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孤高のアルケミス

「はぁ~」

窓の外に向かって、俺は盛大にため息をついた。

昨日、俺はハーフセカンド部……もとい、中2病の巣窟と言うべきあの部に強引に入部させられることになってしまった。

俺の隣の席にいるこの女。夏川夢乃……いや、狂乱のミサによって。

それだけでは無い、今日の朝も……

「今日は部活ーっていうか、これから毎日部活あるから、今日も部室……じゃない、アジトに集合ね☆」

なんて言ってきたのだ。

まったく、何が☆なのだ。

(絶対逃げ出しててやる……ッ)

それだけじゃない。昨日、俺がハーフセカンド部に入った事がなぜかクラス中に広まっているせいで、クラスのみんなから「こいつも中2病なんじゃね?」的な視線があちらこちらからするのだ。

早く誤解を解かなければ……


そして俺はやり遂げた。六時間目も過ぎ、終礼が終わったその瞬間。俺は教室から飛び出し、夏川に捕まることなく家に帰ることに成功した。


夕暮れのハーフセカンド部……そこには二人の少女がいた。

その内の一人、狂乱のミサこと夏川夢乃はもう一人の少女、孤高のアルケミスこと、一条キリに声を掛けた。

今は二人とも応接セットの椅子に座り聖霊会議のまっただ中だ。

「レイが逃げ出したんだけどさぁ~……どうしよう……」

今日の終礼の後、一緒に部活に行くはずだった彼はすぐに教室を出て行ってしまった。

「うぅ~ん,無理矢理入れたのが悪かったかなぁ~」

頭を抱えて悩んでいると、アルケミスが口を開いた。

「計算外でしたね、昨日の内に”高畑銀はハーフセカンド部に入るほどの中2病だ”と言う趣旨のメールをクラス中の生徒に送っておいたのですが……まぁいいでしょう。次は逃がしません」

メガネをクッイと上げ,アルケミスは不適に微笑んだ。

狙った獲物は逃がさない,それが狂気のマッドサイエンティストと呼ばれる孤高のアルケミス・一条キリなのだ。


次の日、今日も部活から逃げ出す事にした俺は終礼が終わるとすぐに計画を実行に移した。

昨日同様、挨拶が終わったと直後に猛スピードで逃げ出す。

が、今日は逃げられなかった。

教室のドアを開いた瞬間。そこには数人の生徒達が立ちふさがっていたのだ。

全員、腕に生徒会と書かれた腕章を着けている。

「残念……逃げられませんでしたね……神殺しのレイ」

メガネをかけた少女が生徒会役員達をどかせ、俺の前に現れた。

この少女も生徒会の腕章を着けている。

「私の名は孤高のアルケミス……さぁ、部活に行きましょうか……」

 メガネをかけた少女が不適に微笑む。

「部活……アルケミスって……まさかッ」

「そう、私は桜木高校生徒会書記にしてハーフセカンド部副部長、孤高のアルケミス・一条キリ」

そして俺は部室へと連行されていった。


俺は今、部室で正座させられている。

「昨日、あなたはなぜ部活を休んだのですか?」

「えぇと、体調が悪かったから……です?」

「語尾が問形じゃないですか!!」

俺のすぐ目の前に容赦なく乗馬ムチが振り降ろされた。

(何で部室に乗馬ムチがあるんだよッ!)

俺はなにも反抗出来ないまま怒られ続ける。

そんな今にも殺されそうな俺を見て、夏川はニコニコ笑っている。

 覚えていろよ……

「次に部活を休むような事があれば……その時は私の実験体になってもらいますからそのつもりで……」

はいはい。実験体、ね……設定お疲れ様です。

「あ、信じてない様ですから言っておきますけど……これは本当ですから、その証拠にほら……」

そう言って俺の目の前で一条はポケットからケースに入ったメスを取り出した。

「マジで?」

「マジですよ……ふふふ、これであなたの体をグチャグチャになるまで実験しましょう」

メスをくるくると回しながら一条が言う。

(イィィィヤァァァァー)

俺は心の中で叫んだ。


放課後。夕焼け色に染まる空の下、俺は夏川と二人で歩いていた。

「あぁぁぁ。殺されるかと思ったぁぁぁ」

あの後も一条に、ムチで叩かれるわ、蹴られるわ、散々痛めつけられ正直死にそうだった。

「てか何なんですかあの人は、もはや化け物じゃないですか!!」

「しょうが無いよ。それでこそ孤高のアルケミスなんだから」

はいはい。中2病、中2病。

「でも本当にアルケミスはすごいよ。生徒会書記とか言ってるけど実際に実権を握っているのは一……じゃないアルケミスだもの」

マジかよ。もう反抗なんて出来ねぇじゃねぇか……

「頭も良いし。すっごい完璧少女だよ!!」

中2病だけどな……

「ま、それも表の顔だけどね。狂気のマッドサイエンティスト、孤高のアルケミス。それこそが彼女の本当の姿なの」

あ、そうですか……設定お疲れ様です。

「って言うか、さ……」

夏川が俺を上目使いで見てくる。

「なんかさ、こうして二人で歩いているとなんだか私たち付き合ってるみたいだね……」

「あぁ、そうだな」

自然にそんな言葉がでた。

「えっ!?」

夏川は顔を真っ赤にして下を向いた。

俺も自分自身で言った言葉の過ちに気付いて下を向いた。

二人してそのまましばし黙りこんだ。

二人のほほが赤く染まっているのは夕日のせいか……それとも……


こんにちは、細鐘レンです!


今回は一条キリという新キャラクターが登場しています。


これから ドンドンキャラが出ていきます!

ま、みんな中2病なのですが(笑)


それでは、四話でお会いしましょう!

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