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 一匹は神々しい白銀の鱗輝く大きな老齢のドラゴン。

そしてもう一匹は銀地に大きなブチ模様が可愛らしい少し小ぶりの娘ドラゴン……

「ユリ!」

 ケンタウロスの腕から飛び降りたスライムはずるりともとの形に戻りながら駆け寄る。

「おい、じじい、なんで連れてきたっ!」

 老ドラゴンはその怒りをあっさりとかわした。

「だって、どうしてもついてくるって聞かないんじゃもん」

「そんな……ここは危ないんだぞ! 解ってんのかっ?」

 怒りでプルプルと体を震わせる優しい彼を、三毛ドラゴンは掬うように抱き上げる。

「心配」

「ああ? 悪かったな、どうせ俺は頼りねぇよっ!」

「頼り、ある。でも、心配」

「またおかしな言葉遣いしやがって……」

「スラスラ、ユリ、大事、する。ユリ、スラスラ、大事、する」

 大きな頬が柔らかな体に擦り付けられる。

「んなっ! それって……」

 聞きようによっては告白にもとれる言葉。スライムの外皮が真っ赤に染まる。

 その様子を見ていたケウィが、ぱむぱむと空拍手を送った。

「やっぱりね」

「何がやっぱりなんだよっ!」

「ユリ=レヲ=ソスターセ、そしてイカケ=ハ=ツンニークⅢ、君達二人を僕が作る『未来』に連れて行こうと思う」

「そんな強気に出られる立場だと思っているのか。ウチの狙撃手は間違いなくお前の眉間を狙っているんだぜ?」

「君こそ忘れているんじゃないのかい。僕は既に石版を二つ、手に入れているんだよ? その気になればここで世界を焼き尽くす炎の技を発動してもいいんだ」

「そうしたら、お前も焼け死んじまうんじゃねぇのか?」

「かまわないさ。僕が生き残れない世界になど興味はない。」

「ぐうううう、壊れてやがる!」

 スライムを押しのけて老ドラゴンが進み出た。

「ケウィ、じゃったな。お前がユリに執着しているのはひょっとしてわしがお前の父親に与えた仕打ちを恨んでのことなのか?」

「父親? ああ、あの男か」

 吐き捨てるような声音の中にどす黒い感情を感じて、スライムはユリにしがみつく。

「爺さん、あんたこいつのオヤジに何をしたんだよ!」

「処刑した、国家反逆罪で」

 苦々しいその口調にスライムの眉根液が顰められた。

「わしは今でも後悔しておる。あの男のことはもっと詮議の余地があったはずなんじゃ……」


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