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狼獣人と狐獣人②

 外に出ると辺りは暗くなり始めていた。

 こんなに時間がかかるはずじゃなかったんだけど、まさかあんな事になるなんて思わなかったよ。

 なんか変な汗かいたなぁ。

 あぁ、今から帰って料理をするの面倒だし、夕食は簡単に済ませよう。

 って言っても、この世界にはカップ麺やら冷凍食品なんか無いし、当然だけどファーストフードもない。

 簡単に済ませると言っても、店で食べないのであれば、自分で作るしかないのだ。

 まぁ、今日は作り置きのベーコンもあるし、パパッとカルボナーラでも作るとしよう。

 こっちの世界でもパスタはあるしね。

 いつも通り路地裏に入って周囲を確認して……誰もいないな?

 

「よし、【跳躍(ちょうやく)】」


 ヒュンと視界が流れると景色が変わる。

 ほい、あっという間に家に着いた。

 やっぱり魔法って便利だよな!

 現代の科学力じゃ、絶対に無理な事が簡単に出来るんだからね。

 さぁて、夕食の前に先ずは今日の成果を確認しておくか。

 貰った報酬の内訳証は……あったあった。


「えっと……ロロイアの花が5本で小銀貨5枚。これは前と同じだな。赤い陽変草(ひがわりくさ)が10本で銀貨1枚。やっぱり赤色だとこれくらいか。白色だったらもう少し値が付いたんだろうけど、日が悪かったな。それとルコの実が22個で……小銀貨6枚と銅貨1枚と小銅貨1枚? 小銅貨2枚から3枚に上がってるな。うーん、もうちょっと採れば良かったかな? それで全部合わせて銀貨2枚と小銀貨1枚と銅貨1枚と小銅貨1枚分か。日本円でだいたい21600円。1日の稼ぎとしては十分だ」


 稼ごうと思えばもっと稼げるけど、下手に稼いで変な奴等に目をつけられる危険性がある。

 奪われるだけならまだしも、殺される可能性も無いとは言えない世界だ。

 もっと採取数が多くしたり、高価な希少素材を採るようになったら、どんなに隠しても噂は立つだろう。

 しかし、逆に無能すぎてもちょっかいかけられたり、イジられたりするので、それも避けたい。

 異世界生活はバランスが難しいのだ。

 俺は本当にスローライフがしたいだけ。

 だから、俺が目指すのは『ちょっと役に立つ奴』なので、今のところはこれで十分なんだ。

 そう、十分だ。


「…………さぁ、お湯を沸かすか! ありゃ? 蓄えの水がだいぶ減ってる。うーん、水も魔法で作れるんだけど、ミネラルも何もない真水だからなぁ。山の水の方が美味いし……仕方ない、明日汲みに行くか」


 ボヤきつつ竈に火を入れて、大きめの鍋で湯を沸かす。

 小説でよくある【火球(ファイヤーボール)】で湯を沸かすような事はしない。

 なぜなら俺には使えないから。


「鍋に塩を入れて、っと。この間に具材を切っておくか」


 自家製ベーコンは豪勢に厚切りの短冊切りにしておこう。

 面倒だから具材はこれだけでいいや。


「湯が沸いたらパスタを投入。少し荒っぽい作りではあるけど、こっちのパスタも意外に悪くないんだよなぁ。パスタを自家製で作るのは面倒だから助かるよ」

 

 パスタをじっくり茹でて、その間に隣で熱したフライパンにバターを入れて、ベーコンに焼き目をつける。

 焼き目がついたら牛の乳を入れて、湯切りしたパスタと粉チーズと自家製ブイヨンを入れる。

 この自家製ブイヨンはマジで優秀!

 暇な時に作り置きしておいてよかった!

 あとは全体をなじませて、生卵は怖いから半熟卵を加えたら、完成だ!


「生クリームはないけど、なかなかの出来だ。うーん、これは美味そう。ちょっと多めに作りすぎたけど、【保存(ほぞん)】の魔法で長持ちするから問題なし! 明日は採取は休みにして今日は白ワインでも飲むか!」


 ちょいとお高い白ワインを買っておいて良かった。

 日本にいた頃は忙しくて酒なんか嗜む暇もなかったからな。

 こっち来てから飲むようになったけど、適度な仕事と適度なお酒の相性は抜群だ!


「では、いただきま……」


「す、す、すいませーん! ごめんくださーい!!」


「や、夜分に失礼しますわ! は、早くぅ!!」


 ……はっ? 家の外から悲痛な叫び声が聞こえて来る。

 しかも、この声って……えっ? 何で? 

 扉を開けると、そこにはミューとリーディアさんが立っていた。

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