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202、レヴィアの特訓?



「あああぁぁぁぁ!!! まって……まだっ! いや、ダメえぇぇぇぇぇ!!!」


 その日の夜。宿にレヴィアの激しい声が響き渡る。

 高級宿ではあるが、さすがにこれだけ声を張り上げられると、2つ3つ隣の部屋にまで筒抜けである。

 妻たちももちろん聞こえているのだが、布団の中で悶々と過ごすことしかできない。

 気持ちよさそうに熟睡しているのはリーリアだけである。

 普段から多少声が聞こえることはあるが、ここまで大きい声は初めてだ。

 だから妻たちは戸惑っていた。

 妄想がはかどるせいで自然と体が熱くうずいてくる。

 相部屋なのでどうすることもできず、只々眠れぬ時間だけが過ぎていく。


 ……だが実状は違っていた。

 男女のまぐわいをしているようにも聞こえるが、かなり過酷な神力の特訓をしているのだ。

 前にラグナブルグで行った魔力操作の特訓に似ている。それの神力バージョンだ。

 むりやり体内に神力を注ぎ、こねくり回すことで神力の存在を意識させる。そうすることで自身の体内にある神力が開花される。

 ただこれはレヴィアの体にかなりの負担を強いる。超再生を持っているからこそできる荒療治だった。

 ちなみに特訓と言うことは俺とレヴィア以外は知らない。

 なので妻たちにはまぐわい行為をしていると思われているだろう。


「まだ全然入ってないぞ? もっと深く入れてやるから我慢しろ」

「む、無理なのだ……もっと優しくしてほしいのだ……」

「ダメだ。ほらいくぞ」

「ま、待って! まだダメって──いってるのにいぃぃぃ!!!」


 尚も聞こえる情熱な息吹が、妻たちの嫉妬心をあおる。

 一体何度目だろう。

 これが自分だったらと思わずにはいられない。

 


 宿は俺達が貸し切っている。

 この時ばかりは本当に貸し切ってて良かったと心から思った。

 なんせ特訓は朝まで続いたからだ。

 ベッドで力尽きたように眠るレヴィアを一旦そっとしておいて、俺は朝食休憩を取ることにした。

 一階に下りて食堂にいくと、リーリア以外の全員が眠そうにしていた。

 テーブルにつくと、早速サリサに嫌味を言われた。


「昨晩はお楽しみだったようね」

「まあな。かなり気合を入れてやったからな」

「……あっそう。今日はこのあとどうするのかしら?」

「いや、今日は休みにして一日やる予定だ」

「はぁ!?」


 皆も何言ってるんだコイツといった顔をした。

 あれほどやってるのにまだ満足できないのかと。

 もちろん特訓なのだが妻たちは完全に勘違いをしている。

 後でいろいろ文句を言われたらかなわんのでしっかりと説明をすることにした。


「サリサ……いや、皆も勘違いしているようだが、レヴィアには神力を目覚めさせる特訓をしているだけだぞ?」

「……その特訓内容が物凄くエッチなのよね?」


 サリサはジト目で疑っている。

 他の皆も半信半疑だ。


「いや、本当に何もしてないぞ……まあ、特訓が終わったらやるかもしれんが」

「やっぱりそうよね」

「……とはいえまあ、まずは神力に目覚めさせないとな」


 レヴィアはまだまだ強くなる。

 今ここで神力を扱えるようになれば、成長の効率も段違いで良くなる。

 だがら今日中に目覚めさせておきたかった。


「あの! ベアルさん!!」


 いきなり声を張り上げてそう言ったのはナルリースだ。

 なにやら真剣な表情で俺を見ていた。


「どうした?」

「わ、私も特訓してほしいのですが」


 思い詰めた表情だ。

 それはそうだろう。

 現状、ナルリースは一番弱くなってしまっている。

 3人娘の中では特筆して強かったのにいつの間にか二人に抜かれていたのだ。焦らない方がおかしい。


「ナルリースには別の事を考えている。そのため明日から三日間くらい俺と出かけてもらう」

「えっ!! ほ、本当ですか!!」


 ぱっと花が咲いたように笑顔になった。

 最近沈んでいたことが多かったので素直に喜んでくれて嬉しい。


「ああ、だから出かける準備をしておけよ?」

「はいっ!」

「おい!? ダンジョンはどうするんだ!」

 

 テーブルをドンと叩き少し怒ったふうにアナスタシアが言った。


「ダンジョンはしばらくお前たちだけで行くんだ。修行だと思ってな」

「うぐぐぐ……」


 何か言いたそうだが何も言えないアナスタシア。

 かわりにサリサが口をはさんだ。


「三日って言ってたわよね? どこに行くのかだけでも教えてくれるかしら?」


 隠すようなことでもないし、もともと言うつもりだったので問題ない。


「滅んだエルフの城だ」



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