プロテインでプロ転移!?
初投稿です!筋肉って正義だよなぁと思って気軽に作った作品です。素人なので拙い部分が多いですが、どうぞよろしくお願いします。
ムワッとした、汗の匂い。
鍛え抜かれた筋肉美。そして、入荷したばかりの新品器具。
その中心でシェイカーを振るのは、他でもないこの物語の主人公、、、強者であった。
「プロテインの時間だ」
無表情で呟く姿はシュールどころか一周回って恐怖を感じさせる。が、本人は至って真面目にプロテイン摂取を楽しみにしている。今日はチョコレート味らしい。
すぽんっ!!!と強烈な音がして、茶色を帯びた液体が飛び散る。
どうやら、あまりにも早く振り過ぎたせいで、蓋ごと中身が飛んでいってしまったようだ。
「いけないいけない」
服についてしまった分を拭き取って、ついでに汗で冷えないようにと上着を羽織る。
相当な着痩せ体型のためか、先程まで惜しげもなく露わになっていた筋肉が、常人レベルまでにしかわからなくなった。
見ると、プロテインは不思議な模様を描いて無惨にも床にへばりついていた。偶然にも、なにかの魔法陣のような形で。
拭き取ろうとタオルに手をかけたその時。
「、、、何、これ」
突如として、プロテインの中心にいた強者の周りに、白く輝く光が舞った。
眩しさに思わず目を伏せる。次に目を開いた瞬間、強者の視界に入ったのは、、、
煌びやかな、王宮だった。
ガヤガヤガヤ、ザワザワザワ。
急に姿を現した強者を取り囲んだ白服の人々は、興奮した様子でざわめいていた。
「遂に聖女がやってきたぞ!」
「あぁ、なんとありがたい、、、!」
「え、男?女?」
「どっちでもいい!とにかく、これで今年も我が国は安泰だ!!」
わっしょい、わっしょい。
何故か胴上げを始める人々を訝しもせず、強者は無表情で呟いた。
「自分、プロテインの時間だったんすけど、、、」
パチン!と手を叩く爽やかな音が、あたりに響いた。途端に静かになる人々。
「落ち着いてください皆さん。まずは異世界人に挨拶でしょう」
「アルバ様!」
ニコリとした感じの良い青年。桃色のマッシュヘアーに、少し緑がかったターコイズブルーの瞳を宿し、真っ白な神父服を着ている。何より目に留まるのは、、、背に生えた、大きな白い翼だった。
「%°#€*○¥、御客人。私、王宮魔術師の、アルバ=マークロバッセと申します。貴殿のお名前は?」
初めの言語が聞き取れなかったが、おそらくこの世界の挨拶のようなものだろう。何故か言語が通じることになんの疑問も抱かなかった強者は、普通にへーと思いながら聞いていた。
「強者っす。よろしくおねしゃす」
「強者さん、ですか。素敵なお名前ですね」
名乗った瞬間、アルバは少し驚いた顔で強者の体をジロリと確認した後、元の笑顔に戻り、優しく言葉を発した。しかし、声色には少しの嘲笑が混じっていた。
「あの、ここってどこかわかります?」
「わかるもなにも、ここは我が国、バルバロッサ王国の宮殿ですよ。貴方は招かれたのです」
アルバが説明したところによると、この地域には、昔魔王を封印した祠があり、100年に一度、封印が解けるとのことだった。異世界人を召喚して、その力を借りることで魔王を討伐することができるという言い伝えがあるらしい。今まで何人かの異世界人が召喚されたが、できても封印までだったらしい。
「ですから貴方には"聖女"として、我が勇者軍とともに、魔王討伐への旅に参加していただきたいのです。もし聖女様が参加してくださらなかったら、、、あぁ、考えただけでも恐ろしいこと。協力してくださいますよね?」
丁寧な口調だったが、その言葉には有無を言わさない圧があった。参加しなければ、どうなるかわかっているだろうな?とも。
しかし。
「え、嫌ですけど」
reading空気を破いて進む強者にとっては、ただの面倒臭いことにしか思えなかった。
アルバの表情が、凍った。
「、、、何故?」
「だって、なんでこっちは無許可で呼び出された上に、そんな面倒臭いものに参加しなきゃいけないんすか。失礼にも程があるっす」
額にピキリと青筋が浮かんだのが見えた。
「報酬はきちんと出しますから、、、」
「いや興味ないんで。さっさと返してください」
「地位」
「いらん」
「富」
「いらん」
「名声」
「いらん」
「力」
「、、、、、、、、、、、、いらん」
「結構迷いましたね?」
「うるさい。兎に角やらないもんはやらない」
すん、と真顔になった。それだけなのに、何故か読者諸君にはお見せできない顔となってしまった。
「そうですか。そこまで言うのでしたら、申し訳ないですが、、、力づくですね」
その瞬間、周りを取り囲んでいた人々が、強者の首に注射針を突き立てた。
「おっふ」
薄れていく意識の中で、アルバの歪んだ顔だけが、やけに鮮明に見えた。




