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第四十五話

ミツバの口調が安定しない問題。キャラクターをちゃんと考えずに行き当たりばったりで作るからこうなります。

 

 俺がパーティ内に入った時のレベリング効率が分かった後も時折経験値が現れた。……いや、ウルフの群れが現れた。その度に全員で血眼になりつつ討伐して経験値に変えていった。うん、結局経験値扱いだわ。

 今パーティー全体のレベルはかなり上がったといえる。そのおかげで始めたばかりの二人も元々の戦闘能力のプレイヤースキルと相まってかなりの戦力になった訳だ。元々安全マージンを無視した戦闘をしてきたこともあり、もうギルドに行けばすぐにジョブチェンジが可能の筈だ。

 ちなみにこのレベリングで一番喜んでいたのは意外にもモルガーナじゃなくてアニーだったりする。高レベルになればそれだけレベルの上昇率も伸び悩むだろうからな。ポンポンとレベルが上がればそれは気持ちが良かったのだろう。今もステータス画面を開いてニヤニヤしている。


「あー、アニー? ステータス見てる所悪いんだけど、目的地までは後どれくらいで付きそうなんだ?」

「ククク……おっと悪い悪い。もうそろそろ見えてくる筈だ。」

「素直にキモイね」

「今日はお前に何言われても腹が立たない自信があるな。なんならお前もレベルが上がってニヤついてたろう?」

「ニニニニヤついてないし!」

「二人ともイチャついてないでそろそろ都市に入る準備をしましょうか」

「「イチャついてないよ(いねぇよ)!!!」」


 アニーとモルガーナのいつもの口論に水を差すサオリに、息ピッタリで突っ込みを入れる二人。口喧嘩多いけど、なんだかんだでこの二人仲が悪くはないんだよな。魔法使いと剣士でバランスも良いし。ただ求めるものの方向性が真逆なだけで。

 騒ぐ二人を置いておいて馬車の進む先を見る。その先にはかすかながらも白亜の城壁が見える。恐らくだけどあれがアニーの言っていた宗教国家__俺たちの目指す攻略前線の国なんだろう。この距離でもなんだか格調高い雰囲気を感じるような気がする。そんな事を考えながらも俺たちは速度を上げた馬車に揺られていった。


 



「ようこそ。ここは月と星の光に愛されし国【ルクスルナ】。皆さまの来国の目的は何でしょうか?」

「冒険者としてのモンスター狩りだ。後ろの四人も同じだ」

「分かりました。それでは、皆様に星の加護がある事を祈っております」


 白亜の城壁は、近くで見てみると星を模したレリーフが施されていて遠目で見ていた時よりも更に強い格調高さ、そして神秘性を感じさせた。宗教国家とかいう特殊な国だからかこだわりを感じる。

 アニーが検閲する衛兵NPCに受け答え、検閲所から出て内側へと入っていく。街の中は城壁と同じく白を基調とした建造物が多い。これは宗教的な意味合いでもあるのだろうか? 更に辺りを見回すと野外でアイテムを販売しているNPCや生産職のプレイヤーといったキャラクターの他にも宗教国家だけあってか牧師の格好をしたNPCをよく見かける。メイカーの都市の雰囲気は生産職や売買を行うプレイヤー達の切磋琢磨の熱気が印象に残ったが、ここの雰囲気は気品を感じる程の静けさがあり落ち着いた印象をうける。落ち着いた感じなんだけど……時折すれ違う騒がしい冒険者達が物凄い場違い感を感じる。仲間内で依頼について楽しそうに話しながら歩いている所から見ておそらくNPCじゃなくてプレイヤーなのだろう。明らかにこの静かな街の雰囲気にあって無いし。

 そんな事を考えていたらミツバがふと声をあげる。


「あれ? あの人たちってプレイヤーなの?」

「やっぱりミツバもそう思うか? まぁ周りがこんなに落ち着いた感じしてるのにあれだけ騒がしかったらな。」

「ん~そうじゃなくて。うまく言えないけど、なんか違和感? というか、変な統一感を感じるよ?」

「ほう。気付いたのか?」


 ミツバの要領を得ないつぶやきに今度はアニーが反応した。元々前線にいたアニーはミツバの感じている違和感の正体を知っているのだろうか。そんな事を考えていたらハッした様子で言葉を続ける


「あ、なんか大きな盾持った人とお姉ちゃんみたいな恰好の人しかいない?」


 ミツバの疑問を確認する為もう一度見回すと、プレイヤー達は1m近くある大きな盾を持っている人物。あるいはローブに杖といった魔法使い然の格好をした人物の二種類しか見ない。メイカーの街ではアニーの様な剣士のプレイヤーも見かけたけど、そんなプレイヤーは全く見かけない。そういえば初めてログインした日にアニーがこんな風のプレイヤー達の話聞いたような……。確か自称攻略組だっただろうか。


「確か自称攻略組だったか? あの盾で守って魔法職が攻撃する事だけに専念するパーティー」

「そうだ。運動神経が低くても戦う為に動く必要のない職のみで構成されたパーティー。奴らが攻略組とかって大層な名前を自称で名乗ってる連中だ」

「あぁ。そういえばいたわねそんな連中。今もあのスタイルを貫いてたのね」


 元々アニーと共にプレイしていたサオリも知っているのか懐かしそうにつぶやいた。サオリが知っているという事は最初期からいたのだろう。という事はこのパーティーも古参のパーティーという事なんだろう。

 サオリのその様子をみて首を傾げながらつぶやく。


「強いの?」

「そりゃ、鬼の様に強いさ。なんたってこの前線までマッピングして道を切り開いていったのがこいつらなんだからな。2ポイントしか割り振れないステータスポイントを効率よく使えてはいるからな。」

「へぇー。ならちょっと戦ってみたいかも。でも、なんでそんなに苦い顔してるの?」


 アニーが眉に皺を寄せていることに気付いたのか、尋ねている。元々アニーの背が高い事の他に、ミツバの背がそこまで高くないから丁度上目遣いでのぞき込んでいる形になっている。あのせんせーの妹にも関わらずまともな性格をしていて容姿も整っている為、若干アニーが羨ましい様な気持ちになるな。アニーは大人の余裕からかそんなことどこ吹く風といった感じでミツバの疑問に答える。


「あぁ……なんというか、あいつら選民思想っていうのか? 自分たちのジョブ以外に対してやたらと排他的なんだよ。今はここを拠点としているらしいが、初期の頃は獣人プレイヤーやエルフプレイヤーにも圧をかけてジョブチェンジさせてな。地雷行為……じゃ伝わらねぇか。マナー違反の迷惑行動なんだが実際にそれで結果を出しやがる。今じゃ前線のトッププレイヤーは皆あいつらの構成が広まったって訳だ」

「彼らの戦略を否定するつもりはないけれど、それを他者に押し付けるのはどうかと思うわね」

「確かにいくら強いって言っても、それじゃ関わりたくないかも」


 関わった時の面倒くささと実際に戦闘することを天秤にかけ面倒が勝ったようだった。最初は対人戦闘が出来ると目を輝かせていたが、今は残念そうな顔で拳を開く。数少ないまともな常識枠の子だと思ってたけど、結構血の気が多いよな。やっぱりせんせーと姉妹だな。

 そんな事を考えていたら、ジトっとした目でこっちを振り返って来た。え? なんでバレた? こわ!


「センパイ。なんか失礼な事考えた?」

「え!? 全然そんなことないぞ?」

「ふぅん………まぁいいけど」

「そ、それより! この後どうするんだ!? 二人のジョブチェンジをするんだろう!?」

「お、おう。そうだな。ここでは冒険者ギルドの他にも教会でもジョブチェンジできるが、どうする? ただ、教会の場合はお布施って名目で料金がかかるがな」


 そうなのか。確か俺が道化師ジョブになった時は冒険者ギルドで無料で出来たと思ったけど。教会のほうはどうして料金を取るのだろうか。いや、お布施とは言ってたけど。


「それ、ギルドでジョブチェンジした方が得じゃないか? 料金が発生するなら教会でジョブチェンジするメリットでもあるのか?」

「あー……俺も人づてに聞いただけだから詳しくは知らないんだが、なんでも教会内での評価値が上昇して信者からの会話が変化したり、派生先のジョブに聖騎士や聖魔導士の様な特殊ジョブが増える事がある……らしい」


 特殊ジョブで聖騎士か。確かに人によっては魅力なんだろうけど、俺は既に道化師でステータスもそれ以外の戦い方はできないだろうし必要はないかな。教会からの評価っていうのはなんだか特殊なイベントとかが起こりそうで気がひかれるっていうのはあるけど。


「で、どうするんだ?」

「そうね。アタシはゲームでドロドロした宗教ごとに関わりたくないし、ギルドで良いと思うわ。それに直ぐに戦闘に入ったせいで手持ちもないしね」

「あ、そっか。」


 そういえば、本人の戦闘の技量が高いせいですっかり忘れていたけど、まだこの二人は始めたばかりだったんだっけ。なら所持金がゼロなのも仕方が無いな。そういう事ならお金が無くても転職が可能な冒険者ギルドで決定だろう。他の皆も同じ考えに至ったのか、全員で冒険者ギルドへと向かうことにする。



いい加減名前しか出てこない攻略組とやらと絡みを考えないと…… 多分明日も投稿します。


9月9日

誤字修正しました

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