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第二十九話 幼女+純白のワンピース=かわいい

 サキちゃんとのお買い物も問題なく終えた。


「「ただいま」」


 無事に家に帰ると、いつの間にか先に家に到着していたルーラが出迎えてくれた。


「おかえりなさいませ」


「ルーちゃん! いっぱいかってきたよっ」


「ありがとうございます。助かりました」


「えへへ~っ。パパ! サキ、ちゃんとおかいものできてたよねっ」


「うん、サキちゃんのおかげできちんと買い物ができたよ」


 褒めてあげると、彼女はだらしない顔で笑った。

 俺との買い物も楽しんでくれたようだし、問題なく終わって本当に良かった。


「おやつは『ケーキ』をご用意しますので、楽しみに待っていてください」


「え? でも、さっきケーキ食べてきたんだけど……」


「……わたくしのケーキの方が美味しいです」


 おっと、なんだか拗ねているように見えなくもなかった。

 この家のお料理を担当している彼女は、もしかしたらよそのお店に対抗心があるのかもしれない。


「た、楽しみにしてる」


 やる気満々の彼女に気圧されて、俺は頷くことしかできなかった。


「フルーツケーキをお作りする予定です。マニュ様には早速、色々な果物を採りに行ってもらっています」


 スイーツ大好きの邪神も協力しているようだ。

 あの子にはお土産でお菓子を買っていたのだが、後で渡すことにしよう。


 そうそう。お土産と言えば。


「ルーラ、これあげる」


 彼女にもお土産は用意していた。


「これは、髪留めですか?」


「うん。何か作業する時とか、使ってくれたら嬉しい」


 彼女の長い髪の毛は綺麗だが、掃除などする時はちょっと邪魔になっているように見えた。

 なので、これを一目見た時に買ってあげようと思ったのだ。


「あ、デザインとか気に入らなかったら、別につけなくてもいいんだけど」


「いえ、つけます。一生大切にします」


 ルーラは早速髪留めで髪の毛を束ねた。

 今から料理をすると言っていたので、ちょうど良かったのかもしれない。


「どうでしょうか? 似合いますか?」


「うん、かわいいよ」


「……照れます」


 珍しく頬を染めた彼女は、嬉しそうに微笑んでいる。

 ポニーテールでも十分にかわいい。これは嘘でもお世辞でもなかった。


「何かする時は使わせていただきますね。ケーキ、楽しみにしていてください」


「あー! ルーちゃん、サキもおてつだいするっ。ケーキたべる!!」


「手伝っていただけるのですか? では、お願いします」


 サキちゃんもルーラのお手伝いをするようで、一緒にキッチンに行ってしまった。

 並び立つ姿はまるで姉妹みたいで、微笑ましいものである。


「さて、エレオノーラにお土産でも渡すか……」


 マニュはいないと言っていたが、恐らく彼女はいるはず。

 エレオノーラには要求通りお土産で『衣服』を買ってきていた。


 果たして気に入ってくれるかどうか。


「ただいま」


 部屋に入ると、中央で静かに本を読んでいたエレオノーラが顔を上げた。


「おかえりなさい。待ちくたびれていたわよ、下僕」


「え? 遅かった?」


「いえ、ただ単に私が寂しかっただけ。あなたと離れていると落ち着かないのよ」


 嬉しいことを言ってくれる。


「ごめんね。お土産あるから、機嫌直してくれると嬉しい」


「あら? きちんと買ってきたのね……ほら、早くこっち来なさい。そして私にお土産を渡してくれるかしら」


 手招きされたので、彼女の方に歩み寄る。


「はい、どうぞ」


 早速お土産を手渡すと、彼女はすぐに開封した。


「これは……ワンピースね」


 そう。俺とサキちゃんがエレオノーラへのお土産で選んだのは、純白のワンピースだった。


「いつもドレスだし、たまにはこういう軽装でも似合うかなって」


 銀髪が印象的で、幻想的な美しさを放つエレオノーラ。

 彼女に似合わない服はあまりないかもしれないが、純白のワンピースは特に映えると考えたのだ。


「……なかなか、いいセンスね。早速着てみていいかしら?」


「うん、俺も見てみたい」


 頷くと、彼女はおもむろにドレスを脱いだ。


 俺の目の前で。


「エレオノーラ……俺、ここにいるよ?」


「知ってるけれど?」


「……見られて恥ずかしくないの?」


「下僕。言っておくけれど、私の裸は芸術よ? 見られて恥ずかしくなるわけないじゃない」


「いや、確かに綺麗かもしれないけどっ……そういう問題じゃないような」


「綺麗ならいいじゃない。好きなだけ見るといいわ。下僕になら、どんなに見られても構わないもの」


 俺の指摘は面白いように無視された。


 そのまま着替えが続行される。俺は目をそらして彼女が着替え終わるのを待つことしかできなかった。


 この年頃の女の子って、こういうものなのだろうか?

 思えば、みんな裸を気にしていなかったし……俺もあんまり意識するのはやめておこう。


「着替え、終わったわ。どうかしら、下僕」


 そして、エレオノーラが純白のワンピースに着替えたようだ。

 早速顔を上げて確認してみる。


「うん、やっぱりかわいい」


 予想通り……でもない。想像以上に、エレオノーラはかわいくなっていた。


 俺の率直な感想に、エレオノーラは当然と言わんばかりに髪の毛を払う。


「ま、及第点よ。なかなか悪くないセンスだわ……これからは大切な日にこれを着ようかしら」


 なんだかんだ言ってるが、気に入ってはくれたようだった。

 良かった……喜んでくれたのなら、何よりである。

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