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「私が知れば、君とジュリア嬢の仲を引き裂こうとでも思っていたのだろう?」

「あぁ。魔法の世界に貪欲なお前がジュリアに興味を示さないわけが無い」

「だから婚姻の儀を急ぎたいと」


オスカーは目だけで返事をし、フェルディナントは軽く笑った。


「ジュリア嬢が君と婚約していなかったら、求婚していただろうね」


オスカーの目が鋭くなり、冗談だよとフェルディナントは笑うだけで何も言わない。

どうやらオスカーをからかっているらしいが、オスカーはそれがわかっていても面白くは無いので反応してしまう。


「そこは置いておいて今日来たのはね、ちょっと不味い情報が入ったからなんだ」


フェルディナントが椅子に腰掛けたまま手招きをする。

この部屋には二人しかいないのに何を秘密にして話さねばならないのか。

一番の心配事の答えははぐらかされたが、仕方なくオスカーは書類を置いて少しだけ前のめりになる。

さっきまでオスカーをからかい遊んでいるのだろうと思っていたフェルディナントの美しい眉間には皺が少しだけよっていた。


「リネーリアに強い悪魔が現れたと、オーラフ様から連絡があった」


オスカーの目が見開かれた。

オーラフはエルザス一番の白魔術師で、フェルディナントの師匠でもある。

魔術師としての能力は素晴らしいのだが女性に目がなく、四十過ぎというのに未だ誰とも結婚せずに色々な女性と遊んでいるのが周囲としては悩みの種だ。

そういった悪いところをフェルディナントも学んでしまったのではと疑っている。


しかし実力は本物。

リネーリアに悪魔が潜んでいることは既に知られていることだが、オーラフからリネーリアへ行く前に交流会では気をつけるよう注意がされていた。

悪魔がいるなどという内容では無く何かが起きるという予言のようなものだったので、オスカーとしては偽聖女が悪魔でそれを滅したジュリアの出来事を指していると思っている。

そのオーラフがそこまで言うのならかなりの話だ。

リネーリアが悪魔に支配される可能性があれば自国を守る為に未然に防がねばならない。

何よりリネーリアにいたジュリアが本当の聖女である可能性があり、その当人はエルザスにいる。

ジュリアが巻き込まれない事態にオスカーの表情は険しくなった


「偽聖女は死んだのでは無かったのか?」

「ジュリア嬢が滅したはずだが偽聖女が実は消えたふりをして隠れていたのか、それとも隠れていたのは他の悪魔か」

「オーラフ殿は何か他には?」

「オーラフ様から話は聞けない」

「お忙しいのか」

「昨晩突然倒れられ、今も意識が無いそうだ」

「事故か?それとも病で?」


フェルディナントは目を伏せた。


「恐らく、悪魔による呪いだろう」

「呪いが何故オーラフ殿に」

「リネーリアの王家にまた何かあるのではと気になったそうで、魔術で調べていた矢先に倒れられたそうだ。

魔術に立ち会っていた弟子達も影響を受けたが、それはオーラフ様が彼らを守る為の魔術を急ぎかけたおかげで助かった。

そのせいもあってオーラフ様は倒れてしまったが」

「弟子思いのオーラフ殿らしいな」


フェルディナントはそんな師匠に心を痛めているという表情では無く、顎に手を当て考えている。


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