第二十四話
何故か昨日だけでPVが2000を越えていました。ブクマも増えていました。一体何があったんでしょう? 何故日間に乗っているのでしょう? 私は死ぬのでしょうか?
どちらにせよ、ありがとうございます_(._.)_
皆様の暖かさに感謝です。
「という事はメイ殿は一度戦闘して道に迷ったと? ……プフッ。いや、失敬。一度や二度の戦闘で道に迷う御仁はなかなか見ないものですからな。あ、いや、笑っている訳では……クフッ」
顔を逸らし、肩を振るわす少年エルフ。あのイモムシ……モーリーワームに負けそうになっている事より、道に迷っていたことに対して笑われているらしい。言い返したいが、助けて貰った上に町まで案内して貰っている手前反論し難い。複雑な表情をしていたのを察したのか、コホンと咳払いをすると話を変えてきた。
「えぇ、度々失敬。こちらだけ事情を聞いておいてこちらの自己紹介がまだでしたな。小生は【レプラ】。見ての通りエルフ族ですぞ。ジョブは【仕立て屋】をしていますな。よろしくお願いしますぞ」
レプラ。おそらくレプラコーンが名前の由来だろうな。確か靴だったか服を作ってくれる妖精だったかな? 仕立て屋って事は生産職のプレイヤーなのだろう。
だけど、その強さはすさまじかった。始まりの町から次の町へ行く為の森とはいえ、生産職の身でありながら圧倒してしまったのだから。
「いや、迷子になったのは俺だからな。助けて貰って文句は言わないさ。こっちこそよろしく。それにしてもレプラは強いんだな。まだ小さ「メイ殿」……え?」
まだ小さいのにたいしたもんだ。そう言おうとしたらレプラに止められてしまった。ニコニコと笑ってはいるが、目のハイライトは消え、なんだか後ろに黒いオーラを纏っているように見える。え? 俺地雷踏んだ?
「察するにメイ殿はおそらく学生ですな? 小生はこれでも20を超えた社会人ですので、あしからず。まぁネトゲ故、言葉使いに関してはそのままで構いませんが、背に関しては触れぬことをお勧めしますぞ?」
「え? ……社会人?」
さっきから少年エルフと勝手に呼んでいたように、レプラの背は低い。俺もそこまで背の高い方では無いが、その俺の肩よりもずっと低い。え? ホントに社会人?
キャラメイクで弄ってるにしては……この怒り様は、ガチだ。
「すいまっせんでしたぁ!」
流石に力の差を見せつけられた後に怒られるのは怖い。速攻で謝った。
「んん。まぁわかって貰えたらいいんですぞ。メイ殿は他のプレイヤーと違ってマナーが良いですからな。彼奴ら、分かった上で触れてくるから性質が悪い。まぁそういう輩は等しくお灸を据えてますがな」
言わなくてよかった。結構闇が深かったようだ。
「それにしてもメイ殿。貴殿は一体どんなジョブをしているのですかな? みた所近接系のようにも見えますが、それにしてはあの糸を破れないとなると相当なSTRの低さですぞ。実は後衛系のジョブなのですかな?」
「いや、一応前衛になるのかな? 短剣使いから派生した道化師ってジョブだよ。STRの低さは……ジョブ補正で半減なっててな。元々ほとんどDEXにしか振っていないから初心者以下なんだよ」
「半減!?」
自分のステータスの事を教えたら目を丸くして驚愕された。心なしか、軽く距離を取られ引かれていないか? え?俺そんなに変な事言ったか!?
「前衛なのにステータスが半減って……その、メイ殿は、地雷プレイヤー……ですかな?」
地雷って、別にそんなつもりじゃ……確かに攻撃役にも盾役にも慣れないし、デフォルトで挑発効果もある癖にそこまで速くないから避けタンクも出来ないってだけでレベルはすっごい上がりやすい……ってあれ?
「俺。……地雷じゃねぇか」
「自覚なかったのですかな……。いや、しかし【道化師】と言いましたかな? 確かに戦闘には不向きな職業の様にも見えますが、小生同様に非戦闘職業では無いのですかな? 悲観することはありますまい」
「非戦闘職業?」
「そうですぞ。例えば小生の職業【仕立て屋】。これは服や帽子といった服飾関連を作成する事に長けた職業ですぞ。他にも、剣など武具を作成する【鍛冶師】、売買を得意とする【商人】等々ですな。これら生産職や戦闘する者でない職業者は、それに準ずる戦闘のスキルを一応得られはしますが、剣士や魔法使い程の戦闘能力とは比べ物になりませんな」
そう言われてみれば、道化師は戦闘職業って言うよりも芸人とかって感じだな。それならば転倒とか戦闘に関係なさそうなスキルがあっても不思議じゃないか。
それに、【仕立て屋】という生産職でもこの人は俺以上に戦闘慣れしていた。これでも戦闘に不向きな職という事は、結局は戦い方なんじゃないだろうか?
同じ非戦闘職系という事もあり、俺は彼に対して親近感と言うか憧れのような者を抱いた。
「レプラさん。実は……」
俺はレプラさんに道化師のジョブについてとDEXを上げる事の利点についてを教えた。すると、レプラさんはさっき以上に驚き目を丸くさせた。どうやら、最初期からプレーしていた者たちの調査結果だと、DEXは生産職の生産アイテムの質には関係するものの、別段クリティカルが上昇するといった効果は微々たるものだったらしい。おかしいな。俺の場合、クリティカル結構出たけどな?
「まさか、レベルアップ効率の上昇とキャラの操作性向上の効果があったとは……。しかし、なぜ今までそのような重要な事項が判明しなかった……?」
「多分、時折1ポイント割り振る程度じゃ変化が小さすぎて気付かなかったんじゃないですか? その調査段階って俺みたいにDEXに極振りするような人なんていなかったでしょう?」
「……なるほど。確かに小生も生産職故DEXには割り振ってはいるものの、INTやMP、AGIにも振ってある程度一人で素材狩りに行ける様にしていますからな。失礼ですがメイ殿。現状、DEXの数値はいかほどで?」
えっと、今のレベルが57。その内DEXは108で、ジョブ補正でその2倍だから……。
「216ですね」
「にっ……!? なるほど。それほどの高さならば操作性もレベル効率も一目瞭然でしょうな。それにしても凄まじい数値ですな。今のタンクや魔法使いでも、HPとDEF、MPとINTと言う感じにある程度ステ振りしますからな。そこまで特化させるプレイヤーなど小生も聞いた事がないですぞ」
それはそうだろう。いくらタンクや魔法使いと言えども、DEFだけに振ってもHPが足りなければタンクとしてダメだろうし、STRに振らないと重い装備や盾を持つことは出来ないだろうし、INTだけにしか振らない魔法使いなんていないだろうからな。数を打つためにMPにも割り振る筈だ。
こんな事をしてるのは俺位だろう。この話をしていると、レプラさんは興奮した様子ではしゃぎだした。
「これはビックニュースですぞ! 現状のDEX地雷の風潮を覆す事が出来ますぞ! メイ殿! 貴殿はまさに革命的な情報の発見者ですぞ。小生の事は呼び捨てでレプラで構いませんぞ。DEXの先駆者の前に長幼も敬語も不要。ささ! フレンド登録を願えますかな? そうですぞ! ついでに町についたら装備のメンテナンスも致しますぞ!」
「こちらとしても願ってもない。俺が周りからすると地雷って気付かせてもらったしな」
こうして俺は、戦闘職以外のプレイヤーと初めてフレンドとなった。
ちょっとだけ重要人物登場な話。