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第二話 「右翼手 武神 信史」 

「ここが俺の通う学園か。」

 大きな校舎、なんだか異常なまでににぎわっているような気がする校内、入ってきていきなり目に入った『学園生活 is Freedom!!』という意味のわからない文字が刻まれた石、なんだか入る学園を間違えたかのような気分のする雰囲気を漂わす学園だった。

「えっと、俺は1‐4か。」

 ちょっと変わった感じの雰囲気とは裏腹に、普通に入学式等は終わった。

あくまでここ、蒼月学園にしては、だが。

「校長が「たまには授業もサボりましょう」って言ってたけど、マジなのか?」

 そんなことを呟きながら、和歌神はグランドを歩き回っていった。

もう授業は全て終わったので、野球部を探しているのだ。

しかし……

「どこにあんだよ?」

 どれだけ探しても野球部が見当たらなかった。

今日は練習が無いのだろうか、などと考えながら歩き回っていたのだが、これでは埒があかないと思い、和歌神は担任の先生に野球部はどこにあるのかを尋ねた。

すると、返事は予想外言葉だった。

「この学園に野球部は無いよ。」

「…………へ?」

 夏真は絶句した。

そして、和歌神はすぐにカバンの中のパンフレットを確認した。

「確かに野球部って、書いてあるよな?」

「ああ、それ?多分係りの人が間違えたんだと思うよ。でも野球部は4年前に廃部になってることだけは確かだよ。」

 それを聞いて、和歌神は数十秒固まった。

しかし、次の瞬間には夏真は全速力で職員室に向かっていた。

「校長先生!!」

 入るときに「失礼します」も言わずにものすごい勢いで戸をあけて、校長の下へ走った。

そして校長の机を叩き、大声で叫んだ。

「「なんで野球部を廃部にしたんですか!?」」

 その声は、誰かとハモっていた。

え?と思い、和歌神は横を見てみると、1人の青年が自分と同じく校長めがけて叫んでいたのだ。

(気付かなかった……そんなに熱くなってたんだな、俺。)

 和歌神は、そんなことを考えていた。

「だから、前にも言ったように、ろくに部活動もせず、結果も出せない部だったから、廃部もやむなしの状況だったんだ。そう何度も4年も前のことをそんな強く聞かないでくれよ。」

 一見校長には見えない若そうな先生がその青年にわけを話す。

話の内容を聞く限り、彼はこの内容を何度も校長に聞いていたようだ。

「君も、そういうことだ。わかったかい?」

「え、あ、はい。」

 隣の青年の存在に驚いていたので、返事もそんなあいまいな感じの返事しかできなかった。

「まあ、武神君。また野球部を作りたかったら顧問の先生と最低5人の部員を集めてね。それができたら野球部をまた作ることもできるから。」

「はい……」

 そう言われて、その青年は職員室から出た。

和歌神を引っ張りながら。

「って、な、なんですか!?」

「いいからついてきてくれ。」

 そのまま青年に引っ張られ、3−5組へと引っ張られていった。






















「君も、野球をやりたいんだろう?」

「え、あ、はい。そッスけど……」

 3年の教室に連れて行かれたということで、おそらく先輩であると認識して敬語で喋る。

「僕の名前は武神たけがみ 信史しんじ。君と同じく野球をしたいんだけど、この学校には野球部が無くてね……」

 困った、という風にため息をつき、グランドを見る。

「顧問の先生、部員5人を集めようとは思ったんだけど、意外と野球やりたいって人がいなくてね。ちゃんとこの学校について調べれば野球部が無いことはすぐわかるらしいんだ。」

 とどのつまり、野球をやりたいなんて奴はめったにこの学校には来ないということだ。

例外は、ここにいるまともに学校について調べない夏真と武神くらいらしい。

「でも、とにかく2人に増えてよかったよ。希望は見えてきた!!一緒に頑張ろう!!」

「……はあ。」

 こうして、和歌神は、後にこの学校のキャプテンとなる武神たけがみ 信史しんじにであった。


続く

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