6話 私幸せになっても、良いわよね?
それから、リンドヴルムと一緒に、ドラゴン達の国へと戻った私。アストルフィアから運んできた野菜や果物で栄養バランスを整えた食事に変えた結果、効果はすぐに現れたのだ。
『呪い』自体は消えたわけではない。やはり一度発症してしまった以上、そう簡単には治せない。だが、ドラゴン達、特に若い者は野菜や果物の摂取により、すぐに体調が良くなった。痛みに苦しむ者も次第に減っていき、しばらく経つ頃には、皆すっかり健康で生き生きとした暮らしを過ごせるようになっていったのだ。
もちろん、食事のアドバイスをしている間、私は何もしていなかったわけではない。できる限りの範囲で、彼らの健康上の悩み相談に乗った。いつの間にか、ドラゴンたちは私を仲間と受け入れてくれるようになったのだ。
そんなある日のことである。私はリンドヴルムに呼び出されたのだ。
「何の用事なの、リンドヴルム?」
「ああ、シャルロット、そなたのお陰で、ドラゴンの一族の皆もずいぶんと元気になった。それに、今や皆がそなたにここに残って欲しいと願っている……」
確かに、私も少しだけここが心地よくなっては来ていた。全てを失っていたと思っていた私に、久しぶりに居場所が出来たような気はしていた。
そんな私に向かって、リンドヴルムは更に言葉を続ける。
「そこでだな…… シャルロット、そなたさえ良かったら、あの話、もう一度考えてはもらえないか?」
「あの話?」
一体なんの話かと問いかけた私。リンドヴルムは、緊張しているようで、深く息を吸い込み、そして、覚悟を決めた表情でその言葉を継げたのだ。
「……俺の妻になってもらえないだろうか? シャルロット」
私の頭の中が真っ白になる。
「もう一度、言って貰ってもいい?」
「俺の妻になって欲しい、シャルロット」
やっぱり聞き間違えではなかったようだ。だけど、リンドヴルムはドラゴンの一族の王子、そして私は令嬢とは言え、弱小貴族の生まれで、ただの人間と言っても過言ではないのだ。
だから、私はリンドヴルムへと問いかけた。
「それは、ドラゴンの一族のため? それとも、あなた個人の願いなの?」
「ドラゴンの一族のためではないと言えば、嘘になる。だけど、これは俺個人の願いだ」
その言葉に、私も決意した。リンドヴルムは、私に真っ直ぐ向き合ってくれている。だったら、私の答えは一つ。
「……いいわ。リンドヴルム、私なんかで良かったら」
「そなたが良いのだ、シャルロット。そしてもう一つ、俺は考えたことがある」
「何?」
「人間の国、そなたの生まれ育ったカスタリア国と、同盟を結ぶつもりだ。カスタリア王との謁見にそなたもついてきてもらいたい」
「私が?」
「ああ、王との謁見の時、そなたのことも紹介する」
「私は遠慮しておくわ。あのクソ野郎共の顔なんて見たくないもの」
「大丈夫だ。あくまで王との謁見に過ぎない。頼む」
「……仕方ないわね」
こうして、私はリンドヴルムと共に、王の下へと向かうこととなったのだ。