見学と暴露
俺の身に何かあったからといって、日常が変化するわけでもない。
俺、高木修斗はいつものようと変わらない通学路を歩き、教室の自分の席へと着席した。
「ふむふむ。いやー、さすが高校生。なんかこー、ふわふわした気持ちがいっぱいですね!」
しかし一応は身に何かあったわけで、俺の周りではあっちにフラフラこっちにフラフラ、ギリギリ行ける廊下へ顔を覗かせにと、せわしなく動き回っている神様がいた。
つかず離れられずな関係だから、仕方なしに学校へと一緒に来たわけだ。とはいえ、神様の姿は誰にも見えないので、特に心配することもなく俺はいつも通りカバンから勉強道具を取り出しては机の中へと入れた。
「おはよ」
「ん。おはよう」
隣の席に座って挨拶をしてきたのは、小学校の頃から幼馴染みの綾小路景。
景は、住んでいる街にある旅館の娘ということもあってとても落ち着いていて、和に生きる女子だ。小さい頃から家の手伝いをしていたため、礼儀作法はもちろん、女将としての仕事も一通りは出来る。出来ないことといえば、経理関連と調理場の仕事ぐらいらしい。
「あらまー。修斗さんてば、こんな綺麗な人とお友達だったんですか? こりゃ将来化けますよ」
「お前に何がわかるんだよ」
「えっ、なんか言った?」
「あっ、いや、こっちの話、独り言独り言ー」
「ふーん」
景は特に気にした様子もなく、同じように机に勉強道具を入れていた。
危なかった。いや、ギリギリアウトだったけど。
この神様の言ってることすら聞こえないのを忘れていて、つい普通に返してしまった。次からは気を付けないと。そーゆー意味では景で良かった。
と、そこへ開いていたドアから、手を振りながら一人の男子がやってきた。
「修斗ー! 政経の教科書貸してくれー!」
「葵…また忘れたの?」
「いやー、わりぃわりぃ」
「ホントに悪いと思ってるんだか…」
彼は、桜葉葵。葵も景と同じ幼馴染みだ。
俺と景が周りに合わせちゃうタイプなのに対して、葵は常に引っ張ってくれていた。俺達三人の中でのリーダー的存在。
でもそれがちょっとアダとなっているのか、チャラい。
自分の顔が良いのをいいことに、いろんな女の子と付き合ったりしているらしい。高校に入ってからは、聞いただけで四股以上はかけているとかなんとか。
「葵ちゃん。忘れ物はダメよ」
「その呼び方やめろって言ってんだろ。普通に呼び捨てにしろ」
「無理よ。だって葵ちゃんは葵ちゃんだもん。昔からずっとその呼び方だったのに、今さら変えろっていうのは無理よ」
「あーわかった。ケイには勝てんから、その話題から離れよう。なっ。んじゃな。教科書サンキュー」
引きつった顔を景に向けながら、俺から受け取った教科書をヒラヒラと振りながら教室を出ていった。
「へー。あの子が葵ちゃんですか。女の子かと思ってました」
ふいに聞こえてきた言葉に、即答で返しそうになったが、それをギリギリで押しとどめて、窓の方を見ながら返した。
「葵のこと知ってるのか?」
「あの景さんが好きなのが葵ちゃんって人だったんですよ」
「はぁ!?」
「でも意外でした。まさかあんなチャラそうな人がタイプだったとは。人は見た目によらないですね!」
フムフムと顎に手を当てながら景の観察をしている神様。
さっき思わず叫んでしまったことによって、クラス全員の視線が俺に集まっている。
もちろん景のその中の一人なのだが、俺の視線は景へと向いていたため、景とまっすぐ見つめ合う形となった。
頭の上にハテナマークを浮かべる景に対して、俺は驚いた顔を向けることしかできなかった。
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KY神様
次回もお楽しみに!




