ドクサツ
神々神々。
単に自分が神様であるアピールをしたいがために『神』の字ばかりをならべてつくった偽名。
そんなもので地上に降りてきたとある神様は毒殺されていた。
なぜか
それはこの自称神様が人に対して悪戯をするのが好きだったというのが原因だ。
単純に相手が悪かったと言える。
相手は中央や突風という中二病じみた偽名を使う青年だ。
言葉巧みに相手を話しに乗せ、金をだまし取りつつ家に上がり込んでしばらくの財布代わり兼食料庫にした……つもりだった。
※
「お茶、飲みますか?」
それなりにいい賃貸マンションの部屋に危険人物と自称神様いた。
「あ、ください」(くくくっ、これだから人間は騙しやすい)
自称神様はいいカモを引っ掻けたといい気になっていた。
(……それであふれ出る負のオーラを隠しているつもりか? こちとら駄天使にこき使われた手前そういう気配には慣れてんだよ)
危険人物は日頃のストレス発散にでもと、ある仕掛けをしていた。
自分と偽神だけだからこそできる使い捨ての細工。
用意したケトルには濃度の違うお茶を注ぎ、二層にしておく。
そして神の目の前で注いで、この時点で毒入りとちょこっと毒入りの完成。
そしてそして警戒されないように、毒入りでないことを示すように先に飲む。
「毒なんて入ってませんよ」(入ってるけどな)
「ははっ、妙なことを言う。こんな安全な国でどうして毒なんて手に入れられるんですか」(やっすい茶葉だな、まずい)
「まあいままでのクセですかね」(遅効性だから気付いた時にはもう遅い……)
こんな感じで数日経ったある日、いつもより量を多めにして飲ませ、彼は偽神を家において外出した。
毒は自家製、すべての証拠は綺麗に消し去って排水溝や封水に残ったものまで完全に排除している。
そして、完全なアリバイを作り神様の殺害は迷宮入り……?