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第十四話

次の町へ行く準備をしましょう(という名目のグダグダ話)。それでも良ければお付き合いください。


「防具屋防具屋……あったあった。ここだな」


道具屋を出た俺はおっちゃんにもらったアドバイス通り防具屋に向かった。看板にごつい鎧が描かれたその店に入る。


「らっしゃい。革だろうが鉄だろうがなんでもござれ。ここはロイの防具屋だよ」


奥から出てきた腰に針や糸をポシェットに詰め込んだ若い男性が出てきた。長い髪を後ろで纏めてちょっと優男って感じのする人だ。防具というより服屋?


「わりぃな。商売上接客しなきゃならんだけど、口が悪いもんでね。これで勘弁してくれ」

「かまいませんよ。俺もそっちの方が気楽でいいですし。道具屋のほうでここに素材を持ち込めば仕立ててくれるって聞いたんですけど」


「あぁグッドのとこか? アイツ適当なこと言いやがって……。確かに仕立てようと思えばできるが、オーダーメイドってなると結構な値段になるぞ? 素材にしたって使える使えないがある。それに見たところ駆け出しみてぇだが、そんな余裕あんのか?」


費用に関しては貯めれば何とかなるが、使えない素材もあるのか。


「えっと、予算は大体2万ガメツ。持ってきた素材はウサギの毛皮なんですけど、ダメでしたか?」

「ウサギの毛皮だぁ? その予算でそれなら、そうだな。野兎のコートくらいなら1万で作ってやれるぞ」


良かった。手の届く範囲でできるっぽい。でもコート一着で1万ってゲーム序盤なのに高い!



「高いって顔してるな。当たり前だろぉが。こっちにも生活ってのがあるんだから。素材料がそっち持ちな分まだマシなんだぞ。で、どうするんだ?」

「あぁ、そうゆう事ならお願いしますよ。代金とウサギの皮です」


持ってるだけの毛皮と代金の一万ガメツを渡すと、彼は少し驚いた様子を見せた。


「へぇ。なかなか綺麗に取れてんな。兄ちゃん。見かけによらず案外器用なんだな。この毛皮の量なら、丈夫なのができるだろうよ。うし。引き受けた。明日までには仕上げとくがどうする? おすすめはしねぇが今日中に仕上げるのもやろうと思えばできるぞ?」


綺麗に取れてるって言っても倒した後に手に入ったドロップ品なので器用関係ないと思います……。それと仕上がる時間はちょっとリアリティなのね。別に今日はもう戦闘に行く気ないし、明日でもいいか。


「急ぎじゃ無いから、明日で問題ないですよ」

「こっちとしても助かるわ。今日中だとやっつけ仕事で出来が悪くなっちまうからな。なら明日辺りにでも取りに来てくれや」


あっぶね。質が落ちるとかもあるのね。むしろゆっくりやっていい出来で仕上げてほしい。


「他にも装備を揃えたいんですけど、素材があれば何が出来ますか?」

「あ? まぁ確かにコート着るだけじゃあな……。そもそもお前、どうやって戦うんだ? 毛皮素材で頼むってことは軽戦士系だよな?」


戦闘スタイルを聞かれた。まぁスタイルに合わない格好してもダメだろうからな。


「短剣使って、基本攻撃は避けてヒット&アウェイって感じですかね」

「軽戦士系か。それなら、動きやすさ重視で素材も金属系は極力無しの方向でだから、やっぱ革製品になっちまうな。今の布の服でもいいが、丈夫さも考慮した方がいい。軽戦士なら転がったりするだろうが、その時の摩耗の速さが違う」


って事はウサギの毛皮がまだ必要になるのか。明日コートを貰ったらもう一度ウサギ狩りに行くとしよう。


「参考になりました。それじゃあ明日また来ます」

「おう。期待して待ってな」


そういって防具屋を出る。防具屋でコート頼んで帰るってほとんど服屋と変わんない気もするけど、金属の鎧なんて買う金も着るSTRもないから仕方がないと割り切ろう。



ポーションと防具の用事はすんだから、今日出来そうな事は終わってしまった。特にやることもたかったから、ギルドにアニーの講習会を見に向かったがいなかった。町の外にウサギ狩りに行ったしい。これ以上やっても頭痛の原因になりそうだから今日はそれでログアウトする事にした。




「よーし、落ち着け。今回は前回よりも慣れが進んでる。いくらゴブリン戦が大変だったといっても大丈夫だろう。大丈夫の筈だ。……大丈夫であってくれ!」



カチッ☆(電源OFFの音)


「やっぱ いってぇぇぇぇええええええええええ!!!!」



結局頭痛に耐え切れなくて、今日もそのまま意識を手放した。





~~~




頭痛に耐えつつなんとか放課後を迎えると、せんせーがニヤニヤしながら近づいてきた。


「ふふふ~。辻君、頭痛が辛そうじゃないか。もしかして、もしかしなくてもゲームのやり過ぎなんじゃないのかな~?」

「どうせせんせーもやってたんでしょうに……。そこまで長い時間はやってないと思いますよ。せんせーこそどれくらいプレーしてたんですか?」

「言われたことを一日で破る先生だと思ったら大間違いだよ辻君。今日はちゃんと三時には寝たからね! どう? 先生、教師の威厳はしっかり称えるべきだと思うの!」


そうですね。ばっちり徹夜してるその反面教師の所は本当に尊敬します。


「てゆうか先生。軽く俺の倍くらいはやってるんじゃないですか? なんで俺の方が頭痛で苦しでんだ……」

「それはほら。先生とってもクールなINT 特化系インテリ魔法使いだし? やっぱ高貴な魔女っ娘エルフには頭痛になる余地なんて無いっていうか?」


なるほど。脳筋なんですね。思考停止で魔法ぶっぱしてるから頭を使う必要がないんですか。


「せんせー。仮に俺とパーティ組んだとしても絶対に俺の方に魔法打たないでくださいね。なんかフレンドリーファイア連発されそうな気がします」

「失礼だな! 3回に一回しか巻き込んでないよ!」

「既にやらかしてたのかよ! しかも結構頻度高いなおい!」



そんな感じでギャーギャー騒ぎながらその日は帰った。残念せんせーとのパーティー議論よりも自分の防具である。














次回は火曜日に出せたら投稿します。ホントに出せるかは約束しかねます。

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