俺と千夏と病室にて
テスト期間中だが投稿してても大丈夫か?
大丈夫じゃない、大問題だ。
でも掲載しちゃう俺。
side:死神
「しぃ兄」と言う呼び名が(俺の譲歩によって)決定した後は、
千夏の小悪魔度(俺が勝手に定めた)もそこまで上昇せず他愛のない話に流れた。
「しぃ兄はどんな食べ物が好きなの?」
「俺は魚系が好きだが」
人間だった頃だがな。
「え~、お魚って生臭くない?」
いきなり否定するか。
「きちんと処理すれば臭くないぞ」
「……ここのご飯のお魚はかなりまずいよ」
「……それは俺に言われても困るんだが」
俺にどうしろというんだ?
食事係の人たちに抗議でもすればいいのかよ。
「千夏は果物が好きだよ」
「そうかい」
「そんなことは置いといて、嫌いな食べ物は?」
「話を思いっきりずらすなよ」
「嫌いな食べ物は?」
都合の悪い言葉は聞こえない耳を持ってるんだな。
まぁ、いいけどよ。
「茄子とか梅干しとかみたいの歯ごたえがクニャってなるやつ」
「意外と不特定なんだね」
「そう言うお前はどうなんだよ?」
「千夏はお魚と野菜かな」
「俺より明らかに多いだろ」
「あ、でも野菜でも食べられるやつもあるよ」
「それでもだよ」
「アー、アー聞こえない、聞こえないよ」
怒るべきか?
注意して聞く様なやつじゃないしな、言うだけ無駄か。
※
「お誕生日はいつなの?」
何の脈絡もない話題が出て来たな。
答えるけどまずは―――
「なぜそれを聞きたいんだ?」
―――理由が聞きたい。
「え?なぜって、千夏のお誕生日が今日を入れて五日後だからだけど」
それを迎えることなく一生を終えるがな。
表情に出さない様にして言った。
「十月の四日だ」
千夏が眉をしかめた。
なんだ。
すごく嫌な予感がする……
「ホンッッットにしぃ兄ってタイミング悪いね!!」
なぜか千夏に怒られている俺。
「なんでお前が怒るんだよ」
俺達はもともと日付感覚が疎い。
俺はその日狩る対象を一日中追跡していて、本部に帰ったのは深夜を回っていた。
さらに言えばその日はココロとは別行動だった。
これが千夏にはさらに重要な点だったらしい。
「しぃ兄、お誕生日は一年に一回しか来ないんだよ!!」
「いや……そんなもん分かってるぞ……」
「分かってるのならお祝いしてもらおうよ。
千夏はね、お誕生日がすごく楽しみなんだよ、意味が分かる?」
「一年生きられたって事とまた一年頑張って生きようと思えるからか?」
率直に言ってやった。
大方理由なんてこんなもんだろう。
「50点だよ」
驚愕。俺にとっては100点の答えを否定されてしまった。
今は人では無いとはいえ元人間の俺の考えを一刀両断されるとはな。
しかし、50点か、自信満々だったのにな……感覚の違いなのか?
俺と千夏には見た目としては6歳、
精神的には10歳以上の差があるのに、残りの50点が分からない。
釈然としないがここは本人に答え聞くか。
「なあ千夏、残りの50点って何だ?」
「ひ・み・つ♪」
見ていて気持ちいいほどの満面の笑みだ。
だが、俺にとって怒りしか生まなかった。
……このガキ殴ってやろうか?
……いや、抑えろ俺、冷静沈着を目指しているんだろ。
それに今殴ったらさっきまでしてきた事が全部台無しだ。
「なんで秘密なんだよ?」
「ふふーん、女の子は一つぐらい秘密があった方が魅力的だからだよ。」
そんな理由かよ……
もうちょっとまともな理由があるのかと思ったのに。
「そんなじゃないよ、千夏にはすっっっごく重要なの!!!」
声に出していたらしいな。
つーか千夏。
病人がベッドの上で身振り手振りを入れたオーバーアクションをつけて叫ぶな。
そう思ったが声には出さないでおく。
火に油を注ぐだけだからな。
「そうゆうわけで、しぃ兄には教えられませ~ん、残念でした。」
うっすら殺意がわく。
この場で狩ってやろうか。
が、我慢だ、我慢。
「この小悪魔が」
この程度に抑えた俺をほめて欲しい。
「知ってる?しぃ兄。
今の時代は少しくらい小悪魔の方がモテるんだよ?」
千夏はさも自信ありげに答えた。
皮肉だという事に気づいてないみたいだな。
しかし、自分が小悪魔系だという事に自覚があったんだな。
「知るか」
そっけなく返した俺。
だが、内心は自分の知り合いの女子の情報を高速で検索していた。
……千夏よ、俺の知ってる女子で小悪魔はお前だけだよ。
多分……。
side:死神 Fin
ホントはもっと長くなる予定だったんですが、
詰まりすぎたので切りました。
※10/2 前編と後編を結合して一話にしました