正体
純と二人で歩くのはずいぶん久し振りの気がした。
そんな訳無いのに。
ついこの間も二人でいたのに。
ランドールさまの事を思い出してから?
純に対してこんな風に幼馴染み以外の感情を抱いてしまうようになったのは。
彼の中に誰かいる?
本当は一体誰なの?
そして、これから純が話そうとしている事が私の思っている通りの事なら、私が純に対して薄々勘づいていたのならば私は何て言えば…。
「そんな畏まるなよぉ、お前らしくない」
「…ごめん」
「そんなんじゃ話しにくい」
歩道の空いてるベンチにバサッと座り紫色のリュックを雑に地面に置きながら、私を見上げた。
「で、どこまで思い出したの?」
「……」
先の会話を促すような瞳が、今の純なのか前世の純なのかが分からなかった。
「この間からあまり進んでないよ」
「そっか」
ポケットからまたスナック菓子を取り出し、口に放り込み飲み込むまで、純の視線は下を見てたままだった。
「お前がまだ処刑されないで良かった」
何だか複雑な言葉だなー。
例え前世で処刑されたとしても私は生きているんだが…。
「オレはお前を守れなかった事を後悔してる…」
「純?」
「オレ、お前の事ずっと見てたから」
ハキハキと聞き取りやすいこの口調。
いつもの純と違うしゃべり方、この口調はずっと昔に聞いた事がある。
「やっぱり!やっぱり純はデュオの生まれ変わりなのね?」
私の答えに、思い切り目をまん丸にして口元に手を充て小さく息を吐いた。
「オレはずっとお前の事が好きだった。お前はそんな事気付きもしなかったけど」
「え?」
デュオは以前私に想いを打ち明けてくれた事あったし、薄々気持ちに気付いていたので、そんな風に言われるなんて思いもしなかった。
「…お前のリゾットうまかった」
「え?」
今何て言った?
私のリゾット…。
デュオには私が作ったリゾット食べさせた事ない…。
私がリゾット作った相手は…。
私がリゾットを食べて欲しかった相手は…。
「嘘でしょ?そんな訳ない!」
だって、ランドールさまはランドールさまは二次元のキャラクターに転生して私のスマホの中に…いるのに。
いや、あり得ないでしょ?
純がランドールさまな訳ない!
「ふざけないで」
「…はー。だから話すのイヤだったんだよなー。どうせそうなると思ったから」
「…」
「オレがランドールの生まれ変わりなの!オレはずっとお前の事が好きだった」




