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恋心

「あ!思い出した!」


30分待ちで入れたコスパのファミレスはたくさんの人の会話が行き交っていて、違うテーブルからの会話がまるで目の前の友達が言ったのではないかと言う錯覚に陥る。

そのため注文してら結構待たされたハンバーグを切りながら、発した私の言葉はすぐには彼女達に届かなかった。


「へ?急にどうしたの?」


一瞬の間の後、純と二人で白いお皿に盛られたたくさんのポテトを食べながら、GWは何をするかどこに行くか話していた千代子は指についた塩をなめながら私を見た。


「さっきのゲームソフトのキャラ、どこかで見た事あるって言ったじゃん?あれどこで見たか思い出したの」


へぇー、と大した興味を持たず今度はクリームソーダを口にした。

彼女にとってそれはもう終わった話なのだろう。

純は純でそもそも私の話なんて聞く気なんてないようで皿に残っていた全てのポテトを平らげていた。


「あの人、私の夢の中によく出てくる人に似てる」


言葉に出してみておかしな事を言ってるなと実感した。

夢の中なんて自分の潜在意識の中なんだから現実世界のどこかで関わったモノが表れる。

友達、見知った人間、好きな人、懐かしい景色。

ほとんどが自分の経験の中での出来事。

だけど、ごくたまに自分が全く見た事のない、行った事のない景色が出てくる事がある。

あれは…どう言う事なんだろう?

自分が意識していないだけで、視界に入っている景色、経験している事なのかもしれない。

でも、あの夢はどこか違う。

夢の全てを覚えてる訳じゃないけど。

夢の中で見たもの、聞いたもの、感じたもの、全てがリアルだった。


「夢?何それ?意味分かんない」


今まで私の話しに全く興味の無かった純がつまらなそうに一言だけ言って、次は何を頼もうか悩んでいるようでじっと席に設置されているタブレットを見ていたかと思ったら、


「そんなの気のせいだよ。都合のいい妄想。早く忘れなよー、ほらハンバーグ冷めちゃうよー、食べないなら貰っちゃうよー」


そして、そう言いながら残っていたハンバーグを口に頬張ってしまった。


「どんだけ食べるのよ」


もう既に2メートル近くあるのに現在進行形で育ち盛りのようだ。

気のせい…そうだよね。普通に考えたらそんな事ある訳ない。

もしかしたら、発売前のPRか何かでキャラデザなどを見たのかもしれない、そうだ、きっと無意識に見たんだ。

そうじゃないと辻褄が合わない。

はぁー、何か考えてた時間がバカらしい。


「これからどうする?カラオケでも行く?でも、純ってカラオケあまり好きじゃないんだよねー」


トイレに行く純の後ろ姿を見ながら、千代子はスマホのアプリからカラオケのクーポンを探し始めた。


「千代子って純のどこが好きなの?」


私の問いにふぇ?と言葉にならない声を出したかと思ったら、顔を真っ赤にして両手の平をブンブンと振り回した。


「な、な、何言ってるの?リカってたまに訳の分からない事言うよね!あー、ビックリしたー」


人ってどうして好きな人の話になると冷静じゃいられなくなるんだろう。

気持ちを隠せないぐらい誰かを好きになった事私にはない。

だから、少しうらやましい。


「バレバレだよ。大丈夫、誰にも言わないから」


私の言葉の真偽を確かめるように上目遣いで私を見ていたけど、


「……本当?絶対に言わないでね!」


「うん、言わない」


私の言葉に安心したように微笑った。













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