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地獄2

「何やっとるんじゃ、ワシは腹が減った、早く料理せんか!」


「す……すみません!今やりますから!」


「おい!トイレ、ちゃんと洗ってねえじゃねえか、汚ねえぞ」


「すみません!」


「この役ただずが」


目の前には、金髪ツインテイルの美少女がいる。


身長は多分響の半分くらいで、可愛いらしい声をしており、オタクなら誰でもハマる正統派ロリキャラである。


なのにも関わらず、彼女は汚い服を着て、顔が悪そうなジジイのために家事をしている。


これが最後のヒロイン宇佐見こころである。


「あっ」

「あっ」

彼女は俺のことを気ついた。


「お兄様!!!!」


「さしぶりだね、こころ」


「会いたがった!会いたがったよ!」


「わかった!わかったから!ちょっと落ち着いてくれ!」


俺のことを気つくと、こころは俺へ猛ダッシュし、俺に抱きつく。


ゲームの中だと、こころは響のことをお兄様と呼び、慕っていて、隙間があれば響に甘えるキャラなんだ。


でもそんなこころには、俺は可愛く思わないし、慕われてる響のことも羨ましくない。


「ねえ、お兄様、私は肉便器として頑張るリマス、いっぱいご奉仕するから、だから褒めてください」

「……」


この子のすべては、村人たちの洗脳から作り出した幻なのだから。


こころは、元から純粋な子だ、純粋すぎで、この村に似合わないくらいだ。


彼女の親は子供の頃事故で亡くなった。


あれからはおじちゃんに引き取れられた。


ただでさえつらい環境なのに、村の中でもかなりの守旧派のおじちゃんに育てられた。


そんなおじちゃんは、女を人どして扱えないし、こころのことを家事ロボットとして扱っている。


さらに子供の頃からこころ洗脳した。


自分は救世主さまの肉便器で、男をご奉仕するのが責任で、根から思い込んでる。


だから彼女の態度は、すべて洗脳による物で、本当の彼女ではない。


「クソが……!」


こんなこころを見て、俺は静かに怒鳴った。


桜姉と七実も、あんまりに惨めで、思わず目を逸らした。


「何やっとるんじゃこころ!料理は……お!救世主さまじゃないか!」


「……」


「ほれこころ!早く救世主さまをご奉仕しろ!」


「すみません、わかりました!」


「すみません、うちのこころが頭悪いだから」


すると、こころは慌てて俺の股間に近く。


こいつ……!


「死ねよクソジジイ!!!!!!!!!!」


俺は思い切り、ジジイをぶん殴った。


何が早く料理しろだ!何がうちのこころが頭悪いんだ!


こんな素直で可愛い子は、お前にとってはただの道具なのか!


ふさっけんな!


「救世主さま……?」


ジジイは頬を撫でながら、怯えた表情で俺を見る。


本当は、俺思い切りこのジジイを怒鳴りたい。


もちろん、俺は思ったこと通りに話すわけにもいかない。


ジジイを殴ったことを誤魔化すことを含めて、俺はこう言う。


「何汚いやろうに俺様のご奉仕させるんだ!救世主さまのちっこを汚す気か貴様!」


「へい!すみませんすみません!ほらこころ早く着替えで来い……!」


「もういい!あいつは俺様がなんとかするから!てめえは反省しろ!頭の悪いやつが!」


「すみませんすみません!」


「ほら行くぞ!」


謝るジジイを無視して、俺はこころを連れで行った。


「私は汚いですか、お兄様……?」


こころは泣きそうな顔で、俺に問いかける。


「そんなことない!こころは可愛くて、俺の大事な幼馴染だよ」


「本当……?」


「うん、信じてくれ!ほら、飴ちゃんあげるから」


「わい!ありがとうがざいます!」


こころをなんとか慰めたとこ、七実は俺の肩をただいた。


「あんたやるじゃん!見たかあのジジイの怯える顔!」


「不謹慎かもしれないが、私もちょっと笑ってた」


桜姉もそう同調した。


「へへ、そうだな」


あの後、俺たちは俺の家へ進んだ。


道中、俺たち他の村人にも出会ったが、彼らの言うことは大体同じ。


『救世主さまをちゃんとご奉仕しろよ孕み袋』とか。


『救世主さまがいれば村の未来は安泰だ』とか。


要するに、彼にとって、俺たちはただの道具に過ぎない。


せっかく明るくなった空気も、一気に元の暗い空気に戻っだ。


この村は本当にクソみたいだなって改めて思った。

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