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第六十三話 ~魔族領・宝島編~

いつの間にかVR部門の日間ランキング35位に上がっていて笑える。

読んでくれた方々ありがとうございます。

話数が増えてきたらページ毎の内容を作者が把握出来なくなりつつあるので、今後はちょっと追加の言葉入れていきます。


 魔の森を抜けた先にあったのは枯れた草木ばかりで緑が見当たらない、黒い土をした荒れ地にどんよりとした曇り空といった光景。人族領側から来た時には少なからず草原のような緑があった。

 このように暗く重い雰囲気なのはこっち側が魔族領側だからだろうか? なんにしてもこれまでとは異なるステージであるという事がよくわかる。



「いやぁ助かった! こんなに簡単に魔の森を抜けられるなんて思わなかったよ」

「そういう契約だったからな。取引を確認するぞ? 1つ、俺達を尾行にしていた事については俺達の情報を他者に売らないことを条件に不問とすること。2つ、魔の森を抜けるまでは護衛を兼ねてガムを同行させ、共に行動すること。護衛の報酬はこれから魔族領で収集した情報で払う。いいな?」

「もちろん! 2人は自信の情報を他に売られずに済んで、さらに魔族領の情報を得られる。僕はタダ同然で魔の森を抜けられる上に問題を不問にして貰う。お互いWin-winの良い取引だったね。」



俺達を尾行していた情報屋、ガムはヘラヘラと笑いながらそう宣った。ウィンウィンだなんて調子のいいことを言っているが、ガムは俺達に対して所持金やアイテムといった一切の取引が発生しないし、情報だって俺達二人に無償で提供したところで他のプレイヤーへいくらでも高値で売りつける事ができる。一切支出なんてないんだ。

 確かに俺たちは自分たちの情報を売られない事と魔族領の情報を得られるが、得をしているのはガムの方だろう。


 ちなみにここまでの道中、ガムとはパーティーをしていない。一度俺とパーティーを組んでしまったら経験値の上昇がおかしいことに感づかれてしまうからな。

 いくら俺達の情報を広めないことを条件にしても、経験値上昇を強化サウル何かがあるという事を情報屋に知られるのは不味い。

 しかもパーティーを組めないといった時、ガムはボソりと流石にガードが堅いってつぶやいていた。多分パーティーを組んで何かしら探ろうとしていたんだろう。言動は軽いくせに本当に油断ならない。




「さてと。これで僕達はめでたく魔族領に侵入した。僕は情報収集に勤しむことにするけど、2人はどうするのかな? 」 

「どうしてそれをストーカーに教えないといけないの?」


 ミツバもガムを信用できないらしく、未だに警戒を解こうとしない。女性だし、ストーカーへの対応は厳しいらしい。口調がいつにもまして辛らつだ。

 ガムはミツバの極寒ともいえる態度をでも変わらずにヘラヘラ笑いながら口を開く。


「流石にアニー達のような慣れたプレイヤー無しに、情報の全くない地での活動は苦だと思ってね。どう? 違う? 」

「う……まぁ確かに……」

 

 実際生産のトップの都市や攻略の最前線に俺やミツバのようなプレイヤーが進むことができたのはアニーのような古参と知り合えていた事が大きい。アニーと出会えてなかったらここまで進むことはできなかっただろうし。

 的を突かれたことを言われ口ごもると、ガムは指を指して何処か方向を指し示す。


「情報によると、この方向に進んでいけば魔王城があるらしい。たぶんそっちの方に進んでいけば魔族プレイヤーや、魔族プレイヤーの始まりの町も見つかるんじゃないかな。あぁ最も、魔王城ともなれば相応の敵が出てきてもおかしくはない。……そうだね。グルっと迂回して、海沿いを進んだほうが確実に行けるんじゃないかな?」


 そう言うと指さしていた方向を90度くらい変更する。確かに魔王城と言えば、RPGのいわばゴールのような場所だ。そうなると相応に強い敵の筈だし二人だけでは流石に危険かもしれない。魔族プレイヤーには会ってみたいが、そのせいで危険な目にあっては本末転倒だ。

 ここは言われた通り海沿いの方を通ったほうが良いのかもしれない。


「わかった。海沿いの方から行ってみることにするよ。ミツバもそれでいいか?」

「むぅ。強い敵がいるならそっちの方が……まぁいっか。海も観てみたいし、ボクも賛成だよ?」

「よし。それじゃあガム。俺達とはここで……ガム?」

 

 海へ行くと決まったからガムとはここで別れようと振り向いたら、既にそこには誰もいなかった。辺りを見回してみても、まるで最初から俺達二人しかいなかったというように何もいない。

 これが俺達をずっと尾行していたガムのハイドスキルに潜伏能力なのだろうか? 

 結局、胡散臭いままだったけれど情報屋らしい、と言えばらしいのかもしれないな。


 気を取り直して俺たちは海を目指してガムの指示した海へと向かう。






===




「うーみだー!」

「センパイ。その反応お姉ちゃんみたいだよ?」

「いや、海来たらこれやるのがお約束……モルガーナみたいだな。ごめん。自重するわ」



 確かにロマンの他にもこの手のお約束が大好きなモルガーナなら海に向かって叫ぶだろうな。簡単に想像できてしまった。

 流石にあのロマン至上主義と一緒にされるのはちょっとな……。


気を取り直して海をみる。 魔族領は基本的に暗い色がベースであり、薄暗いイメージのある場所が殆どだったが、それに反してこの海は全く異なった。

砂浜は白く、海は青色。薄暗い色とは異なり明るい色。まるでビーチのような印象を受けたが、日光量が少ないせいかキラキラと輝いている様子はそんなにしないかな。


遠目から周囲を確認してみると犬程の大きさはありそうな大きな蟹が砂浜を徘徊している。おそらくこの砂浜のモンスターなんだろうな。

蟹というだけあって堅い甲殻に守られているんだろうけど、ミツバの打撃や俺のナイフが通じるだろうか?


「ミツバ。あの蟹に攻撃できるか?」

「できるだろうけど、人型じゃないからそんなに気が乗らないよ? まぁでも、やるだけたってみるね」



あまり気乗りしていないような表情のまま蟹型のモンスターへと突っ込んでいくミツバ。魔の森ではあまり役に立たなかったけど、そろそろ戦闘で役に立たないと本当に学習装置程度の存在価値しかなくなってしまう。


アイテムボックスからボールを取り出してジャグリングを始める。ある程度【成功】スキルでステータスを上昇させたらすぐにでもミツバと合流しよう。


カニへと一気に距離を詰めたミツバは、その勢いのままに拳を叩きこむ。レベル100越えのSTRとAGI二点に重点的にステータスを構築しているミツバの速度は相当なものだ。それを最大限に活かして拳を叩きつけたことにより、蟹の甲殻は砕け散って貫かれ倒された。

 

「いった~い! 蟹殻なんて殴るものじゃないよ? すっごく堅い」


 いつも戦うときは飄々と余裕を崩さないミツバが珍しく顔をしかめてそうボヤいた。蟹殻を砕いたのが割と本当に痛かったらしい。殴った方の手をプラプラ振って痛みを逃がすような仕草をしている。蟹は他にも数匹残っている。全部ミツバに任せてしまってはミツバの負担が大きいだろう。いくらフルダイブで現実の身体には影響がないといっても痛いのは誰だっていやなはずだ。


 そんなに堅いなら俺のナイフなんて刺さらないんじゃないかって心配になったが、俺もミツバの加勢に戦闘に参加する。ボールジャグリングを止め、ナイフを取り出す。


「【ダガースロー】! ……ダメか」


 試しにナイフを投げてみたが、案の定甲殻に阻まれ弾かれてしまった。ナイフが当たった蟹はノーダメージと言っていいだろう。


【oh……失敗】


 ダガースローのスキルが失敗したため成功の連鎖が止まってしまった。上昇していたAGIやSTRが途切れたことでガクりと身体が重くなったような錯覚に陥る。

 仕方がないのでステップスキルを使用しすぐさま距離を取り、ジャグリングを再開する。


「ミツバ悪い! ステータスの上昇が途切れた! 少し時間をくれ!」

「むぅ~。あんまりこの蟹殴りたくはないよ? ……ハッ!」

 「キシャア!?」



 殴って攻撃しては拳が痛いからか、手を開き掌底で蟹を殴りつける。すると、さっきのように甲殻が砕けるといった事はなかったが、蟹は泡を吹いて苦しみだした。掌底といえどもダメージは大きかったらしい。


 ミツバは掌底で止まらずに、さらにそこから足技に移り蹴って蹴って蹴りつける。怒涛の連撃を受けた蟹はそのままダメージが蓄積して動きを止めた。これで二匹目だ。


 多少成功スキルが重なってきたので、今度は俺も前にでる。ナイフを取り出し、ステップスキルを使って一気に距離を詰める。

 

「【的確急所】! これでどうだ……っつ!?」


キンッと音を立てて、大してダメージが入らなかった。ゴブリンを斬った時のような生々しい感触はしなかったものの、堅い物を思い切り斬りつけたせいで手にしびれるような感覚が生じる。

適当に斬るようじゃ攻撃は通らない。それなら、関節部分にナイフを突き立てる!


「蟹の料理ならこうすればいいだろ!」

「キショア!?」


【クリティカル 成功!】 【連鎖!】


 蟹の腕の関節部に突き立てたナイフは関節部に深く突き刺さり、軽くひねると蟹の爪はポロリと外れた。おそらくは部位破壊のような扱いなのだろうけど、思った以上に関節は脆いらしい。


 続けてもう片方の関節部にも同じようにナイフを突き立て、蟹爪を外してやる。最大の武器である両爪を失った蟹など、もはや怖い物などなにもない。

 残る足関節も同様にガンガン刺してやるとやがて蟹は動かなくなり粒子と消えた。


「あ、なるほど。蟹ってそうやって倒すんだ。それじゃ……ていっ」



 蟹の関節を壊す様子をみたミツバが目から鱗といった様子で戦い方をガラリと変えた。

蟹の腕を掴むとグルりと捻り関節を外す。え? それだけで外せるの!?

次にもう片方の腕の関節部を軽く関節を抑えると、関節の曲がらない方向へてこの様にキュッと押すとまたもやそれだけであっけなく外れてしまった。


「なんか殻の堅さの割に関節はすっごい脆くて拍子抜けだよ? 」

 

 そういいつつも、ポキポキと容赦なく蟹足も折っていく。身動き一つ取れなくなった蟹はそのまま悲し気な鳴き声を放ちつつ消えてしまった。扱いの酷い蟹は泣いていいと思う。


 楽な倒し方のコツを掴んだらしいミツバは、次から次へと蟹を屠っていく。しかも、攻撃のコンボを重ねるごとにそのせん滅速度が速まっていく。うかうかしていたらまた俺が足手まといになってしまう。

残る蟹に急いでナイフを突き立てて関節の破壊を試みる。ミツバ同様、俺もスキルでステータスを向上できている。ミツバ程じゃないにしろ、関節に突き立てたナイフは割と大きなダメージにつながるはずだ。

突き立てた蟹を倒せたことを確認し、次なる蟹を倒そうとしたところで砂浜に驚いたような大声が響いた。

 

「あ~~! カニが殆どいなくなってますよコットンさん!」




 



明日から数日程ゼミ研修が入るので投稿できるか不明です。

泊まる先でパソコンネットに繋げれたら投稿します。

先に言っておくと、11日はFGOで好きなキャラのピックアップが来るのでたぶんガチャの結果次第で投稿できません。今度こそ私がお母さんになりたいと思うのでガチャ当たる様に読者の皆様のお力を分けてください。懐胎するよ!

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