女の子は小悪魔になる時がある
ゴールデン・ウィークなので時間が在り余ったので書きました。
side:死神
「あなた誰?」
まっすぐに揺るぎ無く俺を見つめて言う「篝火千夏」に何て答えておこうか、まぁやはり。
「君に死を与えに来た者ってところか。」
湾曲表現かもしれないが、あながち間違いじゃないだろう。
俺は千夏のベッドに近づきながら言った。
「じゃあ、千夏はもうすぐ死んじゃうの?」
臆することなく聞いてきた。
「ああ、君はもうすぐ短い生涯を終える」
少しはぐらかしたが真実を突き付けた。
正確に言えば死ぬのは明日だがな。
「よかった。」
「……はぁ?」
何を言ってるんだろう?
この子は。
「だって、もう痛い思いをしなくていいんでしょ?」
「まあ、そうなるな。」
「それに……」
表情を曇らせ言った。
「もうお父さんと母さんに迷惑を掛けなくていいし……」
本音はこっちか…
自分の事よりも両親の事を考え気に掛けるとはな、
今時の十一歳ってのは考え方が大人だ。
だが、以前の俺を見ているようで少しいらつく。
いわゆる同族嫌悪って奴なのか?
多分違うと思うが。
「それでお兄ちゃん」
「何だ?」
さっきの表情が嘘の様な顔で―――
「お名前は何ていうの?」
―――唐突にもほどがある質問をされた。
「ええっと、千夏って呼んでもいいか?」
「うん、別にいいよ。
むしろ千夏ちゃんって呼んでくれると嬉しいけど?」
「いや……後者は遠慮しとく。」
割とマジで遠慮した。
少し千夏がふくれてるような気がするが無視だな。
気を取り直していこう。
「ん、じゃあ千夏、お前は自分を殺しに来る死神の名前を聞いて意味があるのかよ?」
「意味?そんなの無いよ、ただ知りたいだけ。」
もっともらしい答えが返ってきたな、『ただ知りたいだけ』か……一番性質が悪いな。
あいつから『名前は極力喋るな』って言われてるし。
「悪いな、名前は教えられない。」
「え~、けち~。」
口を尖らせて抗議する千夏、せっかくの可愛い顔が台無しだな。
「けちで悪かったな。」
悪びれず言ってやった。
「ん~、じゃあさ、死神のお兄ちゃんだから『しぃ兄』って呼んでいいよね?」
「なんでそうなるんだ?」
なんかすごい事言われたぞ!
「だって、名前は言えないんでしょ?
つまり好きなように呼べって意味があるよね。
間違ってるの?」
……小悪魔がいる、此処に小悪魔がいるぞ!
どうすんの、俺!
思案時間約0,5秒の結果。
諦めるか……。
「勝手にしてくれ……」
瞬間、千夏の表情はにんまりとした笑顔に変わった。
side:死神 Fin
千夏のキャラがなんか変わりましたが気にしない。
久々投稿の時光火流那です。
今日は中学時代の親友に会ってその場のノリで書いたらこんなのになりました。
ノリって大切ですねぇ。