心の支えと・・・
side:死神
千夏が危険な状態にあると感じた俺は林の方へ走った。
(やっと見つけた、てっどういう状況だ!?)
ようやく千夏を見つけたと思ったら、
見知らぬ男に押し倒され首を絞められていた。
見た瞬間頭に血が上った。
つまりキレた。
「どけ」
男を裏拳で殴り飛ばした。
死神の筋力は個人差はあるが、多くは人のそれを凌駕する。
本気を出せば少し掴むだけでも骨を折る程の力を出せるがやめておいた。
今すぐにでもさっきの男を狩ってやりたいが、それは後回しだ。
まずは―――
「捜したぞ?千夏」
―――千夏への気遣いからだ。
知らない男に押し倒され、そのうえ首を絞められていたんだ。
精神的苦痛に元々からある病気による痛み、
普通の子供なら廃人になってもおかしくない。
「ごほ……
しぃ兄…ぐす、怖かったよぉ~」
そうとうな恐怖を受けたのか、
涙を浮かべ少し乱れた服を直すのも忘れ俺に抱きついてきた。
「よしよし、怖かったよな…」
頭を撫でながら言った。
「もう大丈夫だぞ」
優しい言葉を掛けてやる。当然さっきの男と違い、下心なんて微塵もない。
だが、ようやく理解出来た。
千夏の死因が書かれていなかった理由を……。
それは千夏ではなく、俺の行動によって、千夏は生きもし死にもするということだ。
あらゆる意味で特殊例だ。
世界はいく百千にも分岐する、これも一つの可能性の世界か。
って感傷に浸るのは後だ。
「千夏、目を閉じて耳を塞げ、俺が良しと言うまでそうしているんだ」
「え、なんで?」
「いいから」
少し強めの口調で言う。
「……うん」
千夏は少々釈然としないようだが従った。
ホント根は素直だな、俺の言う事をちゃんと聞いてるし。
などと思いながら俺はベルトに付けているホルスターから右手でナイフを抜き、
千夏の前の地面に刺した。
「空間隔離」
よし、これでどんな事があろうと俺が解除するまで千夏は隔離された。
ようやく生ごみを処理できる。
side:死神 Fin
今回出て来た呪文は次の登場人物紹介的なもので説明します。
死「逃げたな」
逃げだよ、少し精神状態が悪くなってきてんだよ!!
死「あ~、こりゃだめだ。
次回、夢か現実か。
お楽しみ」