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気になる後輩が俺の告白を邪魔しに来ている件  作者: 遥風 かずら
第1章 先輩と後輩

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もしかして優等生


「右が使用後、左が使用前です。先輩は2年ですから、ちょうど目線のところに見える置き場にかければいいだけです」


 なるべくなら入りたくない教員室の中。

 そこから手招きをされ、俺はあっさりと侵入を果たした。


 担任から余計な小言を言われた後、習木が近くに立っていたことで何故か担任は、習木に全てを一任。


 そしてまさに今、後輩による簡単な説明を受け終わった。

 ――と言っても、単なる鍵置き場の説明に過ぎず大したことでも無かったり。


「んで、習木は1年だからその下か」

「ぶぶ~! 違います! 2年は確かに先輩の目線の先にかければいいだけですけど、1年は2年の上なんですよ。3年は一番下です! 面白いですよねー」


 何が面白いのかさっぱりだ。

 習木がおかしいんじゃなくて、うちの学校のルールがそういう風になってるだけだな。


「1年が2年の上なら、苦労するんじゃないのか?」

「もしかして身長のことを言ってたりするんですか~? まぁ、確かに背伸びをしないと届きづらいですけど~」

「大変だな。じゃあ俺は教室に戻る」


 鍵置き場やらルールが分かった時点で、ここは用済み。

 たまたま後輩女子がいたとはいえ、こいつに関わる理由は無い。


 ということで、とっとと教室に戻ってしまおう。


「待ってくださいってば! 普通、こういう時は親切心でついでに取ってくれるんじゃないですか?」

「んー? そこは習木が頑張れ」

「だから~ぎりぎり届きづらいんですってば! 少しは先輩らしいことをしてくれると、わたしの中の先輩の点数が上がるんですよ?」


 そうは言うものの、習木は本人の自覚が無いだけでそこまで身長が低いわけでも無い。ほんの少し頑張れば上段の鍵なんて簡単に取れる。


「習木の点数が上がって俺に何の得が?」


 テストの点数や単位的なものならともかく、習木個人の点数が上がっても目に見えないものなので、全くもって嬉しくも無い。


「え、えーと、とにかく! 先輩の肩だけでもいいので貸してください!」

「肩ぁ? まさかここで肩車でもしろとか言わないよな?」

「違いますよ。こうするんです……んんんっ、っしょっと……そのままじっとしててくださいよ?」


 俺の意思などお構いなしに、習木は俺の肩に手を置きながら最上段の鍵ホルダーに手を伸ばした。


 ぷるぷると震わせながら、届くか届かないかの駆け引きを頑張っている。

 俺の肩などいらないと思うが……。


「先輩先輩、ちょっと役得ですよー」


 ぽふっ。とした感触が俺の鼻先をかすめた。

 役得という意味はどうかと思うが、習木の胸の部分が丁度良く目の前に現れた。


 鍵を取ってやるでもなく、肩を貸してやってるだけなのにこれは……。

 特権という代物なのか。


 とはいえ、かすめただけに過ぎず照れる出来事でも無いので、俺は至って冷静だ。


「……ふぅっ。取れました。宗次先輩のおかげで助かりました」

「何で宗次先輩なんだ?」


 確か今までは、うざいくらいに青堀先輩と呼んでいたはず。

 それが何故格上げしたのか意味不明だ。


「名前で呼んだ方が嬉しいじゃないですか~」

「特別でも無いけどな」

「まぁいいじゃないですか! 遠くの関係でも無いし、これからはそう呼びます。それじゃあ、わたしはお先に失礼しまーす!」

「じゃあな」


 何だったんだ今の出来事は。

 

 とにかくさっさと教室に戻るか。

 そう思っていたら、担任に捕まった。まさか追加の説教でもするのか。


「何だ、青堀。習木さんの鍵を取ってあげてたのか?」

「え? いや、自分で取ってましたよ」

「いや、おかしいだろ。いつもは教員の誰かが鍵を渡してあげてるんだぞ? 何で取ってあげないんだ」

「って言われても。VIPな生徒とかでも無いだろうし」


 呆れるようにして、担任は首を何度も振りながら席へ戻って行った。

 何だ……? あの1年女子はそんなに特別待遇なのか。


 それとも模範的な優等生という奴なのでは。

 こればかりは興味を持たないと知りようも無いことだし、特に気にすることでも無いな。


 次に遭遇したらさり気なく聞いておくか。

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