自立
今のは私?
私があの日の私を見てた?
前にもこんな事あったような。
あれは私の夢のはずなのに。
リアルにその場にいた。
頭が重い。気持ちが悪い。
あの時、窓の外にいた人物な不適な笑み。
どうしてあんな時間に彼があの場にいたのか?
『顔色が悪いぞ、大丈夫か?』
スマホ画面から神妙な面持ちのランドールさまと目が合う。
「ランドールさま…、私…」
『リリア?どうした?』
目から乾いた涙が出てきた。
ランドールさまは亡くなったんだ。
その事にやっと…やっと、頭が追いついた。
ああ、そうだ、ランドールさまはお亡くなりなったんだ。
今もこうして私の事を心配してくれるランドールさまが目の前にいるものだから何か勘違いしていたけど。
ランドールさまは亡くなった。私はその事実を受け入れる事ができなかった。
こんなに時間が経ってようやくランドールさまの死を受け入れる事ができた。
そして、もう一つの懸念
「ランドールさまに会えたこの数ヶ月ずっと幸せだったなって」
『え?』
「こんなに近くにいても触れる事すらできないけど、それでも、幸せでした。もう、私は大丈夫です」
『何を言っている?』
「もうランドールさまがいなくても大丈夫と言っているんです!」
『え…』
「ランドールさまを暗殺した犯人とかもう今となってはどうでもいい、私は今を生きたい」
あ…。私、すごくひどい事言ってる。
でも、今は僅かな虚勢を張っていないと、意志が揺らいでしまう。
私はランドールさまを暗殺した犯人が分かったから。
「これで本当にお別れです」
『ちょ、ちょ、おい、待て』
私は電源を消したスマホを胸に当てそのまま机の上に置いた。




