第二話 赤ちゃんからはきついです
俺はずっと真っ暗闇にいた。
やることもなく気がおかしくなりそうだ。
お腹が空くこともなく、寝ることぐらいしかできない。
時間の感覚が分からず、もう何年もうここにいるような気がする。
すると急な激痛が全身に走った。
体が壁のようなものにぶつかりながらも、押し流されていくような感じだ。
体がうまく動かせないので、流れに身を任せることをした。
そしたら急に明るくなった。
『生まれましたよ。元気な男の子ですよ』
「おぎゃぁぁあああ」
息を吸うために精一杯声を出した。
涙で霞んでいるが、長い金髪の女の人に抱きしめられているのがわかった。
そう自分は赤ん坊だったのだ。
暗闇の中では、あの神が転生に失敗したのでは無いかと思っていたのでまさか、お腹の中にいるとは考えてもみなかった。
(なら目の前で顔を覗き込んでいる人が母親か)
ようやく視界が安定してきた。
歳は20代前半ほどで、背丈は高く、少し丸めの愛嬌がある女性だ。
とても嬉しそうにこちらを眺めている。
その時ドアの開く音がした。ゆっくり首を動かしてみると
『息子が生まれたのだと聞いてきたのだが』
勇ましい男の人の声がした。
「あなた....」
『おおこれが私の子か。.....クレア、よく頑張ったな』
「ええ男の子だそうよ。名前は考えいるの?」
『ああ男の子ならザーク。ザーク•ハルフォートだ』
そうして俺、ザークハルフォートこの異世界に生まれたのである。
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時が経つのは早いものであれから三ヶ月の月日が経っ
た。
この暮らしで気づいたことがある。
どうやら自分は貴族に転生したらしい。
初めてメイド見た時は驚いたものだ。
貴族といっても自分は三男なので家を引き継ぐことはないようだ。
長男は学園に寮に住んでいるらしい。
次男は丸顔で六歳くらいに見える。髪は母と同じ金髪だ。
たまに部屋に覗きに来て、俺のほおをつついてどっかに行ってしまう。
お世話されるといのは大変楽だか辛い面もある。
例えば元高校生に母乳を飲むのは抵抗があった、まあ口に押し付けられるので飲まないといけないが、他にも初めておねしょをしたときに、メイドさんにお世話される時は軽く絶望したほどだ。(まぁ流石に毎日繰り返しているのでもう慣れているが。)
メイドさんは日々のお世話に加えて、本の読み聞かせをしてくれる。
どうやら大昔には勇者や魔王といった存在がいたらしい。
まぁでも昔のことだし俺は勇者ではないので関わることはないだろう。
1人の時になったら、言葉の練習をしている。
異世界言語のおかげで言葉や文字は理解できるのだが、
舌が回らないのだ。
「おガァざん、おとぉさん、おにぃぢゃん』
こんなふうに毎日練習をしている。
それに発音が良くなれば、魔法が使えるかもしれないのだ。
この世界は魔法というのは誰でも使えるそうだ。
まず人の体には魔力というものがある。
魔力の量は人によって違い成長ともに大きくなるそうだ。大体15歳くらいに成長し終わるという。
しかしたくさん魔力があるからと言って強い魔法を使えるわけではない。
人には魔力を放出するための、穴がありそれが沢山あればあるほど、一度にたくさんの魔力を集められ強い魔法が打てるという。つまり魔力があっても穴が少なければ長い時間魔法を使えるが弱い魔法しか打てないのである。
それに魔法を使うには一般的に詠唱が必要になる。
しかし詠唱を唱える時にかんだり間違えたりすると
発動しない。
だから早く言葉を話せるようになりたいのだ。
まぁ生後三ヶ月だとそれぐらいしかやることがないだけかもしれないが。