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夢❓️現実❓️

「本当、シンデレラストーリーとはよく言ったものよね!」


「そんなのキレイに言い過ぎ!ランドールさまを殺した女がのうのうと生きてるなんてあり得ない!実際は犯罪者がお情けで命を救われたって話なのにね」


今まで私がやっていたお屋敷での業務をこなしながら、次から次へと続く私への罵詈雑言が私の耳に入ってくる。そうだよね、みんなそう思ってるよね…。

みんなランドールさまの事好きだったものね。

愛する人を失った悲しみを誰かのせいにした方が気持ちが楽になるもんね。

だから、敢えてその声が私に届くように声を張り上げているのが分かるから余計に胸が痛む。


元使用人であり、ランドールさまを暗殺した容疑者の私リリアはクレモン家の新しい当主サンティエさまのフィアンセになる事でその容疑がまっさらになりました。

そんな嘘みたいな話誰が予想してた?

自分だってこの事が現実だなんて思えない。

ずっと夢を見ているみたい。

ランドールさまが亡くなったあの日からずっとずっと…。

ううん、もしかしたら、ランドールさまと出会ったあの日からずっと夢を見ていたのかもしれない。

自分が自分じゃないような感覚。

深い赤と緑色の混ざったゴシック調のドレスの裾をぎゅっと握り鏡に自分の姿を映した。

いかにも着させられたドレス。

不釣り合いにもほどがある。

ドレスに合うように赤茶色のいつものクセっ毛はキレイに一つに纏められ、耳には翡翠のイヤリング、左手の薬指には大きな指輪がつけられていた。

全部私の意思ではない。

全てサンティエさまの好み。


「私はこれでいいの?」


このままでいいの?


鏡の私に問い掛ける。


私は…本当に…これで…いいの?


鏡の私が瞳を揺らしてこちらを見ている。

少しづつ私の姿が変わってゆく。

赤茶色の髪の色が黒色に近付き、蒼白い顔が濃い肌色になり、グリーンの瞳が漆黒に変わり、口を開いた。


「あなたは誰?」


鏡の私と声が重なった。



****


風で揺らすカーテンが朝を知らせた。

重い瞼を開け、そこがいつもの自分の部屋だと確信した。

目も喉も乾いてる。

今の何?

前世の夢を見るようになって初めての事が起こった。

私が過去に関与した?そんな訳ない。

今回のはただの夢だと言う可能性も…。

いや…。

あれは間違いなく前世の記憶。

気持ちが覚えてる。

それよりも、今はそんな事より。

私がサンティエさまのフィアンセ?

話が急展開過ぎる。

机の上に置きっぱなしのバッテリーの切れたスマホから聞こえる筈のないランドールさまの声を聞きたくなってしまった。

ランドールさまに会いたい。






















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