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折れたハイヒール  作者: 猫田ミケ
6/7

6話

2日目の休日の朝、私はベッドの上で考えていた。

結局、芹沢君とお昼を一緒に食べてそのまま帰ろうとしたら「もし良かったら連絡先教えてもらえませんか?その、何かの縁ですし…」と言われた。

特に断る理由も無ければ、年下の割には話しやすい、否、会話は出来てないんだけど沈黙の間がそれほど辛くはないため交換をした。

まぁ、私から連絡をする事はないだろうし、するきっかけもないだろう。

ふと、窓に目を向けるととても奇麗な青空が広がっていた。


「布団でも干そう」


思い立ったら吉、私はベッドから降りて布団をベランダにひっかけ埃をさっさと掃った。

窓を開けっ放しにしなくてはいけないんだし、ついでに掃除もしようと私は髪を1つに括りつけ袖を捲ると掃除に没頭することにした。


気づけば時計の針はもう昼過ぎを指していた。

部屋を見渡すとなかなか奇麗になったので満足し布団を中に入れた。

お腹も空いたし、何か食べようかなと冷蔵庫をあける。

作り置きの金平ごぼうと卵焼きを作るとして、メインは何にするかなぁ…。

一旦、冷蔵庫を閉め、頭の中をぐるぐる回転させる。

時間帯が時間帯なので軽めに済ませて夜がっつり食べてもいいなぁと考える。

冷凍庫に鶏肉があるのを思い出し私はそれを取り出した。


「うん、昼は金平と卵焼きと味噌汁だけにして夜はから揚げの南蛮漬けにしよう!」


鶏肉を自然解凍させるためにキッチンに置き、さっさと卵焼きを作ることにした。

解した卵に醤油を入れようと調味料が入れられている棚を見ると南蛮漬けに必要なお酢が切らしていた。


「食べ終わったらスーパーに行かないとなぁ…」


ポツリと一言呟くと私は調理に取り掛かる事にした。


***


昇格が決まって今の状態になってから俺は休日出勤が増えた。

まぁ、その分の給料は出るから不満はないがたまには休日が欲しい。

癒されたい、と柄にもないことを考える。

最近、契約している会社の無茶ぶりが多いのが頭痛の種だ。

出来もしない癖にいちゃもんつけて、俺の部下を馬鹿にする。

部下の頑張りを馬鹿にさせたくないからこうして休日を潰して仕事してるんだが…。


「なかなかうまいこといかねーもんだぁ…」


ぽかり、と煙草の煙でわっかを作る。


「腹も空いたし、今日は帰るかー」


書類を片付け鞄を持ち部屋をでる。

きちんと鍵を掛け確認して会社を出る。

帰っても冷蔵庫には何もないし、ましてや自炊をする気力もない。

スーパーに寄って弁当でも買うか。

俺は自宅とは正反対の道に足を向けた。


スーパーに着くと、いろんな人がいた。

主婦や学生、お年寄り、それぞれいろんな会話を繰り広げられていた。

そんな事には目にもくれず惣菜コーナーがある場所へ向かった。

そこには色とりどりの野菜やハンバーグ、刺身と鮮やかに飾られていて俺の食欲をそそられるには十分だった。

籠にいくつか惣菜を入れレジへ向かおうとした時、調味料の棚でよく見知った顔が何かを選んでいた。


「藤本か?」


そう声を掛けると目を見開いてこちらを見た。

まるで、まさかここで出会うとは思わなかったとでも言いたげな顔をしていた。


「お疲れ様です。休日出勤ですか?」


スーツ姿なのを見て藤本はそう言った。


「まぁな、最近先方先の無茶ぶりが多くてな。それの処理をしていたんだ」

「そうだったんですか…」

「しかし、プライベートに口挟む気はないが、結構ラフな私服なんだな。もっとひらひらしているもんかと思った」


思わず思った事を口に出してしまった。

今の藤本の格好はジーパンにシャツとカーディガンといった感じの格好をしていた。


「…ひらひらってスカートとかワンピースのことですか?もちろん着ますけど、今日は部屋の掃除をしていたので…。それに近所ですし着飾るのもあれかなと思いまして」

「そうか、近所だったのか。じゃあ、あれか?今日の晩御飯の買い物でもしに来たのか?」

「そうですよー」

「偉いな。ちゃんと自炊してるんだな」

「ええ、しますよ。そういう斎藤部長は惣菜ですか?」


籠の中を覗き込み藤本は言った。


「家に帰って自炊する気力がない」


そう答えると「分かります」とくすりと笑った。

会社じゃ、そういう顔しないくせに私生活だとそういう笑い方をするんだな、と思わず見つめてしまった。


「今日は何を作るんだ?」


なんとなく聞くと棚を見つめながら答えた。


「から揚げの南蛮漬けです。それを作るのにお酢を切らしていて…。ついでに玉ねぎと豆腐を買おうかと思っています」


意外に凝ったもんを作るんだと思った。


「俺もごちそうになってもいいか?」


そう聞いてみると藤本の動きがぴたりと止まった。

ぎこちなくこちらに顔を向けて、「こいつ何言ってるんだ」と思っている顔をしていた。

目は口ほどに物を言うとはまさにこの事だと感心した。

丁度こいつには発破を仕掛けてある。

俺を意識させるには丁度良い。

しかしこれはあまりにもいきなりすぎたか?

でもこいつの格好を見るなりこの後、何か用事があるようには見えない。

彼氏はいないと先日言ったばかりだしな。

さぁ、どうする?藤本。


俺を振るか?受け入れるか?


***


「俺もごちそうになっていいか?」


斎藤部長ななんてことない顔して私に聞いてきた。

斎藤部長が?家へ来る?ご飯食べに?

何故?そこまで親しかった?

そう焦っていると斎藤部長は「惣菜も飽きてきたんだよ」と苦笑いしながら籠の中を見た。

確かに惣菜は美味しいし、直ぐに食べられるからいいんだけど飽きが早いのは分かる。

だから私は自炊をしているのだが…。

うーん、と唸っていると斎藤部長は何かを決心した顔をして私に言った。


「藤本は酒が好きだったよな?」

「え、はい。好きですよ」

「ごちそうになる代わりに鳥飼を買ってやろう。それで手を打たないか?」


鳥飼!私の大好きな米焼酎の一種だ。

冷酒のロックで飲むのが大好きでよく飲む品物だ。


「山ねこもつけよう。前に一条に進められたが後味がすっきりでまろやかだから鳥飼が好きならこれも気に入るはずだ」


そう言えば一条君が「山ねこまじやばいっす!」とか言ってたなぁ。

斎藤部長はどんな会話でも覚えているんだと私は思った。

でも何故そこまで必死になって食べたがるのだろうか?

から揚げが好きなのかな?

部屋は丁度今日掃除したしいいか、そう思い私は決めた。


「いいですよ。斎藤部長の分も作ります」


そう答えると「悪いな」と言って笑った。


「その惣菜はどうします?今から食べると夜、食べれなくなるんじゃないですか?」

「そうだな、戻してくる。家はどこだ?酒を買ってから行く」

「でしたら、ここに来るまでにひいらぎっていうマンション見ませんでしたか?そこの三階の一番奥の部屋が私の部屋なんですけど…」

「あぁ、そういやあったな。分かった。買ったらそっちへ向かう。着いたら一度連絡する」

「分かりました。ではお待ちしていますね」


そう会話をすると斎藤部長はまたな、と言って惣菜を元に戻すために来た道を戻って行った。

初めて男の人に自分の手料理を披露するんだ、そう思うと緊張してくる。

早く買って下準備をしよう。

棚からいつも使っているお酢を手にし、残りの材料を取りに行った。

いつも1人で食べる晩御飯、相手は緊張する上司だが少し楽しみだ。

私は少し足早に歩みをすすめていた。


***


酒で釣られるのはどうかと思うぞ、藤本。

釣った俺も俺だが。

酒とその他もろもろ買い終わり、今は藤本の家へ向かう。

藤本の家の付近に結構店がそろっていたため思ったより早く買い物は終わった。

しかし、強引すぎたか?

いくら意識させたいからってこんな強引で良かっただろうかと少し後悔をしてしまう。

そんな事を考えているといつの間にか藤本が言ったマンションに着いた。

エレベーターはないらしく階段で三階まで上がり奥へ突き進みドアの前で止まる。

ポケットから携帯を出し藤本に連絡をする。

間を置いて待っているとドアノブが動いたのを確認して電話を切る。

ドアが開かれそこに立っていたのは紛れもなく藤本であった。


「お待たせしました。どうぞ、入ってください」

「あぁ、邪魔するぞ」


藤本に誘われて玄関に足を入れる。

ふわりと藤本の匂いが鼻孔をくすぐる。

女特有の、と言っても甘ったるいものでもなく嫌な匂いでもなかった。


「どうぞ、ソファでくつろいでください」

「悪いな。あ、これ約束の酒」


袋を渡すと目を輝かせて「ありがとうございます!」と満面の笑みでお礼を言った。

初めて見た顔はやはり子供っぽさがあるなと再確認させられる。


「あ、背広お預かりしますよ。ハンガーにかけときます」


俺は藤本に背広を渡し、ネクタイを外しながらソファに座った。

一息着こうと煙草を咥えるがそう言えばと手を止める。


「藤本は煙草吸ってなかったよな?灰皿とか、ないよな?」

「灰皿ですか?」


背広にハンガーをかけながら考えているとふと思い出したかのようにキッチンの奥の方へ向かった。

戻ってきた時には灰皿を手にしていた。


「…吸うのか?」


藤本が煙草を吸う姿が想像出来ず、聞く。

会社では吸わないだけで家では吸っているのかもしれない。


「いえ、吸いませんよ。………先日言ったすぐに別れた彼氏の為に用意した灰皿です」

「なるほど…」


男の為に用意した物を俺に使わすんじゃねぇよ。

イライラしたが別に付き合っているわけでもなしに、しかもこちらがわがまま言ってるんだ文句を言う筋合いはない。

そう落ち着かせながら煙草に火をつけた。


「どうしますか?夕飯にするのにはまだ早いですかね?」

「あー、でも俺まだ昼ご飯食べてないからなぁ。早めに食べたい」

「でしたら、作り置きの金平があるのでそれをつついてもらってもいいですか?その間に作りますので」

「だったら酒でも飲みながらにするかー。風呂借りてもいいか?」


ふー、と煙を吐きながら聞くと「へ?」とまぬけな声が漏れるのが聞こえた。


「もしかして、1人で酒飲む気だったのか?」


まるで図星だったかのように目を反らしながら「はい」と答えた。

悪いな、藤本。酒渡してご飯食べてではさようなら、とはさせねぇよ。


「俺、明日昼出勤なんだ。ゆっくり飲まさせてくれよ」


「な?」と聞くと「ううん…」と何やら考えていた。


「いいですけど…、何故お風呂に貸して、となるんですか?」

「あぁ、俺飲み会以外の時は風呂入ってからじゃないと酒飲みたくないんだよ」


これは本当だ。

酒飲みたくなったら先に風呂に入ってから飲む。

その方が眠たくなった時すぐに布団に入れるからだ。

そのまま風呂に入らず布団で寝るのは好きじゃあない。


「着替えとかはどうするんですか?私のは体格的に着れませんよ?」

「酒買う時にちゃんと買ってきたぞ。藤本の家はいいな。近くになんでもあるからすぐに揃ったぞ」

「………まぁ、ちゃんと調べてここにしましたからね」

「これで問題はない。な?」


藤本は観念したかのように「…いいですよ」と呟いた。

「悪いな」と意地の悪い笑みを見せるとふいっと顔を反らした。

その反応を見て思わず笑ってしまう。

……今まで面倒だからと人とあまり関わりを持たないようにしてきたが案外悪いもんでもねぇな。


「じゃぁ、少し待っててください。お風呂洗ってお湯溜めてきますんで」

「あ、いや、シャワーでいいぞ?」

「いいですよ。私も後で入りますし」


そう言うと藤本は風呂場へ向かった。

まさかそこまでしてくれるとは思わず少し驚いてしまった。

もう吸えない煙草をくしゃりと火を消し呼ばれるのを待つ。


「斎藤部長、10分くらいしたら溜まりますので」

「ん、悪い」


本当に悪い。なんだか俺は間違っているような気がする。

客人のくせにこんな我儘言ってもいいのだろうか。

ちらりと藤本を見ると俺が買ってきた酒を冷蔵庫に入れている最中だった。

ついでに買ってきたつまみを見つけると嬉しそうにしている。


「藤本」

「はい」


俺に目もくれず視線は冷蔵庫のままで返事をする。


「もし迷惑だったら断れよ」

「へ?」


冷蔵庫から視線を外しこちらを向けた表情はなんとも間抜けな顔をしていた。


「あー…。よくよく考えたら結構な我儘言ってる気がしてな。いくら上司でもこんなん無理だろ。嫌だったら素直に断れよ。怒らねぇし」


そう、俺はよく学生の時から「お前は遠慮がない」「我儘」「自己中だ」と言われていた。

それでよく友人や恋人を怒らせた事がある。

今では友人はほんの数人しかいない。

だから社会人になった時は気をつけるべく、人と関わりを持とうとしなかった。

まぁ、先ほど言ってたように面倒くさいというのもあるのだが。


「別にそんな事思ってませんよ…?確かに少し図々しいなとは思いますけど…」


そう言いながら今度はマグカップを取り出してコーヒーを淹れだした。


「でも久しぶりに誰かとこうして過ごすのは久しぶりだな、と思って少し楽しいって気持ちが強いですかね。大学生の時はよく友達が私の部屋に集まって騒いでってしていたので。それに藤井君から聞いたんですよ。斎藤部長、休日出勤が多いんですよね?」


コーヒーを淹れ終えると俺の前の机にコトリ、とマグカップを置く。


「だからここで疲れを落として行ってください。出来るだけおもてなししますので!いつも迷惑かけてるお詫びです…」


へにゃり、と笑った藤本の顔を見て何かがストンと収まった感じがした。

ザー、と風呂のお湯が溢れている音が耳に入ってきた。

それは藤本にも聞こえていたようで慌てて風呂場へ向かおうとした。

俺はそんな藤本の手首を捕まえ行くのを制した。

藤本は不思議そうにこちらを向く。


「そんな事、あんまり男に言わない方がいいぜ?つけあがって色々されるかもよ?」


そう言いながら手首に唇と落とす。

知ってるか?手首にキスをする意味が。

まあ、知らないよな。こんなの。

俺だけが知っていればいい。

先日、会議室で見せた時の様に顔を赤くして俺を見ている。

合わさる視線がお互い熱を帯びて色が付いていくのを感じる。

そう思っていると藤本は反対の手を上げたと思ったら俺の尻を叩いた。


「まったく!斎藤部長は!すぐそんな事を!他の女の子だったらセクハラで訴えられますよ!早くお風呂に入ってください!」


「もー!もー!もー!」と言いながら俺の背中を押して浴室へ押し込めた。

尻を叩くって…。お前はかーちゃんか!

予想とは違った結果になり俺は笑ってしまう。

はー、退屈しないな。なかなか面白い。

最初は仕事の向上にと思ってやり始めた事だが、こっちが本気になってしまいそうだ。

服を脱いで風呂場に入り一通り洗い、浴槽に入る。

いい湯加減で体の疲れが取れていくのを感じる。

耳を澄ますとトントントンとリズムの良い音が聞こえる。

きっと夕飯を作ってくれているんだろう。

あぁ、こういうのは久しぶりだ。

体が温まりもう良いだろうと浴槽から上がり体を拭く。

自分が用意した服を着て浴室から出ると髪を1つに纏め調理をしている藤本がいた。

俺の視線に気づいた様でこちらを見て二コリと笑った。


「湯加減いかがでしたか?」

「あぁ、少し温かった。」

「え、すす、すみません…」

「嘘だよ。良かった。ありがとう」

「もう、辞めてくださいよー。今金平とお酒用意しますね。どちらから飲まれますか?」

「山ねこから頂こうか」

「冷酒ですか?熱燗ですか?」


そう聞きながら金平を取り出して皿に盛り付ける藤本に「冷酒で」と頼むと「分かりました」と用意をする。

せわしなく動く藤本を横目にソファに座りベランダの方へ視線を移す。

空には赤とオレンジの色が広がっていてとても奇麗だった。

風は風呂上がりの俺にはとても心地よく少しでも気が抜けば寝てしまいそうだ。

外から聞こえてくるのは子供らが家へ帰る声、車やバイクの音。

中からは包丁の音がリズムを刻みこんでいる。

目を閉じて和んでいると、コトリと音がした。

開けてみると目の前には冷酒と金平が置かれていた。


「いただきます」

「どうぞ。もう少ししたら出来上がりますので」

「あぁ」


先に冷酒を飲む。

冷たいアルコールが喉を通って行くのが分かり鼻からアルコールの香りが抜ける。

やっぱり飲みやすい。

次に金平を口に入れるとごぼうと人参の心地よい触感と上品な味が口に広がった。

とても美味しく酒と実に合う。

普段から料理をしているというのは嘘ではないらしい。

酒と金平を交互に口に運ぶ。実に良い。

気づけば空は青暗く、夕日の色はほんの少ししか見えなくなっていた。

まるで夜が夕日を追いやっているように見えた。


「出来ましたけど、食べれますか?」


声がする方へ振り向くと藤本が出来たてのから揚げの南蛮漬けを持ってきていた。


「お酒が入るのでご飯はいいかなと思ったんですけど、どうします?一応炊いていますけど」

「これ飲み終わったら食べる。酒は一旦辞めるから米も頼む」

「分かりました」


そう言うと机に南蛮漬けを置くと次々と料理を運ぶ。

俺はあと少ししかない酒をぐっと煽りコップを台所に運び流しに置いた。

「手伝う」と言うと「じゃあこれ運んでください」と味噌汁が入ったお椀を渡された。

素直にそれを持って行き机に並べる。

並べ終わったら2人で向かい合わせになり手を合わせ「いただきます」と言い箸に手をかける。

から揚げを口に入れると鶏の肉汁と南蛮の味が合わさってなんとも言えない美味さだった。

そう思ったのは藤本も同じらしく、幸せそうな顔をしていた。


「美味しいな」

「美味しいですね」


そう言葉を交わすと、またお互い米や味噌汁の口に入れる。

目が合うと何気ない会話をしてまた食べる。


「いいな、こう言うの」


思っていたことをつい口に出してしまいはっとし藤本を見たら、藤本はこちらに視線を送らず味噌汁を啜りながら呟いた。


「そうですね」


ふふっと笑っているのを見て溜まらない気持ちになった。

家に帰ると藤本が料理を作ってくれ先ほどと同じ様な会話をしながら食事をしたい。

俺は仕事の事も忘れてただ純粋に藤本と居たいんだと思わされた。


「ご飯のおかわりありますよ?」

「いただこう」


***


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