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藤波成司

side:死神


藤波成司、それは俺が人間だったころの名前だ、

それを知っているのは友人と級友ぐらいのはずだ。


「水屋……寿……

 あぁ思い出した、あの水屋か」


「そ、そうだ。

 隣のクラスだった水屋だ」


そういえば居たな、そんな奴。


「どうして俺だと分かった」


「……お前の独特の雰囲気だ」


独特、ねぇ。

結構地味だったはずだがな


「だが、お前は15年前トラックの事故で死んだはずだ!」


そうか、もう15年も前か……

俺が死んだのが16歳だったから、

つまりこいつは今は31歳か。

おっさんだな。


しかし、俺が死んだのは事実だがまさかトラック事故で死んだ事になってるとはな…

隠蔽(いんぺい)工作雑だなアイツ。


「くくく、確かに俺は死んだな「じゃあなんで俺の前に居る!」


人が話してる途中で割り込んでくんじゃねぇよ。


「ふん、藤波成司としては死んだ、ただそれだけだ。

 今はしがない死神、過去なんて捨てたも同然だ」


面食らった顔をしているな、まぁ、当然か。


例え元知人(友人でもなきゃ親しくもなかった)だろうと容赦はしない。

俺の前に居るのは唯の獲物であり、俺の未来のための(いしずえ)で、

唯の意志のある肉塊にすぎない。


「さてと、お前は俺の話す事があるようだが、俺は手前と話す事は何もねぇんだよ、

 さっさと狩らせろ」


無機質で冷たい声で言った。

ここまで冷たい声を人は出せるもんなんだな。


「な!? 

 ま、待て、級友だろ? 

 こ、ここは慈悲を、慈悲をくれよ、な?」


「嫌だね、ちょうどイライラし始めてんだ。」


這って後ろへ逃走しようとする水屋。

俺は剣の腹で水屋を殴打した、もちろん死なない程度にだ。


「ごあ!」


再び吹き飛び木へと激突した。


「た、助けてくれ、頼むよ。

 なぁ、お願いだ。

 なんでもする、だからあああああああ」


涙をため懇願する水屋。

ここまで醜いものなのか、生に執着する人間てのは!


「手前はその口で、その体で千夏に何をしようとした!」


剣が水屋の体を切り裂いたように見えた、

死神の鎌が断ち切るのは普通は肉体と魂を繋ぐ糸だけだ、

体に傷はつかない。


「お゛お゛お゛お゛お゛お゛お゛オ゛オ゛オ゛オ゛ォ゛ォ゛ォ゛」


水屋の身体から黒い無数の顔があるように見える塊が叫び声を上げながら飛びだしてきた。


そういえば、俺達死神は自分の力加減で魂に激痛を与え昇天させることも、

優しく昇天させることも出来たんだったな。


にしても、死んでもうるさいやつだ。


「汚い魂だ、欲望の塊だな」


つい客観的に言ってしまう。


「許゛さ゛な゛い゛、呪゛って゛や゛る゛!

 絶゛対゛た゛あ゛あ゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛!!!!」


「さっさと消えろ、お前の汚いくぐもった声なんざ聞きたくもない」


そう言って俺は水屋の魂にもう一度斬撃を叩き込んだ。

音もなく消えていく奴の魂


「せいぜい苦しめ、天上でな」


振り向き剣を二三回振い背負う。


さて、千夏の元に戻るか。


side:死神 Fin

しゃあああああああぁぁぁぁぁ!!


死「シャウトすんな」


嫌いなキャラナンバースリーに入る奴が居なくなったらそりゃ嬉しいだろうが!


「かも知れんが…」


あ、もしかして同情したのか?


「誰がするか!

 あんな奴に」


そう、それでこそ俺の理想像だ。

冷酷であってくれよ、

主人公。


「知るか。

 しかしこれで起承転結の転の山は登ったのか?」


いや、次が一番大きな山だ。


「マジかよ・・・」


それと、俺の小説はこれから序起承転結末を目指すぞ。


「序と末って何だよ?」


序はプロローグ、末はエピローグと後日談ってところか


「冒険するなぁ」


人生は常に冒険だ。


「あ、そ。そりゃあ良かったな。


 次回、超越した死

 お楽しみに」

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