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SaLt  作者: 蒼海 游
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第26話 子どもたちの未来

しばらく語りが続いてすいません。読み進めていただけるとありがたいです。

 そんなこんなで仁に執着していた間に大希や咲良は成人を迎え、成長していた。大希は仁が小学五年になる頃、咲良は仁が中学二年になる頃に大学入学と同時に出ていったが、あれっきり何も問題も起こることもなく時が過ぎていったものだから、周囲などで問題が起こってばかりの仁につきっきりになってしまっていたようだ。

 それをふと、彼らの宛名の郵便物を見て実感する。


 二人がいなくなってからは少し家の雰囲気が変わったのは感じた。なんたって同年代組が残されたものだから、俺と智の間に少しの気まずさはないはずはなく、だがそれよりもそれ以上の問題があって正直それどころではなかったことがあり、あまり気にならなかった。

 だからといって二人の成長を見ていないわけではないし、完全に興味を失っているわけではない。


 成人式でスーツや振袖姿を見た時、改めて二人はそこまで成長したんだなあと思ったことを覚えている。たまに帰省して帰ってくると向こうに染まっているなあだとか思うし、電話の回数が減ってくるのも向こうで精一杯元気にやっているんだなぁと嬉しく思う。こんなふうにして何事も問題なく時を経てそのうち俺が死んだ歳も越してくれたらどれほどいいことだろうかと思ったりした。だからむしろ、問題がない方がいいのだ。

 そのうち結婚相手も連れてきて、孫もできて……と面倒なことも増えてくるだろうが、同時に楽しそうだと思った。そしてその未来を見てみたいと思った。

 子どもたちには長生きしてほしい。そして幸せになってほしい。

 何事も問題なく、平和に……。


 ところで今大希、咲良はそれぞれ二十四歳、二十歳だ。二人は現在、ほぼ家にいない。

 海洋学を専攻した大希はそのまま学者の道へ渡ることにしたようだ。学んでいくうちにもっと学び新種を見つけたいという思いができたらしい。たまに実家に戻ってきたと思うと海に出て潜っているようで、その時には由利をはらはらさせないよう気を使うらしい。彼女は……いるんだかいないんだか。昔から謎なやつである。


 咲良は文系の道に進み、大学生として今は一人暮らしをしている。そちらも彼氏ができるかどうか気になるところであるが、連れてくるまで分からない。優しすぎる咲良のことだから、騙されなければいいのだが。都会は危ないと昔から聞いている。

 まあそこ辺りは大希、咲良共々智か誰かから教えられていると思うので、そこあたりは俺の知らないところではある。


 そして仁が高校を卒業し、何らかで出ていくとすればあと三年。そうなったらどうなるだろうかなんて思いながら、ふと三年後どうなっているか気になった。そういえばこいつは将来について何か考えているのだろうか。ふと思った俺は、観察してみることにした。


 まず、普段仁がしている勉強と言えばテスト勉強が主である。そこから推測できることはどれも満遍なくできるということである。仁は真面目で、昔俺がある程度教えた甲斐あってか基礎がしっかりしていてすべての科目で困ることはない。英語は多少苦手であるようだが、それは俺の苦手科目も英語であったからだ。というか俺の世代は英語をそこまでやっていない。


 まあここまでが俺の主観である。


 ここからはまだどのような方向に向かっているのかは読めない。本人の中では何らかのことを決めているだろうが。間違いなく言えることは芸術系ではない。大希と違い、多くの男子が興味を持つであろうギターにも興味を示したことはない。


 次に部屋を観察する。まあ、いつも見ているのだが。といっても、俺は彼を操作しなければ基本観察することはできない。もしくは彼の視界を介して情報を集めていくしかできない。逆に言うと、何度も目に留まるものは彼にとって好きなものであるに間違いないが……。

 特段ある分野に偏ったようには見えないその部屋は、いつも片付いている。つまりは何も特徴はないのである…とそこで、仁は宿題を始めてしまった。こうなると本当に宿題しか見えない。つらつらと書かれたノートを見守るしかできない。


 夕食となって、いつも通り少し静かな食卓を囲んでから、仁は携帯電話をいじり始める。あの子や友達と話すのだ。彼は人気者であるから、よく連絡が来る。そしてそれを彼はまめに返す。

 返しながら何を考えているかはわからない。進路の話も時々しているようだが、自分のというよりかは他人のが多い。昔と違い、今は大学に行く人も増えたようだが、何人かは俺と同じように家業を継いだりするようだ。見るとそれはかなり減っているようだが、彼はどうするつもりなのだろう。

 見たところ、成績も悪くない。はたしてどうするんだか。



 と思った矢先、とある友達からこのような連絡があった。


『おまえは進路、どうすんだよ?』


 それに対し、彼はどう返すだろうかと思ってみていた。

 彼は何度か書き迷った末、このように書き込んだ。


『この島からあまり出たくないけど、それ以外はわからない。高校卒業したら働くのもありかもしれないとも思ってるよ』


 初めての手掛かりだった。しかし、もしかしてこの答えは……。

 俺は嫌な予感がした。今すぐにも問い詰めなければならない、そう思った。

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