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第五十三話

久しぶりの投稿です。

ガチャ要素が嫌いでスマホゲーしないのにガチャ要素の塊のマムタロト作った奴絶対許さない。

荒む心境で書いてるので特に面白い描写はありません。いつも通り?

ごもっともです。


「あーすっきりした! こんなにのびのび戦ったのは久しぶりだ。ありがとうメイ」

「いやいいって。それよりも、例の約束なんだけど……」

「あぁ分かってる。お前の秘密__この異常な経験値アップに関しては広めないし、詮索もしねぇよ。ま、それがスキルなのか、アイテムなのか、気にならないといったら嘘になるがな」


 そう言って憑き物がとれたかのように快活に笑うバロン。あの後しばらくの間続いたウサギラッシュのお陰で、大量の経験値を得る事が出来た。そのせいで大きくレベルを上げる事に成功したバロンはご機嫌の様子だ。

 正直他人の取得経験値量を大幅に上昇させるような事が出来る方法なんて本来有り得ないし、種明かしすることになるかと思ったけどバロンは詮索しないでくれるようだ。ただ、これは裏技でも何でもなく、俺のステータス構成が異常だったせいで起きた事故みたいなものだ。だから、真似はできないと思うから教えても良いとは思うけどな。広まったら面倒事からは避けられそうもないけど。

 

「むしろ、こんな事俺に教えてしまってもよかったのか? レベルアップはレベルのあるゲームなら必須事項だ。俺のレベルはこの短期間で10も上がって80代に乗った。攻略組の最大レベルはクランリーダーのレベル87。これの意味が分かるか?」

「まぁ、情報の開示か勧誘が面倒になるだろうな。でも、約束は守ってくれるんだろ? それなら大丈夫だって」

「当たり前だ。俺だってレベルが上がって嬉しくない訳がないからな。だけどそれだけだと俺の気が済まねぇな……。取りあえず、これは俺からの気持ちだ」


 そういってバロンがメニュー画面を操作すると、俺メニューの画面に0がたくさんある金額が現れる。ギルドで野ウサギ狩りのクエストをしたときの報酬の数倍。下手したら数十倍あるかもしれない程の金額だ。え? なんでこんな大金を?


「い、いや、こんな大金もらえないって。気持ちって言っても多すぎるだろ」

「だから俺の気持ちだって。久しぶりに心の底から楽しめた礼だ。ほら、エンカウントしたから戦闘準備しろって」


 そう言うとメニューを閉じてすぐに先に進んでしまった。前を見ると、これまでのウサギと違いまるで力士の様な巨躯のオークの姿。既に戦闘態勢になった今、返す暇はないだろうな。仕方が無いと割り切って、俺も戦闘の準備に移る。

 既にウサギラッシュから時間が経ってしまっているから【成功】スキルの有効時間である30秒が過ぎてしまっている。急いでスキルを発動させて【成功】スキルを稼がないといけないな。

ウサギ狩りの時と違い今度はバロンが前に出ている。本来後衛職である魔法使いのバロンに負担をかける訳には行かない。取りあえず【スラッシュ・ポーカー】のスキルを発動させるためにトランプを取り出す。


「ちょっと待ってくれ! 直ぐに前に行く!」

「いや、大丈夫だ。少し俺に任せてみてくれ。【ムーブ】」


 そう言って移動の魔法を発動させると、バロンの体が数センチくらい宙に浮いた。移動魔法【ムーブ】は魔法使いの移動用の魔法で、若干浮遊して歩くよりも早く移動できる魔法らしい。しかも移動速度はAGIで変わるらしいから、AGIに多く割り振っている魔法使いのバロンにとってはうってつけの魔法といえるだろう。

 バロンはムーブの魔法の効果によっておよそ魔法使いとは思えないような速度で移動し、オークを翻弄する。


「ブォ!? ブ、ブォン!」

「おせぇおせぇ! 俺の方が速ぇんだよぉ! 【ウィンドカッター】!」


 オークはバロンの動きに付いて行けずに闇雲に丸太のような棍棒を振るうだけだ。冷静さを欠いたオークの背後にまるで地面を滑るかのように滑らかに移動すると、バロンはそのまま風の魔法【ウインドカッター】を発動させる。

 バロンはAGIの数値によって魔法攻撃の速度を上昇させる【魔法速度上昇】スキルを持っている。このスキルによって速度強化された【ウィンドカッター】は、その速さにより魔法の発動と同時にオークに着弾した。

 

「ブォ!?」

「やっぱすげぇな! レベルが10も上がれば弾速が全く違う!」


 たまらずよろめくオークに対して、更に追撃をかけるバロン。すごい……あえてこん棒が当たる程の超至近距離にあるにも関わらず、ムーブの効果によってそれらを全て紙一重の所で回避している。

 前線組のいう所の魔法使いとタンクの構成。その魔法使い達を堅い城壁に守られた固定砲台群とするならば、バロンは高速駆動する戦闘用ドローンってところか? 

 しかもよく見るとそれだけじゃない。現在は攻略組で活動している為、バロンは大きくINTに割り振っている。高速起動しているだけでなく、連続で攻撃するその一発一発の威力が高い。みるみる内にオークのHPが減少していく。


「やっぱりこれだよこれ! 戦いに必要なのは力でも硬さでも器用さでも、ましてや知力でもねぇ! 必要なのは速さだ! 速ささえあればどんな敵がこようと負ける筈がねぇんだよ! これでとどめだ! 【ライトニング】!」

「ブモォ!」

「なっ!? 雷属性の魔法も使えるのかよ?」

 

 雷属性なんてどのゲームでも上級とか行為の魔法の筈だ。それを使えるバロンも、やはり高位の魔法使いって事になるな。

 目にも止まらぬ程の速度の雷は、オークを焦がすとそのままHPを0にした。クイックバロンなんて異名を貰うだけあって、後衛職にも関わらずたった一人でオークを倒してしまった。それも、魔の森なんて前線のモンスターをだ。

 もし俺が同じことをしようとしたとしてもたぶん無理だろうな。確かに【成功】スキルを積み重ねていけば、AGIの数値も上昇するから同レベル__いや、上回ることも出来るかもしれない。だけどそれだけの速度を出したとしても、俺じゃそんな速度持て余してしまうと思う。レーシングゲームとかも苦手だし。

使いこなせないと意味がないんだ。その点、バロンはその速度を完全に自分のものにしている。もはや、俺何もできなかったし。

 

「お? またレベルが上がってるな。……メイが直接的に参加しなくても経験値が上がる? って事はメイ本人に何か特殊なスキルがあるのか。いや、パーティを組んでる事になにか意味があるのか……?」

「あー、考察するのはいいけど、そろそろ戻らないか? 多分もう少ししたらアニー達もログインしてくると思うし」

「お、おうそうだな。そろそろ戻るか」 

 

 急激なレベルアップについて考察し始めたバロンを現実に戻し、帰る事を促す。これで上がったレベルは11って事は、これで割り振られたAGIの値は22。ステータス数値を上昇させる事の出来る手段が少ないこのゲームにおいては22ってのは少なくない数字の筈だ。今まで溜まっていたストレスもガス抜き出来たっぽいし、やっぱり誘って正解だったかな。

 っと、俺もステータスを割り振らないとな。上がった数値を全部DEXに割り振ってやる。正直他のステータスにも割り振ってやりたい所だけど、道化師のジョブ補正のせいでDEX以外の数値が半減してしまう。レベルアップで上がる数値が2。『100レベルになってからは3ポイントが割り振れるといっても』、半分のポイントが無駄になってしまうのは余りにももったいない。【フラッシュポーカー】のスキルで敵を足止めしたり、パーティメンバーのレベリングを補助したり、最近なんかサポーターっぽくなってきたな……って新しい称号が増えてる? 


誘掖ゆうえきの道化師】

 仲間に力を貸し、成長を促す先導者に与えられる称号。特定のジョブだったため特殊変化し、先導者の称号が変化した脇役の為の称号。自分を含めないパーティメンバーの会得経験値量を上昇させる。

 ※会得方法:一定人数の他プレイヤーの成長を何らかの形で補助した。特定のジョブであった場合、会得する称号が変化する場合がある。


【二流芸人】

ある程度の数のスキルと称号を納めた芸人へ送られる称号。一流への道はまだまだ遠い。

 多少芸達者になった事によりDEX一割増加。



 なんか貶された感のある称号と共に思いがけない称号も手に入った。えっと、まず一つ目の方は仲間の会得経験値量を増やす称号。……これは少しヤバくないか? 元々パーティメンバーの経験値量は俺の会得経験値が多すぎるせいで跳ね上がっていた。それがスキルでも増えるのか?  

 元々広まったらヤバかった隠し事が更に面倒な事になってしまった。というか脇役の為の称号って失礼な称号だな……。

 珍しく書いている会得条件を見るに、アニー、モルガーナ、ミツバ、サオリ、そしてバロン。これでキリ良く五人。五人のレベリングに協力したから会得できたんだろうな。で、俺のジョブが道化師だったから本来会得する筈だった【先導者】ではなく【誘掖の道化師】とかいう奴なんだろうな。誘掖って確か、脇から助けるとかって意味だったかな? 

 で、もう一つの方は前からあった三流芸人の称号が進化したような称号だ。三流芸人の称号の時は特に効果は無かったのに、今度はDEXが一割上がる効果が付いてる。これまでずっとDEXに振って来たんだ。この一割は大きな一割になるだろうな。

 それだけじゃない。二流芸人の称号を得たことで、指輪の効果が解放された事になる。


【双星の祝福】※メイ専用アイテム

スキルのリキャストタイムが1割短くなる。

称号【三流芸人】を所持している為更に1割短くなる。

称号【二流芸人】を所持している為更に1割短くなる。

称号【???】を所持しているなら追加効果解放。


これによってスキルのリキャストタイムが更に一割短くなって、3割の時間短縮になった事になる。これでスキルの回転率が更に良くなるだろう。次は???だけど、これは流れ的に【一流芸人】じゃないのか? うぅん……考えても分からないし、この先スキルを取得していけば分かるだろう。 

ともあれ、バロンのお陰で俺も得る物があったな。……成長する方向はちょっとアレだったけど。


「メイ? どうしたんだ? 帰るんじゃなかったのか?」

「え? あぁ、悪い。ちょっと考え事してた。それじゃ戻ろうか」


 さっきとは逆に、今度は俺が注意されてしまった。自分で言った手前気を付けないとな。ひとまずは戻って、皆と合流だ。





「お? こりゃ珍しいコンビだな」 

「バロンちゃんじゃない。今日はあのKYな子はいないのかしら?」

「ちゃ、ちゃん……? いや、イワンの奴は今日は別行動だ。メイにはちょっと世話になってな。ちょっと森でウサギ狩り行ってたんだ」

 

 町まで戻ると、既にアニーとサオリの二人がログインしていた。以前イワンと一対一の血統じみた事をしていたサオリは、鋭い目で辺りを見回している。よっぽど頭に来ていたんだろうな。それとサオリのちゃん付けはデフォルトなんだな。

 

「……メイ。お前、ウサギ狩りってバロンとパーティ組んで狩りに行ったのか? ……良かったのか?」


 アニーがこっそりと耳打ちしてきた。良かったのか、っていうのはパーティメンバーの経験値取得の秘密の事だろう。一応バロンは攻略組に所属しているプレイヤーだ。もしもこの秘密が漏れたらどう考えても穏便にはすまないだろうな。多分俺を紳倍してくれているのだろう。

 視野が広く気配りが上手なアニーらしい。


「大丈夫。話を持ち掛けた時にちゃんと秘密にしてくれるように言っておいてあるよ。それにバロンは話をした限り信用が出来る人だし、レベリングを手伝ったことでちょっと恩も売れたと思うからな。少なくとも問答無用で秘密をバラされるような事はないと思うよ」

「そうか? それならいいんだが……」

「その点に関しては信用してくれて構わない」


 まだ信用しきれていないといった様子のアニーだったが、話が聞こえていたのかバロンが話に加わってくる。レベルが上がった__正確にはAGIが上がったのがよっぽど嬉しかったのか、バロンは深く刻まれていた眉間の皺が解れて今ではチョイ悪のある青年といった雰囲気に変わっていた。……厳ついのは変わらないから近寄りがたいのは変わらないけど。

 

「メイのお陰で久々にゲームらしく楽しむ事が出来た。それに初心を思い出す事が出来て感謝してるんだ。恩を仇で返すような真似はしねぇよ」

「な? バロンもこう言ってるし大丈夫だって」

「む。そうだな。そうまで言うんなら大丈夫か。いや、疑って悪かった」

「いや、メイのコレはハッキリ言って異常だ。それ位疑ってかかるのも無理はない」


 そう言ってアニーは頭を深く下げる。実際に目を見て話してみてバロンが信用できると判断したんだろう。元々二人の気質的に義理堅い所とか似ている所があるし、何かシンパシーを感じる物があったんだろう。どっちも苦労人属性あるしな。ガッチリと握手を交わしてもう仲良くなってる。

 

「で? 二人は何をしてたんだ? ただ待ってるだけって感じじゃなかったけど」

「ちょっとアニーちゃんのジョブチェンジをしてたのよ。メイちゃんのお陰でたくさんレベルが上がったでしょう? 丁度それでジョブチェンジが出来る適正になったらしいのよ」

「ジョブチェンジ?」


 俺の経験値の件があるから若干声を抑え気味にサオリがそう教えてくれた。そういえばアニーのジョブがどれくらいの強さのジョブなのか詳しく聞いたことが無いな。剣士ってのは聞いたけど、短剣使い時代の俺のジョブ派生先には中級短剣使いがあった。

 剣士も同様に中級剣士とか上級剣士とかある筈だし。


「いったい何にジョブチェンジしたんだ?」

「驚くなかれ。魔法剣士よ!」

「そこは俺に言わせろよ……。あー、先にサオリが言っちまったが、魔法剣士だ。元々中級剣士ではあったんだが、上級クラスのジョブになる為には如何せんレベルが足りなかったんだがな。メイのお陰でなんとかなったんだ。」


魔法剣士といえば、魔法も使える剣士だよな。いつの間に魔法なんて……いや、そう言えばアニーって満遍無いように全てのステータスに割り振ってるって言ってたな。

 まさかINTやMPにも割り振っていたのか。でも今まで魔法なんて使った様子見た事なかったような気がする。


「ウフフ? 魔法なんて使えたのかって顔してるわね?」

「いやまぁ、そんな所今まで見た事なかったしな」

「ま、モルガーナみたいに派手な攻撃魔法なんて使ってなかったしな。考えても見ろ。俺のステータスは汎用主義。全てのステータスに割り振ってんだ。魔法攻撃の威力なんてたかが知れてるだろ? 基本的に使える魔法はSTRやDEF、STRといった近接戦闘のステータスを上昇させるバフ系の魔法が主だ。もちろん、普通の攻撃魔法も使えない訳じゃないけど、使うと煩そうなのがいるしな」

「あぁ、確かにモルガーナは自分の見せ場を取るなっていいそうだな……」


 それにそれならステータスのいずれかを捨てることなく、全てを活用できている。ただ単純な剣士と違ってそれなら俺やサオリ、ミツバにもバフで強化する事ができるだろうしな。

 つまり、アニーは剣士にしてバッファーでもあり、多少ながらも魔法攻撃も出来る何でも屋って事か。ここに回復魔法でも追加されれば、本当に万能型の剣士になれるんじゃないか? そう考えると、魔法剣士は安定思考で汎用的なステータスであるアニーにピッタリなジョブじゃないか。


「そうか。魔法剣士……負剣士呼ばわりされていた過去を考えると少し皮肉だな」

「ま、その不格好な名前に反発心が無かったといえばうそになるがな。」

「その分器用貧乏を極めつつあることには変わりないよ!」


 声のした方に振り向くと、とんがり帽子にいかにも魔法使いといったローブを着たエルフの姿。しかし何故か、その魔法使いは普段の自分の欲望100%の快活な様子ではない。 まるでお気に入りのおもちゃを取られた子供のように仏頂面で不機嫌全開といった様子。


「モ、モルガーナ……聞いてたのか……」

「聞いてたよ。このパーティの最大火力にして、最強無敵の純粋な魔法使い。純!粋!な!! 魔法使い! モルガーナの登場だよ!」


あぁ……これはまた面倒な事になりそうな気がする。




いまさら何ですけどなんで指輪の効果が二流の所で止まってるのでしょうか?

当時の自分の考えをもう思い出せない作者です。

たぶんその内修正します。


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