006
今回は少し上手くいったと個人的には思う。
ソウが好きだと言う感情を植え付けるまでには時間がかかった。一種の催眠術のようなものだ。
治療の日は必ず雨の日を選んだ。
雨の日は心地いい音が入る。他の雑音を聴かせないように。慎重に。
ただあの子が自分の意思で愛情を理解しそして憎しみに変えるという行動を起こしたのは驚いた。
どんな治療も今までは無反応だったからだ。
少しでも好きと言う感情があの子の中で育っただろうか。
それとも憎しみの感情の方が芽生えてしまったのかな。
「ソウおつかれさま。嫌な役回りをさせた事を謝るよ。生き帰った気分はどう?」
「僕はあなたって本当に恐ろしい人だと思いましたよ。」
「ふふ。よくいうね。ソウはここにきてから2年だね。ララちゃんと年も同じくらいだったから君が適任だったんだよ。そして女の子の扱いもうまそうだったからね。」
「嘘でも恋人のフリをして心が痛んだかい?それか彼女に同情でもしたかい。」
「それとも憎しみの感情が怖くなったかい」
「あなたは彼女に悪いと思う気持ちはないんですか...」
「私はね彼女を治してあげたいと思っているんだよ。彼女に色んな感情をあげたいと。それが例え悲しみや憎しみ怒りでもね。今回ばかりは少しやり方が荒かった。けど現に自分が社会人でソウという彼氏がいて外にもいけた。人は思い込みで行動できると言う事を学んだ。」
「私はこれからも続けるよ。私はあの子の主治医だからね。私の仕事は壊れた彼女を治す事だから。」
「ニコニコしながら残酷な事をする。恐ろしくて気味が悪い。人を実験みたいに観察しながらそれを治療って言うのですね。」
「本物でも偽物の感情でもね相手が気付かなかったらそれは本物なんだよ。」
ララちゃんはソウからもらった愛情は本物だと思っているよ。
今もこれからもね。
ソウはララちゃんとの愛情は偽物だったの?
「・・・」
「君は優しすぎるね。」
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私はねあの子を本当に治したいと思ってるんだよ。
あの子はわたしの...
大切な妹だったから。
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