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137、ボス撃破?



「じゃあここでお前たちは外にでるんだぞ」

「うん分かった! ありがとベアル兄ちゃん!」


 テルク達を帰還魔法陣へと案内した。

 ここは地下4階だったようで赤スケルトンスケルトンファイター青スケルトンスケルトンアーチャーなどスケルトンの進化系がいたので危険だと判断して案内をしたのだ。


「今度は罠に引っかからないようにね」

「う、うるさいなあ分かってるよ」


 ここまでの道中、同じくらいの年頃であるリーリアと仲良くなっていた。

 物怖じしないキティが俺の陰からこっそりと様子を窺っていたリーリアを発見し会話をし始めたのだ。

 少し話せばリーリアも子供である。すぐに仲良くなった。


「俺達より年下のリーリアがそんなに強くなれるんだ! 俺も頑張って強くなる! そしていつかベアル兄ちゃんを超えるんだ!!」

「それは無理」

「い、いいだろ夢を見たって!」

「せめて私を超えてから言って」

「うぐっ……」


 リーリアが敵を倒すところをみて興味がわいたテルクは無謀にもリーリアに勝負を挑んだ。

 結果は惨敗。

 一歩も動けないまま剣を弾き飛ばされた。


「でもまあそこそこ強くなりそうだから頑張って」

「言われなくても頑張るよ!」


 そう言ってテルクは帰還魔法陣に入り転送した。


「じゃあ皆さん改めてありがとうございました! リーリアちゃんもまたね!」

「うん、またね」


 にこやかに手を振りながらキティも転送された。

 そして最後はイシュリーだ。


「み、みなさん僕に希望を与えてくれてありがとうございました。僕は何も分からないままこの姿になってしまったけど……でも頑張って生きて強くなろうと思います」

「うむ、精進せよ」

「はい!」


 仁王立ちするレヴィアにぺこりと深くお辞儀をした。

 イシュリーは特別な存在だった。

 レヴィアと二人で話しているのを聞いていたのだが、イシュリーは元は海の魔獣らしい。親から離れ独り立ちしてすぐに海に溺れているエルフの子を喰らったとか。

 気がついたらこの大陸にいたらしく姿もエルフだったらしい。

 元の姿に戻ろうにも魔獣の姿に戻ることができず、仕方なくこの大陸で生活を始めたらしい。

 生活をするために冒険者となったが、上手く体を扱えずに失敗ばかり。そしてその失敗がトラウマとなり戦闘が怖くなってしまったとか。


「お前はもう人として生きるしかない。海への未練を捨てるのだ! そしてがむしゃらでも必死にやってみろ!」

「はい! 海王さま!!」

「うむ」


 同じ境遇のレヴィアと会い心底安堵したのだろう。

 最後は笑顔になりイシュリーも転送された。




 その後は何事もなく無事に最下層までこれた。

 ここの最下層は地下10階。

 初心者ダンジョンとはいえ9階はCランク程度のモンスターがうじゃうじゃとでてきた。

 まあ、それでも俺たちの敵ではないんだけどな。


「ここがこのダンジョンの最下層だ」

「最下層は何もないんですね」

「ああ、この目の前の大きな扉の先にボスがいる」


 見上げるほどの大きな扉。

 赤い両開きの扉で豪華な装飾がされていて、いかにもこの先にはボスがいるという感じを醸し出している。


「ちなみに扉の先にいくか、遠距離攻撃をしたら戦闘開始となる」

「つまり扉を開けるだけなら襲ってこないんですね?」

「そういうことだ」


 ナルリースは少し不思議そうな顔をしたが、俺の言ったことだから信じてくれた。

 それもそうだ。敵を認識してるのに襲ってこないなんて普通は考えられないからだ。

 これもダンジョンの謎の一つでもある。


「では扉を開けるぞ」


 俺は軽く扉に触れた。

 すると、きいぃぃと金属が擦れるような音を立てて扉が開く。

 

「触れただけで自動で開くんだ!」

「ああ、最初は知らないで思い切り開けたから、いきなりボスとの戦闘になったのはいい想い出だ」

「にゃははは、若いころのダンナはやんちゃだにゃ!」


 そんなことを言っている間に扉は全開となる。

 扉の向こうに待っていたのは巨大なスケルトンであった。


「あれがこのダンジョンのボス。ビックボーンだ」

「……なんかそのままだね」

「……まあな」


 今まで戦ってきたスケルトンを縦に5つほど並べた大きさであった。

 両手に剣を持っているが、剣の刃はボロボロで切るというより叩き潰すといった感じだ。


「お父さん、あれは強いの?」

「……弱い」

「……そっか」


 もちろんCランク冒険者であれば苦労するだろう。

 だがBランク冒険者であればパーティーを組めば倒せる相手である。

 なのでここにいる全員では相手にもならない。


「私やりたい!!」


 リーリアは嬉々として手を上げて主張する。

 他に誰もやりたそうな者はいなかったので俺は頷いた。


「ああ、倒してこい」

「うん!」


 リーリアはずいと扉の境界線を越える。

 すると待ってましたかとばかりにビックボーンは剣を振り上げて襲ってきた。

 

「思ってたより動き速いね!!」


 ビックボーンがいきなり走り出すものだからリーリアも驚く。

 だがリーリアのスピードには到底及ばない。

 ビックボーンの足元を一瞬にして駆け抜けながら足に一打を加える。


 左足が粉砕され大きくよろめくビックボーン。

 その瞬間を狙って今度は左手を切り落とした。


 左手左足を失ったビックボーンはバランスを保つことが出来ない。

 地面にドシンと横たわるとジタバタと右手右足を動かしていた。

 

「う、ちょっと気持ち悪い動き……もうトドメさすね」


 リーリアは右手に魔力を込めた。

 

「フレア!」


 ビックボーンを中心に爆発が起き、部屋中に熱風が立ち込める。

 だがビックボーンの破片が飛び散る以外の被害は全くない。

 地面には焦げすら残っていなかった。


「本当だ。部屋は無傷なんだね」

「ああ」


 ビックボーンを倒したことよりも部屋が無傷な方に関心がいくようだ。


「これでどうなるの?」

「奥の扉が開いて、その先に宝箱があるんだ」

「あっ! 本当だ! 開くね!」


 ビックボーンがいた後ろの扉がゆっくりと開く。

 ボスを倒すと自動的に開く仕掛けとなっているのだ。


「基本は宝箱なんだが、たまに例外もある」

「例外? お父さん例外って────」


 リーリアが何かを言おうとした瞬間。

 その場の誰もに緊張が走った。

 ここからでも分かった。

 扉の奥にいる何かの存在に。


「お、お父さん!!? 例外って?」

「……まさかしょっぱなから例外を引くとは思わなかった」


 扉が完全に開かれた。

 扉の奥に佇むは一匹の黒い鳥。

 だがその黒い鳥は異様な存在感を放っていた。



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