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エピローグ

Side:千夏


今日は十月十四日、千夏の誕生日で手術の日。


しぃ兄は千夏は手術じゃ死なないって言ってたけどやっぱり不安。

けど、それよりもしぃ兄は手術の日にも来るって言ってたのにまだ来てくれてない!


手術まであと四時間、

手術室に行ったり準備とかにも時間が要るから、

実質あと三時間ぐらいしかない……。


俺は嘘はつかないって言ってたのになぁ。


「しぃ兄……会いたいよぉ」


何気なく呟く、そしたら。


「呼んだか?」


「しぃ兄!?」


ベッドの近くにしぃ兄が現れた、

一体いつから居たんだろう……。


「久しぶりだな、千夏」


「うん!」


「仕事を抜け出してきたからそこまで長くは居られないからな」


「別にいいよ、千夏はしぃ兄に会えただけで嬉しいから」


本心からそう言った。


「手術まであと何時間ぐらいだ」


「え~と、後四時間だけど移動とかいろいろあるから実質三時間ぐらいかな」


「三時間か……充分(じゅうぶん)だな」


「え?何――」


千夏が言葉を言うより早くしぃ兄の人差し指が千夏の額にあたる


廻れ(ウィード)


しぃ兄が何かを呟いたと思ったら、

千夏の見ている世界が変わった。


千夏は今とっても綺麗なお花畑の中に居る。


(俺からの誕生日祝いだ)


頭の中に直接しぃ兄の声が聞こえる。


(俺が今まで見てきた世界の一部を三時間で見せられる分だけ見せてやる、感謝しろよ?)


しぃ兄の声が頭の中で聞こえた、すると千夏の周りの世界が変わる、変わる、変わる。

お花畑が天まで届くような高いお山に、お山が真っ白のお城に、お城が――――





千夏は現実に戻ってきた。

時計を見ると三時間たってる、ホントにあっという間だった。


「どうだった?」


「世界って……こんなに綺麗なんだね」


自然と感想が言えた。変に飾るわけじゃなくて何も考えず本当にそう思えた。


「そりゃよかった、見せたかいがあるってもんだ」


「ありがとうしぃ兄、最高のプレゼントだよ」


微笑みながら言う、

しぃ兄も微笑み言った


「俺はそろそろ戻る。

 誤魔化しが効く内に戻らないといけないんでな、

 手術頑張れよ」


ベッドから離れていくしぃ兄。

あ、まだ言わなきゃいけない事があるんだ。


「しぃ兄!」


「ん?」


振りかえるしぃ兄、今だ!


「大好き!!!」


今までで本当に最高の笑顔と一緒に気持ちを伝えた。


「まったくコイツは決心が鈍っちまうじゃねぇか……手ぇ出せ千夏」


立ち止まって最初は聞き取れないくらい小さい声でしぃ兄が言う。

千夏は何のためらいもなく即座に手を出した。


「少しは躊躇(ためら)えよな……」


と言って千夏の手をにぎった。


「え!?」


それは一瞬だった、でも千夏の手の中にはしぃ兄のぬくもりが残ってる。


「ついでだ、それも貰っとけ」


手の中にあったのはまるでルビーみたいに真っ赤な石。


「何これ?宝石?」


「そんな大層なもんじゃないさ、守り石だ」


「お守りみたいな物?」


「ん~、まぁそんなもんだ」


少し悩んで答えるしぃ兄。


「大事にするね、絶対に失くさないよ」


「そうしてくれ、ペンダントにでもしてずっと持ち歩いてろ、俺の代わりにお前を守ってくれる」


一拍置いてしぃ兄は続ける。


「また会おうぜ千夏、今度会ったら本当に最後だ」


しぃ兄はそういって消えた。


「しぃ兄……ありがとう」


side:千夏 Fin



side:死神


俺は千夏の病室から出て病院の屋上に来た。


背中に視線を感じながら。


「仕事サボるのも大概にするですよ、しぃ兄?」


ココロが不意に声を漏らす。


「……ココロ、それはイヤミか?」


「当然です、昨日のお説教だけじゃ足りなかったですか?」


「いや……説教はもう充分だ……」


マジで勘弁してください!!

あんな思いを二日連続でするなんて断じてごめんだ。

今度は助けてもらえないだろうしな……。


「それにしてもえらくあの()御執心(ごしゅうしん)ですね、

 本当に下心無いんですか?」


「ふん、そんなもんねぇよ。

 あいつに似てたんでな」


「あいつ?誰ですか?」


「秘密だ、知りたきゃ俺から聞き出してみな」


はぐらかした、あの二人の世界の事は俺だけが記憶する。

誰かに言うつもりは今の所無い。

もっとも、そのうちの一人にはそのうち会えるだろうがな、

なんたって俺の中に居るんだから。


「さぁて、仕事に戻るか」


「やっとやる気を出したんですか?」


ココロが呆れ気味にやれやれと行為(ジェスチャー)まで付けて言う。


「次狩るのって誰だっけ」


「私に聞くですか……。

 いいですけど、此処から―――」


最後まで聞かずに俺は翼を出しはためかせ飛んだ。


どうせこの街の誰かだろうからな。


「な!聞いといて先に行くなです!

 待つですよ!」


ココロも急いで飛び上がり抗議の声を上げる。


そう、これが俺にとっての死神の日常だ。


To Be Continued...

本編終了!!


死「長かったな、主に最初の方が」


そうだなぁ、先輩の無茶ぶりが無かったらこの短期間で終わんなかったぞ。

プロト前話の時点で終わってたんだが、

気に気にいらなかったんで急遽伸ばしたんだがなかなかの出来だろ?


「そうだな、俺的には結構綺麗な終わり方してると思うぞ」


そうだろそうだろ。


「ん?まて、本編終了ってことはまだ続くのか?」


ああ、閑話と登場人物紹介的なものが一つずつ入る予定だ。


「またギャグじゃねぇだろうな?」


安心しろ次のは真面目のはずだ。


「すっげぇ不安だ」


まぁ、期待しとけ。

次回、閑話~ある会議室の会話~

お楽しみに

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