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第五話

そういえばちゃんと描写してなかったと思ったのでひとつ。作品に出てくるこのゲーム。5感全ての用いる没入型のVRではなく、視覚聴覚だけのVRです。P○4のVRが更にハイテクになったイメージで書いています。なんでそんか設定にしたのか自分でも謎です。

それでも良ければお付き合い下さい。


「いってぇ! また壁にぶつかった!」と、鼻を押さえる者

「小指が! 足の小指がタンスの角に!」と、足を抱え飛び上がる者。

「やべ、なんか踏んだ。ってのわぁ! レンタルしてたDVD割っちまった!」

「馬鹿め。こんなこともあろうかと手足を縛っておいた俺に死角は無い……あ、トイレ行きたい。ヤバい! 動けねぇ! 誰か助けてくれぇ!」


 町の中を散策しているとそんな感じで阿鼻叫喚の声が至る所から聞こえてくる。みんな慣れない操作に苦戦しているようだ。そういう俺も気を抜くとリアルの身体まで動かしてしまっている。ベッドの上だから特に被害は無いが、なんというかベッドの上の感触がするのに自分は歩いているという違和感を感じる。

 

「はは、兄ちゃんなかなか操作が上手いじゃねぇか。そこのアンタだよアンタ」


後ろからそんな声が聞こえてきた。振り返ると俺よりも少し背の高い男性がそこに立っていた。革製の装備と腰に剣を差し、初心者を抜けた感じのする人物だ。


「俺のことか? 今日始めたばかりで歩くのにすら四苦八苦してるよ」

「いやいや、大半の奴は引きこもってゲームしてる生活のせいでこう言う体を動かすってこと自体が不慣れだからな。今日始めたばかりで普通に歩ける奴は結構貴重なんだよ」


そういって皮装備の男はニヤリと笑う。へぇ、表情までしっかりコントロール出来てる。周りの奴は無表情とかオーバーなリアクションとか極端なのに。結構やり込んでいるプレイヤーの様だ。

「歩けることが褒められるなんて園児に戻った気分だよ。そっちは結構やり込んでるみたいだな。動きが違う」

「まあな。これでも一か月はやり込んでる。俺は【アニー】だ。剣士やってる。よろしくな」

「俺は【メイ】。始めたばっかのノービスだ。よろしく先輩」


そういって俺らは固く握手をした。あ、これ感触無いのに握ってる感じがある。なにこれ気持ち悪い。



~~~



「それで一か月もやり込んだ先輩プレイヤーがなんでこんなところにいるんだ? ここって初心者用の町なんだろ? 名前もそのまま始まりの町「スタート」ってなんの捻りもない正気を疑う名前らしいし」


アニーと仲良くなり二人して話しながら町を歩く。アニー曰く武器屋に案内してくれるらしい。アニー優しい。アニー兄貴だ。


「まぁ確かにここの町にいてもうま味はほとんどないからな。俺のレベルになるとここらのモンスターじゃ経験値にならないし、アイテムも他の所の方が質が高い。だが、このゲームほとんど運営が放置してるからな。チュートリアルもなんの説明もなかったろう? だから時々こっちに来て初心者たちに操作のコツを教えたりちょっとした道案内してるんだ。今みたいにな。まぁ、先輩の勤めってもんだ。」

「そこまでやってやるのか。まぁこっちとしてはありがたいことだけど。で、100%善意って訳でも無さそうだけど、何が目的なんだ?」


確かにそうやって新人を率いてくれる先輩プレイヤーの存在は大きい。でもそれならスタート地点の広間で講座でも開けばいい。それなのに人を選んできてるってことは何かあるんだろう。案の定アニーはにやりと笑う。


「やっぱお前に目をつけて正解だったわ。そうだ。確かに善意って部分もあるが別に俺は慈善事業が趣味な訳じゃねぇ。俺がしたいのは有望そうな新人を見繕ってチェックをつけてるんだ。所謂青田買いだな」

「一か月の差は結構大きいだろう? それなのに新人に目をつけるって事は何かあるのか? 」

「そう思うだろ?。このゲーム、一か月くらいのスタートダッシュはアドバンテージになり得ないんだ。考えても見ろよ。長い間室内でキーボードやボタンをカチカチしていた連中が剣や杖もって自分で戦うんだぜ? ぎこちないったらありゃしない。最初見た時は創作ダンスでもしてるのかと思ったくらいだ。レベルがいくら高かろうとあれじゃあゴブリンでもテイムしてパーティーメンバーにした方がマシってもんだ。」


ゴブリン以下ってそんなにひどいのか。見たこと無いけど。いやまぁ運動音痴ってのは時折予想外の珍プレーを見せたりするし、そんなものか。ちょっと納得。


「俺はこのゲームにおいて一番大事なのはセンスだと思ってる。だから始めたばかりのルーキーの状態でもまともに動けてる奴の方が将来的に見込みがあるんだよ」


 お前にみたいにな。と、クククと喉で笑うアニー。確かにセンスある奴の方が伸びはいいだろうけど流石に俺はキ○ト君にはなれないぞ。体育も平均くらいだし。別に運動部って訳でもないし。

「褒めてもらうのはうれしいけど、俺そこまでセンスないぞ? 今だってこうやって歩くので精いっぱいだし」

「俺そうは思わないけどな。 ん~なんていえば良いんだろうな…… ジャンケンポン!!」

「うお!?」


考え込んでいたかと思うと急にジャンケンをしてきた。驚いてとっさに手がしまった。アニーはいたずらの成功した悪ガキのようにニヤリと笑いさらに続けた。


「こんな感じでとっさの状態でもアバターが動いているだろ? 本来はこういう急な動きは脊髄反射よろしく機械にあまり読み取って貰えない筈なんだ。現状のランカーの中でもこれでリアルの身体の手は出てもアバターには反映されてないって奴が意外といるんだよ。お前は素質がある。保証するよ。」



「とまあそんな具合で、ついたぞ。始まりの町の武器屋。【スミスの一振り】」



そう言われ目の前を見ると、剣と槌が描かれた看板のついた、一軒の店があった。



脊髄反射よろしくってくだりは ホントにそうなるか知りません。なんとなくで書きました。調べて書き直すのもアレなんで そういう事もあると言うことで適当に流して貰えると助かります。

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