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第一六話

 お久しぶりです。12月。嫌ですよね。レポート・テスト・受験・決算・その他もろもろ。嫌なことがたくさんの季節ですね。はい、レポートが嫌でまた現実逃避を再開しました。

これまでの流れ

怪しいゲームが届く➡武器を買ってもらう➡ウサギと戦う➡DEXに振ってたら隠し効果発見➡DEX特化でがんばろう。こんな感じです。



 DEXを上げる事でレベルが上がりやすくなるという仮説を立ててから一週間がたった。俺は宣言した通りレベルが上がる度にDEXに割り振っている訳だが、レベルの上がり方が落ちるといった事はあまりなく、順調に上昇を繰り返している。そのせいか、俺のステータスはこうなっている。



【メイ】 Lv.50

ジョブ:短剣使い

HP 10

MP 10

STR 5

DEF 5

INT 5

AGI 14

DEX 94


スキル数:8

補正詳細▲



 あと少しでDEXが三桁に届きそうな所まできた。ここまで来るとこれがゲームのアバターだという事を忘れてしまいそうな程に違和感なく行動できる。むしろ自分の身体よりもスムーズに動けるんじゃないか? ただ、それ以外は全部初期ステータスと同様だから野ウサギくらいしか俺TUEEE出来ないけど。


 装備に関しては、外套以外も野ウサギの素材を使って一通り揃えた。使っている武器はSTR値の関係で鉄製の短剣のままだけど、こんな感じになってる。



装備詳細▽

・武器補正:【鉄製の短剣】

 攻撃時、STRの値+5

 常時、DEXの値+1

・装備補正:【野兎の探検帽】

 常時、DEFの値+2

・装備補正:【野兎の服】

 常時、DEFの値+4

・装備補正:【野兎の外套】

 常時、DEFの値+7

 常時、AGIの値+3

・装備補正:【野兎のズボン】

 常時、DEFの値+4

 常時、AGIの値+4

・装備補正:【野兎の靴】

 常時、DEFの値+3

 常時、AGIの値+5



 攻撃力はアレだが、防御力に関してはまぁまぁ高くなってきている。ウサギの攻撃でピンチになることは無くなったけど、そのせいか装備してからのレベルの上がり方は悪くなってはいるけど(アニー曰くそれでも異常な成長速度らしい)。

 スキルに関しては、特にこれを披露したい。


【ラビットキラー】

 何故ウサギをそこまで狙うのか? そう聞きたくなるほどにウサギを狙う者へ与えられる称号。ウサギへの特効効果、ウサギへ攻撃する際にSTR、DEXの値が上昇。


 この一週間ひたすらにウサギを狩っていたら、【兎狩人】の勲章スキルが進化して手に入ったスキルだ。特効とはウサギに対するダメージが上がるらしい。他のプレイヤー達がちらほら別の町に進む中、俺はずっとウサギ相手にしてたからな。

こんなスキル持ってるのは、始まりの町に居座り続けてる俺だけじゃないか? まぁ、そのせいでいつまでたっても次に行けない下手くそプレイヤー扱いされるようになったけど。ま、気にしないけどね! 今日もウサギをデストロイだ!


「冒険者ギルドへようこそ! あら?メイさんですね。毎日お疲れ様です」


受付嬢さんとも仲良くなってきて、時々世間話するときもある仲だ。こんな流暢な受け答えができるNPCなんて他にないからね。楽しみの一つだ。


「こんにちは。今日も野ウサギの依頼をお願いしたいんですけど」

「かしこまりました……と、言いたい所なんですが、実はメイさん当てに指名依頼が来ているんです」

「指名依頼?」

「はい。メイさんはこれまででウサギを延べ1,000羽を超えるウサギを討伐しています。言わばウサギ狩りのスペシャリストです。その腕を見込んでギルドからの指名なんです。町から西にある『新緑の森』はご存知ですか?」


 知ってるも何も、新緑の森は次の町に行く為に通らなければならない森だ。ここらでのレベル上げに満足できなくなった奴らが森に入っていくのを何度か見かけたことがある。知ってると告げると、受付嬢さんが良かったと呟き話を進め始めた。


「既にご存知なのでしたら話が早くて助かります! その森に生息するホーンラビットが大規模な群れを構築しているらしいんです。更にその群れを率いてるのが変異種らしく、これはウサギ狩りの精通している人物に任せるべき事案とギルドの方で判断されたのです。メイさん。この依頼、引き受けて頂けませんか?」 


 多分これはウサギの討伐数から来る特殊クエストじゃないか? 他のプレイヤー見てた感じウサギと少し戦って慣れてきたらゴブリンに移行してる奴が多かったから、たぶんこのクエストに気付いてるのは少ないだろうし。ならここは、受けといた方がいいだろう。


「わかりました。引き受けます」

「本当ですか!? 森に隣接するエルフ族の集落から協力を貰えずにギルドとしても困っていたんです! ありがとうございます!」


ん? なんだ不吉なセリフが聞こえた気がする……。まぁ今はスルーだ。とにかく目指すは『新緑の森』だ。



~~~



 そんなこんなで『新緑の森』。大きな木々が生い茂っているが、適度に木と木の間に感覚があるお陰で剣士でも気兼ね無く剣を振り回す事が出来るように見える。俺は依頼の内容を確認しつつ森の中に入っていく。


 「えっと、依頼の内容は『ホーンラビットの群れ・及び群れを率いるリーダー格の討伐。なお、リーダー格を倒すまでがクエストである』か。確かホーンラビットは野ウサギの上位互換って話だけど、いったいどれくらい違うんだ?」


 森の中に入ったは良いもののまだは出てくる様子はない。アニーは今日は自分のレベル上げの日らしく、このクエストについては連絡していない。だからホーンラビットについては何の前情報も無いからどれ位強いか分からないな。ホーンって事は角でも生えてるんだろうけど。


ガサガサッ


「来たか!?」


 短剣を構えて音の方向に備える。出てきたのは額から角の生えた一匹のウサギ。間違えようがない。コイツがホーンラビットだろう。角が生えたといってもウサギの派生先には変わらないんだ。それに序盤の敵には変わらないんだ。俺でも勝てるだろう。と、思ってたら、更に茂みの奥からもう一匹現れた。


ガサガサッ ガサッ ガサガサガサガサッ

ガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサガサ



2、3、6、8、13、20? いやそれ以上?


 前からだけじゃない。右から左からもホーンラビットが次々と現れてきた。どのウサギも完璧に闘争心むき出しだ。いやいや、確かに大規模な群れって言ってたけど


「流石にこれは無理があるだろぉぉがぁぁ!!」


 一斉に突進してくるウサギの軍勢。その突進は町周辺の野ウサギよりも速く鋭いモノだった。それが前方180度からだ。いくらこの一週間ウサギの直進的な動きを繰り返し続けて来たといってもそれは一対一。多くても5,6体が良い所だった。

 それが今はどうだ? その3倍以上の数を相手に避け続けなければならないなんて。どうかしてるぜ! 必死に前から来るウサギ達を避けていたら急に視界がぶれた。


「っうぉ!? なんだ!?」


 自分の状態を確認する。転んでる?何故? ちゃんと前からのウサギは避けていた筈……後ろか!?

 そうだよな。前から飛んだら後ろに着地する。後ろにいるなら、そこから飛んでくるに決まってるよな。

 急いで体勢を整えるとステータスを開いて自身のHPを確認する。


【メイ】 HP 4/10


 嘘だろ? いくら背中を取られたといったって今の俺は防具を一通り揃えてる。なのにHPを半分以上持ってかれたのか? ヤバい。野ウサギと思ってると本気で危ない。ぶっちゃけゴブリン数匹なんかよりよっぽど危なくないか? 


 とにかく少しでも数を減らさない限りらちが明かない。この数をずっと相手にしてたらじり貧だ。確かに数も強さも違うが突進という攻撃方法自体は変わらないんだ。対処法は同じで良い筈だ。突進に合わせてすれ違い様に、斬り付ける! 


「ギュイッ!」


 前に注意を向けつつもチラリと後ろを確認する。……ダメだ。キレイに斬り付けたと思ったのに全然弱っている気配がない。こいつら本当に序盤の敵なのか? いくら俺が割り振って無いって言ってもウサギ特効効果のある【ウサギキラー】のスキルがあるんだぞ? 少しは効いてくれてもいいんじゃないのか!? むしろ明確な敵対行動行動をとった事で攻め手が盛んになったんじゃないか?


「どうする? 避けるのすら辛くなってきた。……仕方がない。【ステップ】!【セカンド】!【サード】!」


 俺がこの一週間で新たに手に入れた【セカンドステップ】と【サードステップ】。ま、簡単に言ってしまえば【ステップ】スキルが三回連続で使える様になるスキルだ。


「【ハイステップ】!【セカンド】!【サード】!」


 ひたすらにステップやってたら手に入ったステップの上位系【ハイステップ】。現在のAGIの1.5倍の速度で一歩分移動するスキルだ。ステップとあんまり変わらない? いやいや0.3倍の違いは馬鹿にできないって。多分。

 【セカンド】【サード】は単純にステップの歩数を増やすことができる。2歩目以降もスキルの発動宣言は必要だし、受け付け時間は短めだけどこれのお陰で回避がだいぶ楽になった。


これによって機動力を確保できるようになったは良いものの……


「この数相手じゃ焼け石に水だ!」


 スキルを使って避けた所で状況は何も変わらない。避けても避けても、斬っても斬っても、切りがない。というか、斬っても倒せてないし。このままやっても集中力が切れた瞬間にタコ殴りにされて終わるだろう。瞬き数回分の短い逡巡の末に行動を決める。


「かくなる上は……逃げる!!」



どうしようも無くなった俺はまず逃げ出すことにした。






いくらレベルが上がって戦闘能力が初期から変わってなかったら意味ないですよね。これどうしよう……。

次はできたら明日出したいです。

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