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わ!!!

わわわ!!!

何今の夢!


弾き飛ばされた薄掛け布団はフワッとスマホの上に落ちた。


『お、おい、随分乱暴なお目覚めだな』


布団の下からランドール様のお声が聞こえるけど、今は予想もしなかった展開にどきまぎが止まらない。

何か急に夜9時の恋愛ドラマみたいになってきたな。

今のは本当に私の記憶?

今までとは違いつい第三者的に見てしまったが、あれは間違いなく私だ。

あんなに鮮明に覚えているだなんて。

布団をどかせと何度も怒鳴っているランドール様のお声。

他人事のように見てしまったのは、多分今の自分がとても幸せだから。

あれ程手の届かなかったランドール様がこうして私のお側にいてくださる今気持ちが落ち着いているからだろう。

布団を畳ながらスマホを手に取る。


「おはようございます、ランドール様!」


『また何か思い出したのか?』


「あ!いえ!大した事ではございません!ごくごく普通のただの夢でございました!」


早口で捲し立て敬礼までしてしまった。


『ふっ…。分かりやすいのも相変わらずだな。まぁいい。ところで、さっきから下でウロウロしてる(やつ)がいるがお前の知り合いか?』


「え?」


窓の下を見ると、玄関前で円を描くようにウロウロしている純がいた。

結局あの日も純には会えなかった。


「純?」


窓を開けて手を降ると純ははにかんだように右手を上げた。


「すぐ行くから待ってて」


さっさと着替え鞄を持ち、スマホをぶら下げて家を出た。



「おはよう!」


「ん、おはよう」


「久しぶりだね!」


「毎日学校で会ってるじゃん」


「そうじゃなくてこうして二人で会うのが、ひょっとして避けてた?」


純は私を見下ろし、深く息を吐いた。


「お前全部思い出したんだろう?」


「え?」


「ずっとスマホ握りしめてるから、思い出したかと思った」


あ…、自分でも気付かぬうちにスマホを握りしめてた。


「何で純が?その事知ってるの?え?何で?」


腰を曲げて私の顔を覗き込む純の垂れ目の瞳を見てたら今朝の夢を思い出してしまった。

まさか、まさかとは思うけど…。

いや、そんなはずないよね。

でも、もしかしたら!


「純ってもしかして、え?でも…」


デュオなの?と言い掛けてやめた。

今朝の夢を思い出して赤面してしまったからだ。


「何?」


「何でもない」


「何でもないならいいや、それより昨日の課題やってきた?オレ忘れたからやってきたなら写させて」


それから純も私も何も話さなかった。

知らなくていい事もあるよねと私は首を縦に動かした。











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