表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
28/37

5


全く動かない巨大なアンキーロを前に、オスカーは剣を握りしめる。

喉を切り裂くだけのつもりで、首が切り落とされるほどの力を振るった覚えは無い。

なのに魔力を溜めた剣は、太い首をいとも簡単に切り落としてしまった。


「一体どうなっているんだ、これは」


アンキーロから血が流れているのにオスカーには一切かかっていない。

防御魔法が守ったのだ、本来剣を振るった時点で消えているはずなのに何故か効力を維持していたおかげで。

間違い無くジュリアに渡されたお守りによるものだ。

しかしこれは、自分たちの知っている魔法とは逸脱している。


宝石が凄いのか、魔法が凄いのか。


ジュリアが本物の聖女だからこそなしえたと考えるのなら納得できる。


「これを知られたらこの国は絶対にジュリアを手放しはしない。

リネーリアが知ればどんな手段を使っても奪いに来る」


偉大な魔法を使う聖女。


オスカーの婚約者であろうと、エルザス王家の力で簡単に婚約は破棄されてしまう。

そうすれば、フェルディナントの正妻として迎えられるのはわかりきったことだ。


正妻には愛などより利用価値がある女をと、常日頃からフェルディナントは考えていた。

以前は隣国との揉め事を避けるためにジュリアは除外していたが、ここまで状況がかわったならばフェルディナントの考えは、より利用価値のあるジュリアへと向きかねない。


「冗談じゃ無い」


オスカーは自分の周りから防御魔法が消えていくのを感じながら、上を向き呟いた。




デニスと合流する前に、オスカーは最後側にいた者達に箝口令を敷いた。

あくまでオスカーが最後にとどめを刺した、それだけだと。

バルドリックは何か言いたげだったが、他の者も小さく頷き口にはしなかった。


デニスと合流して、オスカーは事後処理を任せることにした。

急いで屋敷に戻ろうとするオスカーが何かを隠していることに感づいたデニスは、オスカーの肩に手を置く。


「どうせ漏れると思うよ」

「だとしても先に確認したいことがある」

「どちらにしろ偽聖女を倒した聖女はホンモノで素晴らしい能力を持つその聖女は我が国いるのだとわかれば、祭り上げられるのは時間の問題だね」


どこまでこいつはわかっているんだとオスカーは睨む。

そんな目を向けられデニスは肩をすくめた。


「僕は君の味方だけど、時間を稼ごうにも限りはある。

対策を練りやすくするためにも僕には情報共有して欲しいなぁ、できる限りで良いからさ」


オスカーはその言葉に返答することは無く、馬に乗ると屋敷へ一人急いだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ