

「ふふ。それに蛇はむやみに手を出さなければ比較的大人しい物が多いから大丈夫だよ」

 

 怖がってマオさんの後ろに隠れるルナを笑いながらマオさんとロゼさんが宥める。俺も大丈夫だとは思うが、本当に噛んだりしたら危ないので念のため皆から離れる。

 装備はできなかったのでアイテムの説明を開く。


【アスクレピオ―スの邪星杖】【ワールドレア】

武器補正

・装備者のMPの値を5倍にする(現在は効果6割減) 

・装備者のINTの値を5倍にする(現在は効果6割減)

・装備者に装備中に限り【回復魔法(EX)】、【闇・死霊魔法(EX)】を付与する。

・蛇系統モンスター限定でテイム効果超上昇

・破壊不能武器

エクストラスキル【天】

【星域解放:蛇使い座】(現在は使用不可)

星の力を開放し、その座の力を世界に示す。

・一定範囲に回復効果超絶上昇効果のあるエリアを構築

・一定範囲に即死効果超絶上昇効果のあるエリアを構築

・一定範囲内にテイム状態の蛇系統モンスターをポップさせ続ける

【干渉権限(1/21)】


 神の手により天上より棄てられし星々の恨みを纏った邪杖。長らく地に堕とされてその輝きを失ってしまっている。星の輝きを取り戻しす度にその本来の力を取り戻していく。

 蛇使い座が有する力は蛇の象徴たる死と再生。いかなる者の病傷をも癒し、神の定めた命ある者の定めすら歪める。

 【装備条件:十二宮の星神器を他に1つ以上所持している事】



「な、なんだこの性能は!?」


 俺の上昇したレベルすら霞む程のバカげた性能に思わず口が塞がらなくなってしまう。ツッコミどころは全部なんだが、まず一つ目。なんだステータス五倍って。


 確かに道化師のジョブ補正だってDEX3倍という大きな倍率だけど、それもDEX以外全て半減以下になるという大きなデメリットを抱えての事だ。なんのデメリットも無く五倍にできるだなんてあまりにも強すぎる。

 単純な装備したときのステータス補正だけじゃない。装備中に魔法を使えるようになったり、武器に特殊なスキルが付いたり、おかしいところだらけだ。ぶっ壊れにもほどがある。

 大体なんだ【ワールドレア】って。俺の使っている鉄の短剣にはそんなレアリティの表示なんて存在しないぞ。インフォメーションやウィキといった情報ソースがないこのゲームで新しいワードが出てきても調べようがないし、分からないな。勝手な想像だけど、俺の【鬼才】スキルの様にゲーム内に一つだけ存在するレアリティとかか? それくらいしないとバランスが取れそうにもないと思うけど。


 見たままの装備情報を皆に伝えると概ね俺と同じようなリアクションが返ってきた。これだけおかしい事かいてるんだからそりゃ皆驚くよな。


「うーん……それホントにアスクレピオ―スの杖って書いてるのー? その蛇が二匹ついてる杖がー?」

「え? そうですね……。少なくとも表示の上ではアスクレピオ―スの杖ってなってますね。それにアスクレピオ―スを倒してドロップしたらしき武器ですし、まず間違いないと思いますけど」

「そっかー……。それならいいやー」

「そ、そうですか?」


 唯一モフさんだけは納得がいかなそうな様子をしているが、そこで話は終わってしまった。どうしたのだろう。改めて杖を見てみるが、それはあのアスクレピオ―スが使っていた黒蛇と白蛇が絡みついた杖であり特に変わった所はない。ちょっと気になるけどモフさんもこれ以上語る気はなさそうなので気にするのは止める。

 それよりも、この杖をどうするかだ。


 杖の効果的に回復職の人物が持ったほうがよさそうだけど、どうせ回復魔法は装備したら付与されるのだから魔法使いジョブのプレイヤーならだれでも有効に使うことが出来るだろう。となると、俺の知り合いの中ではルナかモルガーナの二人になるのだけど、これだけの壊れ性能だ。絶対問題事の種になる。

 よっぽどのことがない限りこれは使わずに持っていたほうが平和かな?


「それでは~、メイさんも見つかった事ですし、帰りましょうか~」

「そうです! こーりゃくは帰るまでがこーりゃくです! 」

「そうだねぇ。僕達は帰り道が分からないからみんなについて行く他にないからねぇ。よろしくお願いするよ」


 ロゼさんの一声で俺達は帰ることに決まった。最初はロゼさんの育てる毒草を手に入れる為だけだったのに、大きすぎる収穫を手にして俺達はダンジョンを抜け出した。




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