協力者
二話投稿!
side:死神
「君が千夏を助けてくれたという話は聞いたぞ。千夏に言わせると『協力してくれた』そうだが」
和やかな親子愛を眺めていた俺に声をかける篝火父。
「なぜあんな子どもに協力したくれたんだい?」
普通の親なら気になるよな。子供とはいえ女の子、こっちに下心があるのか聞くだろうし、なにか手を出したんじゃないかと疑うのも当たり前だ。
「いえ、あの空き地を通りかかりましたら声がしたので中に入ったんです。
一悶着あった後少し話をしましたら意気投合したので協力した。
それだけですよ」
千夏と決めた設定で口裏をあわせる。本当のことは言えない。
俺の正体についてはどう考えても信じてもらえるとは思えないし、変質者に殺されかけたというだけでも、両親には衝撃が大きすぎるだろう。
そのあたりはぼかして、それらしい話を作る。
※
千夏は病院を抜け出して、自力で空地まで自力で行ったが、そこで中年のおっさんに絡まれてしまった。
困り果てていたところに偶然俺が通りかかり、おっさんを追い払い事情を聴いた。
それで、俺は暇だったから千夏と世間話などをしながら時間をつぶし、
一緒に夕焼け空を見ていたらいつの間にか千夏が寝ていたので、
しばらく寝かせておき、目を覚ましたのがつい20分ほど前。
それから急いでここまで来た。
俺はずっと一緒に居たので毒を食うなら皿までの勢いでここまで来た、と言う事にしてある。
※
「ふむ、それならよかった」
「よかった、とは?」
「いや、君がもしも千夏に手を出していたら、
警察に通報する事も考えていたものでね」
「は、ハハハ……」
乾いた笑いしか出ねぇ。
むしろ手を出されました!とは言わないでおこう……。
「おっと、自己紹介が遅れたね、千夏の父の焔だ。
そして、あそこで千夏と話をしているのが妻の夏帆だ。
君の名前もうかがえないかな?」
さてどうするか……、
藤波成司は名乗りたくないし……、
癪だがしょうが無い。
「千夏にはしぃ兄と呼ばれていますから『シイ』と呼んでください」
「そうかね、ではシイ君。
改めて礼を言おう、千夏を助けてくれてありがとう」
篝火父―――焔さんは頭を下げた。
「わたしは恩は決して忘れない、今後何か困った事があれば遠慮なく頼ってくれ、
わたしに出来る事ならば力になろう」
「あの……失礼ですが、何をなさっておいでで?」
「わたしはこの街の開発担当者で、市長となる者だが?」
……すげぇお偉いさんじゃないか。
コネとパイプがいっぺんに手に入ったな。
「はい、では何かあれば御厚意に甘えさせていただきます」
「うむ、そうしてくれ。」
そう言って手を差し出す焔さん。
俺は無言で手を出し力強く握手をした。
side:死神 Fin
死「変なところで切るな」
何となくな此処で切りたくなった。
「気まぐれかよ…」
最近このスペースが、
落ち無し・意味無し・山無しに思えてきたんだ…
「いまごろだな。
次回、居るべき場所に
お楽しみに」