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第八話

レベルとかスキルとかそこまで深く考えて書いてません。それでも良ければお付き合いください。


「よ~しよし。こっち気付いたな~突進してきたな~? んでこのタイミングッ! うし成功~」


 結果を最初に言うとウサギはカモになった。突っ込んでくるウサギを避け際に耳を掴む。捕まえたら空いている方の手で短剣を持ち切りつける。両手で持たないと安定しない長剣や槍といった大きく重量のある武器と違い小さな短剣であれば序盤の低いSTRでも軽々持つことが出来る。捕まえて、切る。この動作を取るのに短剣はめちゃくちゃ便利だった。


 最初のあれ以降、避け際に切りつけるとかもやってみたんだけど、それじゃ後手に回って切りつけた後のウサギの行動次第じゃタイミングミスする事が多々あった。

 基本的に油断している状態の初撃でなんとか決められないかな~なんて思っても短剣の攻撃力じゃ逆立ちしても一撃で決めることは出来ない。でも捕まえることならできた。自分から飛び込んできてくれるもんね。

 初めの数回は攻撃をくらって少しダメージを負う事もあったけど慣れてくるとノーダメージで捕まえる様になってウハウハだ。アニーなんてもう乾いた笑いを浮かべていた。


「まさか短剣でそこまでうまくいくなんてマジで予想外だわ。俺がお前くらい初心者だった頃は小さな的のウサギを長剣で切るのに苦労したってのに。むしろなんで素手でキャッチできんだよ。当時の俺なら絶対にできないぞ」


 まぁ剣の重さは感じないのに頭では剣を持ってる自覚があるって状態だもんな。体で覚えるが出来ないわけだし。なんて言えばいいのかな。エアギターならぬエアバットで、バットを持った経験0の奴がヒットを打つ練習する感じ? 剣なんて日本じゃそうそう触らないし。イメージしずらいし。


 その点自分の身体のイメージだけで済むから意外とウサギキャッチはやりやすい。それをアニーに伝えたら分かるような分からないようなと複雑そうな顔をしていた。何故だ。

あぁそうだ。俺の狩ったウサギの数だけど、今ので27匹。あと三匹狩れば依頼を最高評価でクリアできる。金銭的にも結構おいしい。

 レベルだけど27体倒して13レベルになった。レベル10になったらノービス以外の職になれるという事で、転職条件を満たしていた短剣使いになった。ギルドとか神殿とかそう言う所に行かなくても、ノービス→別の職業はその場で出来るらしい。ご都合主義万歳。序盤という事で結構レベルの上りが良い。今のステータスはこうなってる。



【メイ】 Lv.13 ヒューマン

ジョブ 短剣使い

HP 10

MP10

STR 5

DEF 5

INT 5

AGI 14

DEX 20

スキル数:3

補正詳細▽

職業補正 短剣使い

1.攻撃時、STRの値0.5割加算

2.常時、AGI,DEXの値1割加算

3.短剣系のスキルの会得簡易化



 SSO(セルフストーリオンラインの略称)はセルフサービスと言われる通りステ振りも自分で行えた。レベルが上がる毎にステータスポイントとかいうのが2ポイント加算される。俺はこんな感じで速度と器用値を上げることにした。アニーにはバランスよく上げる様に進められ特化に反対されたけど。

 現状ウサギ相手なら死ぬことは無いし、それならより早く避けられるようにAGIを上げておきたい。短剣の補正にDEXの上昇があったから、器用値に期待してDEXにも振った。現状紙装甲の軽戦士だけど今のところ危険は無いかな。

 器用値の方が高いのは、レベルが上がる度に自分の最高速度が変動するのが煩わしくなったからだ。レベル10になるまでは双方に1ずつ振ってたけど、そこからはずっと器用特化だ。そのせいか心なしか体が軽くなってアバターが体に馴染む感じがある。アニーに言ったら気のせいだって言われた。アニーはバランスよく振っているけどそこまで劇的な変化はなかったらしい。残念。



 得たスキルは3つ。説明文が簡素で分かりにくかったから自分なりに説明すると、

【ショートスラッシュ】

 短剣で前方を攻撃するスキル。短剣だから範囲はとても短い。ぶっちゃけ今の俺の戦法的に使いどころがない。短剣使いのジョブになったら自然と手に入った。

【的確急所】

 使うと少しの間クリティカルが出やすくなるスキル……らしい。どうせ耳押さえてる状態だし、ダメージ増えないかな~って首とか頭とか急所っぽい所ばっか切ってたら手に入ってた。ちなみに首とか狙った方がクリティカルの出る確率は上がるらしいけどダメージ自体は増えないそうです。残念。

【ステップ】

 現在のAGIの1.2倍の速度で一歩分移動できるスキル。ウサギの攻撃を避けてたら手に入った。アニーが初心者にウサギ狩りを推奨してるのは攻撃を避ける分このスキルを取得しやすいかららしい。ウサギ直進的な突撃しかしてこないからね。



 この3つのうち【ステップ】は本当重宝してる。一歩分だけだからそこまで煩わしくないし余裕をもって避けられる。【的確急所】は一応使ってはいるけどクリティカル自体が発生しずらいらしく、クリティカルがそんなに出せていない。だからこのすきるが力になってるかどうかはまだよくわからない。

 【ショートスラッシュ】は…動きが自動で勝手に決まるって使いにくいよね。……察せ。一回使ってそれ以降使ってない。

スキルの使い方は一応自分でスキル名を言えば発生する。なんか中学生に戻った気分で恥ずかしい。アニーはスキル名を言わなくても脳内で意識するだけで発動できるらしい。結構高等テクニックらしくてドヤ顔してた。


「本当ならウサギ狩り特化のステータス構成なんてやめさせたいが、お前の動き見てるとそれ他のモンスターでも通用しそうだから怖いよな。自称攻略組の奴らなんて攻撃が避けられないからってHP・DEFに振ってタンクするか魔法使いで遠距離攻撃の奴ばっかりなのに。俺みたいな剣士は少ないが軽戦士は稀少どころか絶滅寸前だぞ」


 俺は絶滅危惧種なプレイヤーらしい。調子に乗ってドヤ顔したらアニーに軽く小突くかれた。ホントに軽くだったのにHPが一気に1になったのには二人して焦った。パーティーメンバーのフレンドリーファイアはダメージカットされる筈らしいのに。これが性能差か……


「あ~ええと、その自称攻略組だっけ? そのタンクと魔法使いってスタイルのパーティーは結構バランスが良いと思うんだけど、ダメなのか?」

「お、おう。確かに悪くは無いんだが、少しでも魔法使いへのヘイトが増えるとそっちに向かっていくだろ? そうなるとAGIに振っていないタンクたちは追い付けない。だから前衛でヘイトを稼げる剣士が必要なのさ。

 だが、剣士の機敏な運動に対応できる程のセンスがある奴は少ない。コントローラーがあってのゲームなら反応反射は俺よりも数段上なんだけどな」


 ゲーム特化の廃ゲーマーで実際の運動はできない人間と、廃ゲーマークラスのゲーマーでかつ運動も出来る人間。攻略組を名乗れるほどの人間でどちらの人間が多いかと言われると前者の方が多いんだと。まぁそれでも魔法使いが楽で強いってのも事実らしいけど。ネトゲでタンクってあんまり見無い様な気もするけど。


「確かに魔法使いは強い。剣士が近づいて敵の攻撃に気を付けつつ一撃を当てるという動作過程がある中、敵を見つけ次第魔法をぶっ放してサーチ&デストロイが出来るんだからな。そしてそこにタンクの守りがある限り自分は傷つかない。タンクもパーティーメンバーであればそのおこぼれがもらえる。メリットの塊だ だがな。」

「いくら強いって言っても大勢が使っている職業なんてつまんねぇだろ?」


アニーはそう言ってニヤリと不敵に笑って見せた。


「……天邪鬼?」

「ロマンの漢と言え」


 まぁ、俺も短剣を選んだ天邪鬼の同類なんだけどな。



~~~



「残り三体だろ? さっさと狩って町に戻ろうぜ?」


 そうは言っても夜が更けるにつれてちらほらと外で戦闘するプレイヤーが現れ始めた。獲物の取り合いも出てきているし意外と大変そうだ。でも多くのプレイヤーは鉄製の代物ではなく木の棒とか木剣といった木製の物だった。

 最初所持金0だもんね。俺はアニーに買ってもらったから大分楽できているけど。木の棒持ったプレイヤー達の視線が痛い。


「おい。そこの皮装備の奴。新規の奴に武器配ったりしてんなら俺にも何かよこせよ。どうせ序盤武器なんて買っても痛くねぇくらい稼いでんだろ? 贔屓してねぇで俺らにも武器くれよ」


 というようなクレクレがあったりなかったりしたが、軽く流されて放置の状態だった。元々レベル差があってステータスが高いアニーとDEX・AGIに振りまくってる俺の速さには、木の棒で戦うそいつらのステータスでは到底追い付けず簡単に撒けた。


「ったく。もう少し下手にでて交渉でもしてくりゃ一本くらい買ってやってもいいのに、ああいう輩はどうしてこう高圧的なのかね? 礼儀というか、長幼の序がわかってねぇ。レベルでも上げて出直して来いってんだ」


言い方次第では買ってやるのか。アニー、漢だ。


「俺がしたいのは新人の青田買いだからな。だがありゃダメだ。クレクレ厨じゃどの道将来に期待はねぇよ。お前は買ってもらうにしてもしっかりと後々の事を考えて武器を選んでたってのに。何だよ「なんかくれ」って。貰える物なら何でもいいのか?」


 買って貰った立場からするとあまりそいつらを責められない訳で、苦笑して流す。とにかく今はウサギ狩りだな。返せとは言われてないけど短剣の代金は今回の報酬で返した方が良さそうだ。おっ、ウサギ発見。


「まぁ、目の前に先輩プレイヤーに指南されつつ新人じゃ買えっこない武器使ってるがいたんだ。それなら俺もってなっても仕方ないさ。【ステップ】」


 二十数回もやればもう慣れたもので、会話しながらでもウサギを捕まえられる。耳を押さえつつ短剣で、斬る。これもう冒険者ってより狩人とか肉屋じゃね? ウサギだとモンスターと戦ってるって感じしないし。仕留めたことを確認し終えると次の獲物を探す。後二匹だからすぐ終わるかな。


「そうだ。依頼が終わった後、まだ時間あるか? 少し話しておきたいことがあるんだ」

「構わないけど、やけに真剣だな。パーティーのこれからについてとかか?」

「それもあるがもっと根本の部分。このゲームについてだ」


 アニーのその声を聞き、ようやく俺はこのゲームが怪しさMAXのゲームだった事を思い出した。






ステータスの上昇とかレベルアップとかは授業の合間に五分くらいで考えたやつです。おかしいなと思ったら手を加えるかもしれません。


12月23日

誤字修正しておきます。教えてくださった方ありがとうございます。

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