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気になる後輩が俺の告白を邪魔しに来ている件  作者: 遥風 かずら
第1章 先輩と後輩

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10/13

シたいなら、言えよ


「――っんだよ、ウワサの1年女子いないじゃん! おい、宗次! 1年女子はどこだ?」


 ◇◇


 さかのぼること放課後。

 予定通り、自称清楚系ギャルである八積が俺の席に迎えに来た。


 ギャルな割に律儀な奴だと思ったのもつかの間。


 担任を含め教室にいる全員に聞こえるようにして、八積は何の予告も無くぶっ飛んだことを俺に言い放った。


「今日からよろしくな! 宗次! 1年女子の為に色々溜まってんだろ? シたくてたまらなかったら、あたしに言えよ?」


 一瞬、耳掃除はいつやったのかについてを思い出そうとした。

 

 しかし周りの連中が俺と同様に動きを止め、恐らく心の中で「おい、マジか!」と思ったに違いない表情を見せたので、耳は正常のようで安心した。


「やるなぁ、あいつ……」

「青堀のどこがいいの?」

「くそぅ宗次めぇぇぇ」


 などなど、クラスの奴らが騒ぎ出した。主語が無いとはいえ、担任がまだ教室にいるのに何という爆弾を放り投げて来るんだこいつは。


 俺に八積を紹介した垂水は、手で目を隠して無関係のフリをしている。こういうギャルを紹介したくせになんて奴だ。


「青堀宗次。後でたっぷりと話を聞いてやる! 言い訳を考えて教員室に来い」


 おい、マジかよ。何も悪いことしてないし、そもそも友達でも彼女でも無いギャルの発言を信じ切って俺を悪者にするとは、何てこった。 


「んじゃ、外にいるから早く来いよ?」


 担任に怒られるのが確定な俺を放置して、八積はさっさと教室を出て行ってしまった。1年女子の習木のことを気にしただけなのに、厄介な日常が追加されてしまったのは気のせいか。


 ◇◇


 ――で、こってり絞られたわけだが。

 メインの説教は昼休みの遅刻についてだった……。


 昇降口に行った時点で、1年女子の習木が待ち構えているかと思っていた。しかしそこにいたのは、ぶっ飛んだ発言のギャル八積だった。


「おい、宗次! 例の1年女子はどこだ?」

「俺が知るわけ無いだろ……」

「後輩につきまとわれて神経質になってるから、あたしと一緒にいることにしたんだよなぁ?」


 俺の意思とは別か。タレコミ屋だけやってればこんなことにはなってないのに、垂水め……。


 それに習木の言葉を信じれば、早退して大人しく帰ると言ってたし、さすがに近くにはいないだろうな。


 むしろ()()()()時にこそ、近くにいて欲しいというのは勝手か。


「俺のことは何とも思って無いんだろ? だったら無理しなくても――」

「……いや、いる! あいつだよな? 宗次」


 俺の言ったことに対しての答えかと思いきや、どうやら近くに習木がいるらしい。   

 俺の心の叫びがあいつに届いたか?

 

 八積が下あごで指し示している方向には、ジャージ姿の習木の姿があった。

 早退したくせに学校近く、それも坂の途中にいるとか。


 どれだけ運動が好きなんだ、あいつは。


「どうだかな。俺は視力が悪くてよく見え――」

「ちっ、それを早く言えよ! ほら、宗次。行くぞ」

「お、おいっ!?」


 妙な展開になっている。それも習木がいる場所に向かって、よりにもよってギャルに手を引っ張られながら行くことになるとは。


「そこの1年女子! ちょっと待ちな!」


 後輩に対しても口も態度も変わらずか。


「はい、何ですか?」


 習木は明らかに俺に気付いているな。ギャルの真後ろに拘束されてれば、変な勘繰りをしてそうだが。


「お前だろ? こいつにつきまとってるのは」

「ちょっと何を言われてるか分からないです。わたし1年なので、基本、2年の……先輩とは接点が無いので」

「この男の名は青堀宗次。聞き覚えは?」

「さぁ……聞いたことないです。ごめんなさいです」


 この反応といい、習木の表情……俺の窮地を救ってくれているのか。これはこれで寂しさを覚えるが、今だけってことならこれでいい。


「――ちっ、無駄足じゃんか。おい、宗次! あたしは帰るからな。お前も勝手に帰れよ?」

「あ、あぁ」


 ギャル八積は習木の捜索をあっさり諦め、さっさと坂を下って行った。何だったんだ、あのギャルは。


 まさかと思うが、これからも俺を守るつもりじゃないよな。

 それはそうと、さっきから突き刺さるような視線を胸の辺りで感じるが……。


「モテ期を迎えたかったんですか? 青堀先輩」

「お、お前……俺のことは知らないんじゃなかったのか?」

「青堀宗次って言われましても、先輩への呼び方はフルネームじゃなく青堀先輩なので。知らないって答えます」


 偏り過ぎた屁理屈だな。


「で、自称早退の後輩はここで何をしてるんだ?」

「見て分かりませんか?」


 そう言うと習木はジャージ姿でありながらも、くるっと回転してみせた。何てあざとい動きだ。


「ジャージ姿」

「そうですけど、そうじゃなくてこの姿で本屋に行くとでもお思いですか?」

「行く時もあるな」

「……はぁ、先輩ってへりくつ男子だし、面倒ですね本当に」


 へりくつだと思っていた相手からのカウンターか。


「とにかく助かった。ギャルよりもお前の方が楽でいい」

「じゃあじゃあ、青堀先輩。今から付き合ってください!」

「告白してないのにか?」

「そういうギャグは要らなくて、行きたいところがあるので一緒に行って欲しいんですよ。行ってくれますよね?」


 八積から助けられたし断るわけにはいかないか。こいつとは落ち着いて話したことが無いし、じっくり話をしてやろう。

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