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身分が違うだけなら

自分の気持ちに正直か…。

そんな当たり前の事が当たり前にできたらこんなに苦労しない。

ラベンダーさんと別れてから家までの帰路を歩きながら今更ながら考えてしまう。

そもそも、今の自分の本当の気持ちって何だろう?

手持ち無沙汰にスマホを眺める。

このスマホの電源さえ入れてしまえば、今すぐにでもランドールさまに会える。

だけど、ランドールさまに会って何を言う?

一方的にランドールさまを拒否したくせに。

ランドールさまの気持ちに耳を傾けなかったくせに?


「決めた!明日私、先輩に告白する!」


通りすがりの女子高生達がキャッキャッと恋愛トークに花を咲かせている。文字通り花の香りと共に言葉を乗せている。


好きな人に好きって言える世界って尊いなー。

あ…、そうだ、好きな人に自分の想いを伝えられる世界ってすごく尊い事だったんだ。

今更そんな簡単な事に気付くなんて、私は何てバカなんだろう?

身分違い?それが何だって言うの?

もっと早く自分の気持ちを伝えていればあんな事にならなかったかもしれない。

少なくとも、今の私とランドールさまの関係より近くにランドールさまを感じられたはず。

同じ次元を生きていたのだから。

それなのに…。

それなのに…。

あ……、私…。

何言ってるんだろう?

このままじゃまた同じ後悔するとこだった。

今ならまだ間に合う。

今ならまだランドールさまに想いを伝えられる。

この心のモヤモヤもランドールさまに会えればきっと消える。

思ってる事全部ランドールさまにぶちまければいいんだ。

今は次元は違えど、身分は一緒なのだから、言いたい事言えるはず!

もう敬語なんて使わない。

ランドールさまなんて呼ばない。

ランドールって呼び捨てしてやるわ!

どうして、急に別れを告げたのか?婚約者を選んだのか?

問い詰めてみせる!

深く息を吸い込み、スマホの電源ボタンを長押しした。

長い長いローディング。

胸がドキドキしてくる。

久しぶりにランドールさまにお会いできる。

画面に光が灯り…。

目を細めたランドールさまが現れた。


『リリア?』


「ランドールさま!」


ああ、呼び捨てなんてできる訳がない。

こんなにも神々しく美しい人を身分とかそんな事関係なく私ごときが呼び捨てなんてできる訳がない。

言いたい事なんてぶちまけられる訳がない。

私はいつだってランドールさまの事が大好きで大好きで大好きだから、ランドールさまの言葉が全てなのだから。


『お前にずっと会いたかった』


この一言が聞きたかっただけだった。










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