第三話『ファリス城にて』
とにかくその男のこについて行ったあたし。
歩いてる途中に聞いたんだけども名前はリアンっていうんだって。
いい加減疲れてきて足が重くなってきた頃。
「ここだ、さ、中に入って。」
リアンが言った。
一瞬、はぁ?コレがリアンの家?冗談でしょ、って思ってしまった。
だってだって!すっごく大きなお城だったんだよ!?しかもその城、見覚えがあると思ったらちょっと年季の入ったファリス城じゃない!
ファリス城っていうのはあたしの住んでる町の近くのお城。とっても大きくってまだモンスターがいなかった頃、何回か親に連れて行ってもらった覚えがある。まだあたしの時代では綺麗で立派な建物だったのに・・。
・・と、冷静になる。
あ、あれ?ってことはリアンって王子様?
感心したようにほぉー、っとため息をつく。すると、
「どうした?」
リアンが顔を覗きこむ。
「いや、なんでもないよ。大丈夫!」
そういうと、リアンは再度歩き出した。
城門をくぐり抜け、扉を開く。すると驚いた。
何十人という兵士達が出迎えていたのだから。
「リアン王子、おかえりなさい!!」
「おかえりなさい!!」
凄まじい音量の声。うゎ〜!すっごーぃ!!
そんなあたしの事など気にせずリアンはメイドさんに
「ミミ、彼女を部屋に通してやってくれ。」
「はい、かしこまりました。」
可愛らしい声で答える。
するとミミと呼ばれた彼女は、微笑んで
「こちらへどうぞ。」
と言った。
ぺこりと頭を下げ案内される方へと行く。
どこにいくんだろぉ?って思った途端、彼女は立ち止まり、
「こちらがあなた様のお部屋となります。」
と言ったのだ。
絶句状態のあたしは立ち尽くした。
するとリアンがやって来た。
「こ・・・これなに?」
と聞くと、リアンは答えた。
「ここが今日からお前の部屋だ。」
「えぇーーーーー!?」
思わず叫ぶ。
け、けど、困るよぉ。あたしは家に帰りたいのにここでずっと暮らすだなんて。
すかさず反論する。
「だめよっ!あたしには帰るべき場所があるもの!!ここでのんきに暮らしてなんかいられないの!お願い!あたし家に帰りたいの!」
「お前、家ないと思ってたんだけどあるんだな。どこなんだ?」
あくまでも冷静にしゃべるリアン。
ここでラヴェスなんて言っていいのだろうか。
けど、このときあたしの頭は真っ白で正気じゃなかったと思う。けど、この選択は間違っていないと確信した。
な〜んか平和な主人公だなぁ、って思います。
ルシアの容姿は実はもうイラスト考えちゃってます。考えててもどうしようもないけど・・