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第三十五話

投稿が遅れて本当に申し訳ないと思っています。若干ヤケで書いた面がありますが反省はしておりません。

視点的には誰かの妹視点となっています。話を展開させるには別視点に逃げるしかなかった……。


 最近姉の様子がおかしい。


 いや、これだと普段は普通な人物の様に聞こえてしまう。正確に言えば最近輪をかけて奇行が酷い。

 いつもなら自室でボイスチャットでワーワーと騒ぐだけで済んでいたし、軽くシめれば静かになっていた。しかし最近は騒ぐだけでなくドンドンと物音が煩いしシめても直ぐに立ち直る。気になって覗きに行ったら可笑しなヘルメットの様な物を被って決めポーズをしているところを目撃した。正直引いた。


 多分あのヘルメットが姉が可笑しくなった原因だろう。流石にゲームを壊したり隠すという選択肢はない。昔三徹夜でしていたテレビゲームのコンセントを抜いたら一週間泣き続けてそれはもう面倒臭かった。壊したりなんてしたらどうなるか分かったものじゃない。

 かといって他に何も思いつかず、姉がいない日に自分で被ってみたりしたが「アカウントの脳波と異なります」というアナウンスが流れて弄る事は出来なかった。

 だけど、最近は仕事に支障がでるレベルでこのゲームをやってるらしい。流石に心配になっていい加減休めと言い聞かせたがいつまで言う事を聞いているのか。

 どうしたものかと頭を抱えているとお母さんが配達が届いたといって持ってきてくれた。頼んでいた道場の備品かこの前の大会の優勝盾だろうと思ったが予想の斜め上の物が届いた。

 

「……これ、お姉ちゃんのゲームと同じゲームだよね……?」


 箱の中に入っていた物は姉が最近遊んでいるゲームと同じゴチャゴチャしたデザインのヘルメットだった。当たり前だが、こんなもの買った覚えはない。いよいよ本格的に怪しくなってきた。だけど触れずに放置と言うのも逃げるみたいで癪だ。それに姉がそこまでドハマりするゲームはほんの少しだけ気になる。

 

「よし、決めた。お姉ちゃんがどんなことをやってるか確かめてあげるよ?」



ーーー


 「わー。確かにすっごいリアルだよ。お姉ちゃんが神だ~とかって騒いでたけどホントにゲーム?ってくらい綺麗だね」


 キャラクターメイクと説明を終え、普通の人族の賑やかな声の聞こえる町の様子を見まわす。説明通りならプレイヤーとプレイヤーじゃないコンピューターが入り混じっているらしいがパッと見では区別がつかない。

 しかし、勢いでプレイしてしまったはいいが自分は姉に比べればこういうものには疎い。最初はどうすれば良いのだろうと挙動不審に周りを見渡す事しか出来ない。

 場所を移動するにしても行く当てなどある筈も無く肝心の姉もまだ仕事中の時間だ。周りの人に話しかけようにも男性が多いようで気が引けてしまう。 


「あら? こんな所に女の子がいるなんて珍しいわね。」

「えと、ボクのこと?」

「あらやだ。ボクっ娘なのね? 更に珍しいわ」


 周囲に女性は自分しかいない。自分を【ボク】と言うのは男所帯である道場に長らく通っていたせいで【ボク】呼びが習慣付いてしまったのだ。自分でも直したいが中々抜けてくれない。姉は個性だと推奨していたが。

 ボクに話しかけてきた人物を見上げると、まず最初に大きな胸に目が行くがそれ以上に背が高い。ボクの身長は160cmと女子にしてはまぁまぁなところだけどこの人は190はあるのではないだろうか? それに、とっても綺麗な人だ。


「あなたは誰?」

「あぁごめんなさい。自己紹介が先だったかしら? アタシは【サオリ】。なんだか困っているようだっし、それにさっきも言ったけど女の子を見るのが珍しかったから話しかけちゃった。ごめんなさい? 取り込み中だったかしら?」

「そんな事ないよ? 実際ボクも困ってたから。あ、ボクはこれって何すればいいの?」

「ウフフ。若いのに物怖じしないのね。そういう子は好きよ。そうね。敢えて言うならば『何をしても』と言った所かしら。別に何をしてもいいのよ。……場所を変えようかしら」


 周囲を確認してみるとなぜか周囲の人の注目の的になっていた。そこまで女性が珍しいのだろうか。だけど確かにこの状況で会話を続けるというのも気まずい。ボク達はこの場を後にした。


「へぇ。お姉さんが何をしてるのかを確認する為にこのゲームを? お姉さんは愛されてるのね」

「全然そんなんじゃないよ? こっちは道場の後で疲れてるのに毎日よる遅くなっても騒いでるし。むしろ止めさせる口実探しかな?」

「あら? やっぱり格闘技を習ってたの? 姿勢も歩き方も中学生にしては綺麗だったから気になってたのよ。何をやっているの?」

「ん~いろいろだよ? 小さい頃誘拐されかけた事があって、そのせいで柔道とか空手とか、護身術になりそう物をって両親に習わされたんだよ? でもそんな事いったらサオリさんだって歩き方モデルさんみたいだよ? 足も美脚だし、ちょっと憧れちゃう」

「ふふ。ありがとう。やっぱり褒められると嬉しいものね。これでも毎日トレーニングしてるのよ?」


 サオリさんと歩きながら話をする。このゲームの異常性やサオリさんの事。趣味という訳でも無いが格闘術に関してとか。

 まずこのゲームの異常性に関して。どうやらこのゲームが無許可とか世間一般には広まっていないゲームであるらしい。しかも、現代の医療技術・科学技術、それらもろもろを結集させても作れるかどうか半信半疑なレベルの高度なゲーム。確かに姉と違いゲームに疎いボクでもこのゲームが凄い技術なのだろう事は分かる。だけどいくらすごいゲームでもそんな怪しい物に何故手を出すのだろうか。サオリさんに聞いてみたらそれがゲーマーと言う生き物らしい。よくわからないよ?。

 サオリさんについては、どうやらサオリさんは復帰勢とかいう者らしく、約1か月ぶりにこのゲームに来たらしい。このゲーム、本当ならば負けたら消えちゃって再びゲームをする為には100日も必要ならしいのになぜか今日出来る様になったという連絡がきたらしい。何処からか、と言うのは匿名からという事で不明らしい。

 サオリさんは今日、現実でも友達の人と会う予定らしいけどそれを後に回してボクに話しかけてくれたらしい。少し悪い事をしてしまったかも知れない。


「別に良いのよ。待ち合わせの時間にはまだ余裕があるし、こうやって【ミツバ】ちゃんにも会えたしね。それにゲームに疎そうな娘を放置するのも気が引けるし。見極めるんでしょ?このゲームを」

「サオリさん……ありがとう」

「んもう、水臭いわね。サオリでいいわよ。これでもアタシ、ミツバちゃんとはもうお友達のつもりなんだから。そうだ。ミツバちゃんもパーティ組みましょう?」

「サオリさん……ううん、サオリちゃん。パーティって何?」

「……あぁ、そこからなのね……」


 パーティーを組んだら戦闘とかで共闘して経験を分かち合うチームらしい。団体戦メンバーって感じだろうか。特に断る理由もないから申請を受け取る。

 

「これであたしとミツバちゃんはパーティね。それじゃこのまま外に……と言うのも勿体無いわね。冒険者ギルドに登録しましょうか。あぁ、冒険者ギルドっていうのはまぁ、一番ポピュラーなお金の稼ぎ場所とでも思って貰えればいいわよ」

「そんなところまであるんだね。そこに行って仕事でも受けるの?」

「そうよ。ほら、見えて来たでしょう? あそこの大きな建物よ。あら? ちょうど私の知り合いもいるわね。なんだか口論しているようだけど、どうしたのかしら?」


 サオリさんが指さす先には周囲の建物よりも一回りか二回り大きな建物が見える。そしてその前には二人の男女が口論していた。一人は皮の軽装の男性剣士。もう一人はとんがり帽子の昔話にも出てきそうな女性の魔法使い。こんなゲームの中でも痴話げんかをする人がいるのだろうか。

 


「___だから今日は人とあう予定があるって言ってんだろうが! 別に明日でもいいだろうが! このイカレ魔法使い」

「私は今日! 今すぐ!メイ君を茶化しに行きたいの! 今行けば絶対面白い事になってるんだよ! 私のステータスじゃ安定して道中を移動できないし、報酬は払うんだから護衛してって言ってるでしょこの平均剣士! 」

 

 なんだろう。女性側の声がものすごく聞き覚えのある声だ。ふと時間を確認してみると姉が帰ってくる時間だ。いつの間にかゲームに耽っていたらしい。

 耳を澄ますとゲームだけでなく部屋の外からも叫び声が聞こえてくる。十中八九姉だろう。残念具合に頭が痛くなる。


「サオリちゃん。あのとんがり帽子の女の人、ボクの姉です」

「奇遇ね。その口論の相手がアタシの待ち合わせ相手よ」

「……はぁ。ちょっと話しかけてきます」

 目立っている事にも気づかずにヒートアップする2人を眺めつつため息を吐く二人。正直関わり合いになりたくないが、これ以上周りに迷惑をかける訳にも行かない。

 気が進まないがお姉ちゃんに話しかける。

 

「はい、口論はそこまでだよ? ちょっとは周りの迷惑を考えようか?」

「も~! 教頭みたいなこと言わない、で…よ……え? 三つ葉?」

「家の中だけでなくゲームの中でも人様に迷惑かけるなんて、覚悟してね?」

「まぁまぁミツバちゃん。ゲーム内での口論なんてよくある事なんだから気にしちゃいけないわ。それと久しぶりね? アニーちゃん」

「ニッキー、いや名前変えたのか。……サオリ? 本名じゃねぇかよ。にしてもお前……」


 お姉ちゃんの頭を押さえて無理やり口論を止める。ギャーギャーうるさいが、この反応は100%お姉ちゃんのものだ。人違いでなくて良かったというか出来ればこんな痛い人人違いであって欲しかったというか複雑な気分だ。

 隣を見ると、サオリちゃんが剣士の男性と話をしている。この人がサオリちゃんの知り合いらしいが、若干サオリちゃんを見て引いている。どうしたのだろう。 

 お姉ちゃんもサオリちゃんの存在に気付いたらしく、顔を青くして見上げる。


「ね、ねぇ三つ葉? こちらの方は一体どちら様なのかな?」


 高い背と大きな胸筋。ピンと伸びた姿勢に足のハムストレングスと腓腹筋は整っていてとても『綺麗』な筋肉をしている。



 え? サオリちゃんは男の人だよ?


 ヤケになって書いたのはゲームで欲しいイベント武器が手に入らなかったのが原因で、欲しい武器が手に入らなかったのはイベントを回してもドロップしなかったせいだから、つまりイベント回してた奴のラックが低いせい……。

全部私のせいだ! ( ゜∀゜)<ハハハハハ八八ノヽノヽ!

麻痺狩猟笛……。とっておきたかったなぁ……。


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