表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/129

第二話


自分の部屋にて、母親から渡された段ボールを見つめる。


「いやいやおかしいって。俺この手の応募しないから届くわけがないのに。いつから俺は残念先生と同レベルになった。」


 こんなのが届いたなんてあのせんせーに知られたら絶対にからかわれる。「ドヤ顔でダメだよ辻君。こんな怪しいゲームに手を出しちゃ」とか自分の事は棚に上げて言うにきまってる。うわ想像しただけでもムカつく。あ、ハサミ発見。手でガムテープとると綺麗に開けないからな。


「宛先だけで他の事は書いてないっぽいな。うわ~怪しさMAXじゃん。中身も当選しましたって紙と起動方法の紙くらいで何の当選かも書いてないし。これは黒確定だな」


 ヤバいな。送り返すとしても送り返しようがないし。困った困った。なるほど、ゲームは既に本体にインストールされてる訳ね。で、まずはこれ被るだけと。


「こんなことで警察に連絡入れるのも面倒だしな~。やっぱ持ってるしかないかな? うん、仕方ないから持ってるしかないな。仕方ない仕方ない。持ってるだけならセーフだし? まぁ確かにこんなのが届いたらせんせーも気になるのは当然だな。あのせんせーメンタル弱いしすぐ誘惑に負けそうだな~。……起動スイッチは横なのね」



俺も誘惑に勝てなかった。同類? 笑えよ。




~~~




『仮想世界、セルフストーリオンラインへようこそ』


真っ白な視界の中に文字が浮かび、文字を読み上げるようにして女性的な音声が流れた。


『まずは本ゲームのハードの使い方を説明したいと思います。まずこのゲーム機はVRMMOではありますが、ソードがアートするあのライトノベルや無双系骸骨のギルドマスターが主人公のあの作品のような完全に没入型のVRMMOではありません』


 分かりやすいような分かりにくいような微妙な例えを出してきたな……でも言われてみれば、浮遊感も違和感もない。手を動かせば壁や床に触れた感触を感じる。じゃあこれ、既存VRゲーのパチモンじゃね? 


『ですが、既存のそれを真似た模造品でもありません。義手技術や医療技術をヒントに開発され、脳波の読み取りや生体電気の変動を感知し、動く体をリアルにゲーム内に再現させることが出来ます。試しに右手を目の前に伸ばしてみてください』


 右手を前に出す。すると俺の視界に右手が現れる。グーパーグーパー。色や形が多少違えど、タイムラグ無しにしっかりと握り開かれる手を見て本当に自分の手の様に感じられた。下を見る。なんかマネキンみたいなのっぺりした身体だけど、体がそこにあった。起動ボタンを押したときの俺の姿勢と同じく胡坐をかいた状態でちょっと変だった。


『右手がしっかりと機能していますね?それがあなたのこの世界での身体。所謂アバターです。ですが、注意点があります。歩くことを意識してみてください』


 歩く? この精度の読み取り技術なら転んだりすることなく移動できそうだけど。アバターを立たせ、歩く。やっぱり自分の身体の様に動かせてテンションが上がる。


 ……が、数歩歩いた所何かにぶつかった。痛い。

なんだ? 何が起こった? 目の前には真っ白で壁なんて無いのに。ん?壁?


『痛覚への刺激を感知しました。一時的に視界の一部を前部カメラに切り替えます』

『このように、慣れない内はアバターと実際のあなたの身体。両方が同じ動きをしてしまう事があります。ベッド等に横になり、リラックスできる状態で夢の中の自分を動かすイメージを推奨します。また、実際にプレイするときは室内で安全を確保した上で行ってください』


 出来れば最初にそれを言って欲しかった。どうせ自室だから良かったけど。白い視界の一部に俺の自室が移る。あぁ確かに目の前に壁がある。写った自室の映像を頼りにベッドに向かい横になる。…ついでに適当にタオルで腕を縛っておこう。ベッドの上で変なかぶり物して両手両足をバタつかせる光景なんて親にも見られたくない。


『なお、無暗に移動しないようにと手足を拘束するのは、お勧めできません。目隠しに手足を拘束されている場面は特殊な性癖の持ち主と誤解させる恐れがあります。なにより万が一を考慮すると危険です』


 こいつ最初からそれを言え! ……世間体と羞恥心を計りにかけた結果、タオルは外しておくことにした。


『ゲーム内の行動はほぼすべてこの脳の思考によって左右されます。慣れてくると脳の思考のみでよりスムーズにアバターを動かすことが出来るようになります。これにて本ゲームの操作方法の説明を終了させていただきます』


え? それだけ? 結構大雑把な説明だな。いやまぁだいたいの使い方は分かったからいいけどさ。


『では、セルフストーリオンラインについての説明を行います。このゲームは剣と魔法の世界です。後はご自分の目でご確かめ下さい。』



え?待って ほんとにそれだけ?



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ