それでも親は娘を思いやる
間が空いた事を謝罪します。
side:死神
千夏を助けキスされてから10分ぐらいが経った、
歩いてる途中で千夏が足が痛いだの言ったので、今はおんぶしている。
「しぃ兄~まだ~?」
おんぶしてもらってるのにその言いぐさかよ……。
「あと少しだ」
「それ前にも聞いたよ~」
じゃあ聞くなよ。
そう思いながら俺は足を止めずに前へと進む。
少しって言うか、もう目の前なんだよな……。
「あ、前見ろ。
病院の前に着いたぞ」
「あ、ホントだ」
さすがに疲れたな、肉体的ではなく精神的に。
鼻腔をくすぐる千夏の匂い以上に、
林の中で擦れて出来た傷から漂ってくる、甘い血の香り。
正直何度か意識が飛びそうになった。
「千夏、そろそろ降りろ、腕が痛い」
あくまで口実だ、牙が伸びかかってる、
これ以上は俺の自制心が持ちそうにない。
千夏が降りられるように腰を低くする。
「ん~、分かった」
名残惜しそうに降りる千夏。
たった十分が長く感じられた、
この吸血欲をどうにかして発散しねぇとなぁ。
「さて、どうやって病院に入るかって千夏?」
隣にいたはずの千夏が居ない。
どこ行った!
っと思ったら病院の方に走っている。
入院中の病人が走んなよ、
まぁ、脱走するだけの元気があれば走れるか……。
というか、走る元気があるなら歩け!!
「千夏ちゃん!何所行ってたの!」
あ、看護師さんに説教食らってる。
「~~~で~~~の~~」
どうやら事情説明中の様だな。
「~~さんが~~~まで~~~」
あ、戻ってきた。
「勝手に行くなよ」
「寂しかったの?」
してやったり的な顔で返してくる千夏。
「心配したんだよ」
頭をぐりぐりしながら言う。
「ちょ、しぃ兄痛いよ」
抗議の声を上げる千夏。
「痛くしてんだ」
「むー、いじわる~」
※
千夏の話によると看護師さんに話を通し、両親を呼び出してもらっている様で俺達は外で待つことになった。
病人を外で待たせるなよ。
あの看護師さん、千夏が重病人ってわかんなかったのか?
「しぃ兄~寒い」
今それを言うか、さっきまでは平気そうにしていたのに、
まぁ確かに此の寒さは病人服一枚しか服を着ていない千夏には厳しいな。
「これでも羽織ってろ」
着ていたフードを千夏に被せる。
俺は中に長袖を着ているしこれくらいの寒さ俺には何ともない。
当然だが大剣や皮帯の拳銃嚢に刺してある物は見えない様に呪文をかけてある。
変に怪しまれるのは御免だ。
「暖かい……、ありがとう」
やはり俺の服はでかいのかフードの裾は地面に着いてしまっている。
千夏の気分がかなり低い、そんなに会うのが嫌かよ……。
それにしても何やら俺の見える範囲で看護師さん達がヒソヒソと内緒話をしている、俺の設定は千夏が言うには「風来坊」らしいしな……、怪しいよな、うん。
等と考えていたら。
「「千夏(ちゃん)!」」
病院の中から見た目30代後半ぐらいの所謂ダンディーな男性と同じく30代前半ぐらいのやり手のキャリアウーマン風な女性が走ってきた。
名前を呼んでいたし、千夏の両親だな。
「千夏!今までどこに行っていた!」
千夏の父親が、ええい面倒くさい、篝火父が言った。
俺をガン無視で、まぁいいけど。
「あそこに見える空き地に行ってました」
明らかに小さい声で言う千夏。
「何をしに行っていたの?」
今度は篝火母が聞く。
「手術の前に病院の中からじゃなくて外で夕焼け空が見たかったから」
「お前の事を……どれだけの人が心配したのか分かっているのか!」
俺は何も言わず見ている。何か言った所でこればっかりは家族の問題だ。
俺が口出しすべきじゃない。
「……ごめんなさい」
「本当に……どれだけ心配したか……」
篝火母が千夏を抱きしめる、頬を涙がつたい落ちる。
「ごめんなさい。
ごめんなさい、お母さん。」
千夏は涙を流し泣いていた。
side:死神 Fin
死「いい話だな」
いやまったく。
「毎回こんな話かけよ」
不可だな、俺はこんな話しも好きだがギャグやシリアスの方が好きだ、
あとバトルも書きたい。
「欲張り過ぎだ」
欲望は生きるためのエナジィイイイ!
「知るか。
次回、協力者」