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ランドール様の暗殺が本当の事だと知ってから、考える事はただ一つ、一体誰が?と言うこと。一体誰がランドール様を殺したかと言う事。

あの時ルーセル家はランドール様の存在を疎ましく思っていたにも関わらず、ランドール様はルーセル家のリナ姫との縁談の話が出ていた、ランドール様にとっては望まぬ縁談。

腰までの長い赤い髪色、長い睫毛下の落ちてしまうのでは無いかと思うほど大きな瞳をしたリタ様は美しい人だった。

果たして望まぬ縁談だったのか?ランドール様の気持ちなんて誰にも分からない、本当はランドール様はリナ様の事を好きだったかもしれない。


『おい、声に出てるぞ!』


ランドール様の声で我に返った。

真っ暗な部屋の中、スマホの明かりだけが淡く光ってる。


「あ…」


『少し落ち着けよ』


口に出してしまっていた事をランドール様に指摘され画面の向こう側の彼に曖昧に微笑って見せた。


「ごめんなさい、つい考えこんでしまって…」


『…見てれば分かる。混乱する気持ちも分かるが少し落ち着け。もう終わった事だ』


「終わったこと…」


そう、確かに終わった事であり、そもそも私はつい最近までランドール様の事でさえ全く知らなかったのに。

急にそんな事考えたって何もならない。

だけど…。


「今の私、すごく幸せなんです。ランドール様に出会えて。初めは戸惑っていたけど、ランドール様の事を思い出す度にこうしてランドール様と過ごせる毎日がとても幸せなんです、だから…」


もう過ぎた事で今更何を言っても何をしても何を考えても仕方の無い事だが。


「ランドール様には幸せでいて欲しいから。あの頃のランドール様がどうしてそんな事になってしまったのか…私は知りたい」


顎に置いてた長い指を私の方に向けると、はぁーと深く息を吐いたランドール様は眼を伏せて口を開けた。


『お前がどう思おうと、あの頃も今も俺が好きな女はお前だけだ』


ランドール様がまっすぐ私を見詰めて言ってれる。

ああ、大好きなシルバーグレイの瞳が私の心を捉えて離さない。

嬉しくてくすぐったい。

その言葉だけで生きていけます!


『確かに、自分で言うのも何だがあの頃の自分は敵が多かったな。笑えるよな、オレを殺したところで手に入る偽物の幸せのために今ある本当の幸せを手放す事を躊躇しないやり方には理解できないが』


ランドール様のお言葉通り、当人の気持ちなんて全く考えず、ただ目に見えるきらびやかな生活こそが幸福と言う形だと思い、そんな相手を妬み、邪な考えを生んでしまう。


『それより、お前の方は大丈夫なのか?』


ランドール様の暗殺などと言う話しから忘れていたが、私には気がかりな事があった。

サンティエ様の事だ。

サンティエ様に監禁されていた私は一体どうなったんだろう?

サンティエ様?サンティエ様と言えば彼も義兄であるが腹違いのランドール様に少なからず恨みを持っていてもおかしくない。

一体誰が…。

その言葉が私の頭の中で延々にぐるぐると回っていた。












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