第五十五話
投稿遅れてすいません。
切る所が分からなかったのでちょっと長めです
「こんばんはー」
「げ! ミ、ミツバ……」
「あら? ミツバちゃん早かったわね。今日は道場の方でお稽古なんじゃなかったかしら?」
ギルドの中でモルガーナが悪目立ちする騒ぎかたをしていたが、ミツバもログインしてきた。これでパーティメンバー全員集合したな。
サオリは純粋に疑問として聞いたようだが、モルガーナはというと全くの予想外といった様子で顔を青くして固まってしまっている。しかもダラダラと滝の様な汗まで流し始めた。感情か身体状況なんかを機械が読み取って反映させているのだろうか。どちらかというと今機械が読んでいるのは空気かもしれないけど。
「サオリちゃんこんばんはー。昨日の遊んだのが楽しかったから道場の稽古が終わったら急いで帰って来たんだよ? それよりも……お姉ちゃん?」
「な、なにかなミツバ!?」
「帰ってきたら妙に気持ち悪い高笑いしてるからまさかと思ったけど……またアニーさん達に迷惑かけてたのかな?」
「ぜ、全然そんな事ないよ! 楽しくみんなでお喋りしてただけから、迷惑なんてこれっぽっちもかけてないかな!」
「ふうん……まぁ今はいいか。他人様も見てるし」
モルガーナが、ジト目で見つめるミツバに弁明を試みる。よく言うよ……オリンピックだったら金メダルも夢じゃないだろうってくらい目の泳いでるじゃないか。説得力は全くの皆無だな。案の定ミツバにもそれが嘘ってバレバレのようで、ぼそりと「後でお仕置きかな?」と呟いている。モルガーナは弁明に必死で気付いていないようだ。合掌。
「それで? 今日はどうしようかしら? 昨日みたいにまたウサギと触れ合いにでも行きましょうか?」
「ん~。それよりももっと強い敵と戦いたいよ! せっかく上級魔法も使えるくらいになったんだからドカンと一発打ち込んでやるよ!」
「俺は昨日同様ウサギでもいいけどな。メイもいる事だし、レベル上げは重要だ」
「ボクも強い敵と戦えればそれでいいよ? お姉ちゃんと被るのは癪だけど……あ、できれば人型を希望するかな?」
今の所強敵と戦いたいの方が票が多いか。にしても流石姉妹だったというべきか、モルガーナだけでなくミツバも強敵と戦いたいと来たか。しかもリアルでも格闘技をやってるだけあって人型の敵と戦いたがる辺りにバトルジャンキーの気質を感じる。強敵と戦うとすればもっと前線の奥の方に行く事になるかな……。
ん? 強敵といえばバロンの言っていた前線のエリアボス。これも強敵だよな? 人型では無いだろうけど、それでもドラゴンであればミツバも満足できるくらいの強さだろう。
攻略組が何度挑んでも討伐出来なかったって言うくらいだしな。
「なぁ。物は試しというか、相談なんだけど……」
エリアボスについて説明していると、モルガーナがみるみると目を輝かせ始めた。やっぱりこの手の話題に一番に食い付くのはモルガーナか。アニーだけは反対なのか若干苦々しい顔をしているが、ミツバとサオリの二人は強敵と聞いてまんざらでも無い様子だ。
「それ行こう! 誰も倒せないドラゴンを見事討伐する魔法使い……それすっごいロマンだよ! 今すぐ行こうこれから行こう直ちに行こう!」
「そうね。あのいけ好かない攻略組に一泡吹かせるっていうのも一興かしら。それならアタシもモルちゃんに賛成よ」
「うーん人型……まぁいいか。強ければなんでもいいよ? ボクもお姉ちゃんに賛成に一票で」
「ハイ三対二で多数決決定! 今日の目標はエリアボス! さぁ目指すは魔の森の「ちょっと待て」ぐぇ! なにするの!? 」
ミツバとサオリが賛成するや否やエリアボスのいる魔の森に向かおうとするモルガーナだったが、アニーがそれを引き留めた。その引き留め方が首根っこを引っ張るものだったからモルガーナもアニーに怒り心頭といった様子だ。といってもこうでもしないとモルガーナも止まらないと思うけどな。
「一回落ち着いてよく考えてみろ。戦術を組んでる攻略組ですら倒せない敵なんだぞ? まだパーティを組んで間もない俺たちが何の準備もなく勝てる筈がないだろう。行くにしても準備が先だ」
「そんな事必要ないよ! 大体このメンツで準備なんて必要ないよ! メイ君やサオリたちはHPに割り振ってないから回復ポーションなんてあって無い様な物だし、ミツバだって回避が前提だから必要ないよ! 私はMPポーションくらいだけど、それくらい常備してるよ。必要なのはアニーくらいだよ! ……あ、必要か」
「最終的には納得するのかよ!? ……いや、でも必要なのは俺だけっていえば俺だけなのか。悪い。少しの間待ってて貰ってもいいか?」
言われてみればこの中で回復ポーションを必要とするのはアニーくらいか。ミツバは攻撃を回避する事が前提であるし、サオリやモルガーナは持ち前の高火力でやられる前にやれってスタンスだ。斯く言う俺もHPなんて割り振っていないからポーションは必要ない。そもそも攻撃なんて喰らったらそれだけでHPが吹き飛んでLPに変わるからな。一度も割り振っていないDEFが半減するってことはそういう事だ。
「物資の買い出しなら俺に任せて貰えないか? AGIの高さには自身があるんだ」
「バロン? いや、流石にそこまでしてもらうのは申し訳がねぇからいい……」
「良いんだ。メイがしてくれたことに比べたらこれ位の事はどうってことない。ちょっとまってな!」
「あっ! おいバロン! ……行っちまったか。メイ。お前一体バロンに何やらかしたんだ?」
「俺のせいかよ!? 本当にレベリング手伝っただけだって!」
それに手伝ったといっても俺からするとパーティを組んで普通に戦ってただけだから、そこまで感謝される実感がわかないんだよな。しかも、俺自身は礼だってかなりの金額を受け取ってしまってるし。それをアニーに伝えても半目でこっちを見てくるだけだから納得がいかない。
モルガーナはなんで深く頷いてるんだ? 私はちゃんと分かってますって雰囲気を出されてもそれはそれでムカつくな。
「待たせたな」
「「「速っ!?」」」
ついさっき立ち去ったばかりのバロンがもう戻って来た。カップ麺が出来上がるよりも速くないか? AGI……恐るべし。
「上級ポーションに上級のMPポーション……しかもプレイヤーメイド? これはかなりの金額になるだろ。流石に受け取れねぇよ」
「そう言うなって。一応これには俺の思惑もあるんだ」
「あら? 一体どんな思惑かしら? 事と次第によっては多少の荒事は覚悟して欲しいわね」
バロンが高価なポーション類を持ってきた理由が思惑あってと言うと、それを聞いたサオリが目を光らせる。やっぱりサオリの中では攻略組の素行の悪さの方が比重が大きいのか今一信用しきれてないのかもしれない。
サオリににらまれたバロンは慌てながら否定する。
「待て待て待て! 思惑って言ってもそう大したものでも無い。 エリアボスと戦うって、あの要竜を討伐するって事だろ? それぞれの個の力が優れているお前たちのパーティーが要竜を討伐すれば、今の思考停止してしまっている攻略組に新しい風が吹くはずだ。だから何としてもお前たちに倒してほしいんだよ」
「なるほど。バロンちゃんは攻略組の中でも革新派のような位置取りって訳ね。そういう事ならいいわ。攻略組に一泡吹かせるっていうのはアタシも同意している訳だしね」
「そういってもらえると助かる」
その言葉に納得したらしいサオリはバロンを睨むのを止める。あからさまにホッとした様子のバロンだったが無理もないだろうな。サオリは攻略組の盾職をボコボコにする程度にはSTRが高いんだし、後衛職が目を付けられたらひとたまりもないだろうし。
「それじゃ、このポーションはありがたく頂戴する。要竜だったか? 必ず討伐してみせる」
「そういうやり取りはもういいよ! これで準備は終わり! 目指すはエリアボス! いやっほう!」
「お姉ちゃん! ……ごめんなさい。バロンさんありがとうございます。それじゃ!」
「あらあら。モルちゃんったら仕方ないわね。それじゃバロンちゃん。期待して待ってて頂戴」
アニーがバロンにお礼を言おうとするも束の間。痺れを切らしたモルガーナが走り出してしまった。それに続いてミツバ、サオリそしてアニーまで追いかけて行ってしまった。
おいて行かれても仕方が無いし、俺も向かうか。
「あ! ちょっと待ってくれ! ……行っちまったか」
「どうしたんだ? 何か言い忘れた事があったとかなら俺が伝えるけど」
「あぁ。倒してくれとは言ったが、できれば無理をしないでくれ。アイツの強さは異常だ。強い弱いって次元を超えてやがる。……生きて帰って来いよ」
「当たり前だって。こんな面白いゲーム。そんなに安く死ねないよ」
LPが0になったらキャラクターが削除されるなんてふざけたゲームなんだ。いくらふざけたステータスをしているからって死んでもいいなんて考えている訳じゃないしな。
テンションが上がってるモルガーナにも注意した方がいいかと思いつつ、俺はみんなの後を追った。
「エッリアッボス! エッリアッボス!」
「お姉ちゃん。うるさい」
「はい……」
エリアボスと戦うべく魔の森を進行中、素っ頓狂な鼻歌を歌うモルガーナにミツバがピシャリと中断させる。一応姉である筈なのに速攻で歌う事を止める辺り、やっぱり姉妹のパワーバランスを垣間見える。
流石にここまで問答無用で止めるといつもならサオリやアニーがフォローを入れるのだが、今回ばかりはそれはない。何故かと言うと……
「モルちゃんこの状況ですごい余裕ねえ」
「てめぇサオリ! そんな笑ってる暇があったら一匹でも片づけろ!」
「分かってるわよ。オラァァ!」
「ブフォオ!?」
現在進行形でオークの群れに囲まれているからだ。魔の森に入ってすぐの浅い域では俺のラビットジェノサイダーのスキルのせいでホーンラビットの群れに遭遇していた。しかも道化師のデフォルトである効果でヘイトを集めてしまう事も相まって物凄い頻度でだ。中域まで行くとホーンラビットの角が一本から二本に代わり手強くなったんだけど、それはまだよかった。結局はウサギでしかないから、皆普通に対応できていた。
だけど深域まで来るとこれまで入れ食い状態だったラビットがぱったりと現れなくなり、代わりにオークや尻尾が二本の巨大狼や熊といった強敵とやたらと遭遇するようになった。
敵のレベルもかなり高いのか、STR特化のサオリは兎も角ミツバや俺じゃ一撃で倒せない。ジョブチェンジしたアニーでさえだ。余りにも劣勢の時は周囲の被害を二の次にしてモルガーナの魔法で一網打尽にしていたんだけど、エリアボスと戦う前からあまりMP回復ポーションを消費したくないからモルガーナには戦闘に参加せずに控えて貰っている。
ちなみにモルガーナを静かにさせたミツバだが、別に怒っていたわけじゃない。集中してオークと戦いたかっただけだ。むしろ、今は人型のモンスターであるオークと戦えているから怒りよりも喜色満面といった感じだ。
「わぁ。また豚の人が増えたよ! まさに戦い放題? しかもこんなお相撲さん体型の敵なんて階級別とは違って無差別級で戦ってるみたいですっごい楽しいよ!?」
そういってオークの振るうこん棒を紙一重で躱しつつカウンターを決めて確実にダメージを与えていくミツバ。しかも紙一重といってもギリギリで避けられているんじゃない。完璧にオークの攻撃を見切っているからこその紙一重だ。
ミツバだけじゃない。サオリもオークがこん棒を振るう前に拳を振るい、一撃でオークの頭をザクロの実に変えていく。
ザクロが分からない? それならもうググってくれ。簡単に言うと、ワンパンで頭部がグシャっとなってる。返り血を浴びつつも雄たけびを上げて戦うサオリはまさにバーサーカーだ。 アニーにしてもサオリ程の火力はないものの、盾を用いてオークのこん棒をいなしつつ付加魔法による攻撃力上昇を活かして確実で堅実な戦いをしている。
俺? どうせ【成功】スキルを重ねないと火力なんてゴブリン以下のものだし、いつも通りトランプを投げてるだけだ。うん。寄生プレイだな。
そうやって数を少しずつ減らしていく内に遂に突撃してくるオークの数が残り一体となりミツバとの一対一となった。
「やっとラス1か。長かったな。ミツバ。手伝うか?」
「大丈夫だよ? もう大体の動きは見切ったし、問題ないよっと」
手を貸そうとするアニーをやんわりと断り、オークと一騎打ちを望むミツバ。
オークがこん棒を振るっても、それを軽々と回避してる。もはや全く危ない様子はない。
数回程振るわれるこん棒を避けると、次の瞬間オークの懐に潜り込んだ。そして、こん棒を振るったせいで伸びている右手を掴むと、次の瞬間倍近い体格を持つオークを背負い投げた。……背負い投げた!?
「ていやぁ!」
「ブモァ!?」
掛け声自体は中学生の女子という事もあり可愛げのあるものの、やってることは相撲取りクラスの体格のあるオークを投げ飛ばしているんだ。しかも投げ飛ばされて地面に寝転ぶオークに対して更に殴る蹴るの追撃を繰り返し、遂に何もさせずに倒してしまった。
末恐ろしいというかなんというか……。
「流石はミツバちゃんね。こん棒を振った時の体重移動を利用しての投げかしら? 技術に関しては他の追随を許さないわね」
「あー楽しかった。やっぱり人型の方が戦ってて楽しいよ? それに実践訓練みたいだし」
いつもの疑問形ながらも楽しそうに笑うミツバ。リアルプレイヤースキルがチートだとやっぱり違うな。俺も格闘技でも初めて見るか? ……いや、ミツバの完全劣化になるのが目に見えてるな。やめとこう。
せめて道化師の得られるスキルがもう少し羞恥心を煽られないものであれば俺だって活躍できるとは思うけど……贅沢は言えないか。
「……なぁ。会得経験値がまた増えてないか? オークを倒してまたレベルが上がったんだが。メイ。一体何をした?」
「もう俺のせいで確定なのかよ!? いや、実際そうなんだけど……えっとまずはジョブチェンジしてDEXが2倍から3倍になったのは言ったか? その他にバロンのレベリングを手伝ったって言ったろ? その時に新しいスキルで【誘掖の道化師】っていうスキルが手に入ってな。【先導者】スキルの変化した物らしいけど、自分以外のパーティーメンバーの会得経験値を増やせるらしい。自分じゃ実感できないから分からなんだけど、どれくらい変わってるんだ?」
「ぱっと見で言えば一割くらいは増えてるな。にしてもなんだそのスキルは……そもそも【先導者】のスキルは自身のステータスを伸ばすスキルだぞ? それがどうやったら学習装置みたいなスキルに変わるんだよ…… お前は大切なものかよ」
それは俺に言われても、変わってしまったものは仕方が無い。それに別に俺はポケ◯ンの道具でもないし。
というか、アニーは【先導者】のスキルを持ってたのか。考えてみれば定期的に始まりの町に来て新規プレイヤー達に対してのレクチャーをしているんだしな。他プレイヤーの成長を促すって意味では正しい形で【先導者】をやっていたわけか。
ステータスが上がるなら【先導者】の方が良かったかもとは思うけど、どうせ三分の一にまで減少している俺のステータスでは焼け石に水か。
そんなことを考えていると、モルガーナが疑問の声を上げる。
「まぁ、そのスキルが無くてもメイ君がいる事で増える経験値が異常だよ。というかそれだけの経験値を会得できるDEXって一体メイ君のレベルって今いくらなの?」
「それはアタシも気になるわね。なんだかんだでメイちゃんったら自分のレベルや詳しいスキルをはぐらかすじゃない? 打撃を無効にするなんて可笑しなスキルもあるし、他にどんなスキルを持ってるのかしら」
「いやー、あはは。ほら! そろそろ目的の場所に着くだろ? 早く行こうぜ!」
「センパイ。話のそらし方が露骨すぎるよ?」
道化師のスキルなんて【転倒】スキルの様にほとんどが恥をかく様なものばっかりだ。そんなものパーティーメンバーにも言えないって。
自分でもどうかと思う程の露骨話題変更をミツバに突っ込まれたけど、それ以上の追求はしないでくれているようだ。それに、レベルにしたってなぁ……
【メイ】 LV.132
ジョブ 中級道化師
HP 10
MP 10
STR 5
DEF 5
AGI 20
INT 5
DEX 282
DEXにしか振ってなかったから、レベルが上がる度に貰える経験値が増える様になるせいで他の皆よりも大きくレベルが離れてしまってる。しかもそのDEXもレベルが100を超えると貰えるステータスの割り振りポイントが2から3になるせいで更に高くなるし、ジョブ補正、装備やスキルの補正も加味すると馬鹿みたいな数値になってしまう始末だ。他のステータスが軒並み一桁のせいでDEXの高さが際立つな!
今では俺より前からプレイしていたアニーよりもレベルが高い。こんなの言い出せる筈も無いし、いつ言えば良いのだろうか。
「メイのステータスは後回しだ。一応個人情報だしな。それよりも……いたぞ」
「……大きいわね」
アニーが指さす不自然に木々が生えていない地点。その中心に山のように巨大な黒い影。
全体が黒の金属光沢を発する鱗に覆われたその生物の脚は、まるで樹齢が1000年を超える大樹の幹のように太くどっしりとしている。背中の翼は今は閉じられているがおそらく広げたらその存在感を一回りも二回りも強調するだろう。頭部はドラゴンだけあって爬虫類を想像させる縦の瞳孔に目が行ってしまうが、それだけでなく口もさっき戦ったオークを一口で食べられる程度には大きい。
今は眠っているのか、周囲に大して全く警戒をしている様子は無いが、そもそもあれだけ大きかったら警戒の必要さえないだろう。
予想外ともいえる大きさに息を殺しながらアニーが先頭を歩む。
「これがゲートキーパー・キードラゴン。コイツは思ったより想定外すぎる大きさだな」
「ふむ……まさにエリアボスとしてベストマッチした存在だよ」
「ベストマッチ? お姉ちゃんいきなりどうしたの?」
「ベストマッチっていうのは仮面ラ「モルちゃん。静かに!」
ゲートキーパー・キードラゴン……長いな。確かもう一つの呼び名は要竜だったかな。そっちの方が呼びやすいか。
眠っている要竜が目を覚ます事を危惧したサオリが大きな声をだすモルガーナを止める。あれだけ巨大なモンスターに先制攻撃を許したらひとたまりもない、用心するに越したことはないだろう。
「あれだけ大きいドラゴンだとかなりの難敵になると思うよ……最初の一撃は私がやってもいい?」
「そうだな。あれだけの巨体だ。最初にデカいのを決めた方が良いだろう」
流石のモルガーナも空気を読んだのか声を数段落として提案する。攻略組ですら手こずるような奴なんだ。最初に最も火力の高いモルガーナの魔法で攻撃するのが吉だろう。
これには全員同意のようでモルガーナの方を見る。
「それじゃ行くよ。敵はドラゴン……堅い鱗に覆われている事を考慮するとエルフの特徴の風系じゃ期待できない。となると……破壊力!」
ブツブツと何かを呟きながら発動させる魔法を選び杖を掲げる。詠唱時間が長い事から恐らく上級の魔法を使ったのだろう。
待つこと数十秒。モルガーナが手にする杖の先端に炎が集まりだし、魔法を発動させる。
「行くよ! 【エクスプロード】! 」
魔法名を叫び放たれた炎は要竜へ向かって飛んでいく。そして、要竜に着弾した瞬間、大きな爆音と共に要竜は爆炎に包まれた。
爆風の影響かモニター越しの映像が若干歪み、土煙の奥が見えない。一体どうなったんだ!?
「やったか!?」
「ちょっ、メイ君!? それダメなやつだよ!」
「モルちゃん。残念だけどフラグは回収されたっぽいわよ」
土煙が止み、その奥にいたのは___ほぼ無傷の状態の要竜の姿。
レベルに関しては直感で適当に決めたので、深く考えてはいけません。
続きはまだできてないので明日投稿できるかは未定。
10月14日
DEXが消えてINTが特化になってるミスを修正しました。