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寂しがりやの猫の夢  作者: 橋本涙
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第一話 夢の話

私は漫画家になりたかった。


幼い頃から親に絵がうまいとほめられて育ってきた私はそれなりに絵が好きで、それなりに絵がうまいという自信があったのだ。

なので中学を卒業して私は美術系の高校に進学した。なぜなら私にはそれなりに絵がうまいという自信と絵を描くのが凄く好きという感情があったからだ。


そこで私は現実をみた。

私より絵が下手な人なんて一人もいなかった。私より絵を描いてない人なんて一人もいなかった。

しだいに私は絵を描くのが嫌になっていった。そう、私は絵を描くのが好きなのではなく絵をほめられるのが好きなだけの子供だったんだ。私が絵を見せてもみんなは笑う。下手くそだと笑う。なんて惨めで、なんて稚拙で、なんて・・・。






私が高校をやめて早くも二年が過ぎた。

「お母さんーお茶ー。」

布団にもぐりながらパソコンをいじっている私は当たり前のように母親にお茶を持ってくるように頼んだ。

「はいはい。」

この母親はダメだな。子供を甘やかしすぎだ。と、甘やかされた子供の私が思ってしまうほどに、母親は私によくしてくれる。母親というのは子供のためになんでもしてあげるのが普通。もちろんそんなことは思ってないけれど、どうしても当たり前のように母親に頼みごとをしてしまう。反省。


本気をだせばいつでも就職なんてできる。なんて考えてる私は本日もニート生活を満喫中。

このままではダメだと思ってはいるものの体が言うこときいてくれない。私が悪いのではない。体が悪いのだ!・・・全面的に。


母親が当たり前のように持ってきてくれたお茶を片手に考え込む。

楽して一億稼ぐ方法は果たしてないものかな・・・?

ダメ人間にみえるかい?それは違う。ダメ人間を演じているのだ!それは実はありとあらゆる才能をもった私は闇の組織に・・・。

「最高の離婚始まったよー」

おっと見過ごすとこだった危ない危ない。

毎週楽しみにしてるドラマの前では私を狙う闇の組織の話など犬の糞ほどにどうでもいいのだ。


「かなこ、お前は将来何になりたいんだ?」

また始まった。父は毎晩、お前はRPGの村長かよ!ってほどに、このセリフしか言わない。気がする。

「んー・・・?」

こうゆう話は流すに限る。適当に答えても、真剣に分からないと答えても父の話は決まって長くなるから。そして明日も言うのだろう。お前は将来何になりたいんだ?

「まぁ俺はかなこが普通に暮らしてくれさえすれば・・・」

今日はすぐ終わるといいな。私は時計をチラチラ見ながら適当に相槌をうつ。こうして今日も退屈な一日が終わり、また退屈な明日が来るのだ。


私は夕食を食べ終えたら父から逃げるように部屋に戻り、再び布団のなかで丸くなっていた。

「将来・・・ねぇ・・・。」

とくにすることもなかったのでちょっとだけ真剣に考えてみようかな。あ、ダメだ。頭が痛い。また明日にしよう。そして今日はもう寝よう。私の意識はだんだんと薄くなっていき、気がついたら朝になっていた。・・・はずだった。





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